Reuters
- カジュアル衣料チェーン大手のギャップ(Gap)は2月28日(現地時間)、オールドネイビー(Old Navy)部門をスピンオフ(事業の分離・独立)すると発表。同社の株価は上昇した。
- アナリストらは、これはギャップにとって理にかなった決断だとして、これを支持している。
- 売り上げが低迷する中、同社は今後2年間でギャップ・ブランドの230店舗を閉店する計画だ。
- オールドネイビー部門のスピンオフは、他の小売業者に同じような選択をする道を開くことになるかもしれないと、アナリストのダナ・テルジー(Dana Telsey)氏はBusinee Insiderに語った。
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「サンタは売り上げをもたらさなかったが、代わりにオールドネイビーのスピンオフをもたらした」
これはRBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、ケイト・フィッツシモンズ(Kate Fitzsimons)氏が、ギャップのオールドネイビー部門をスピンオフするとの発表を受けて、顧客向けのメモに書いたコメントだ。
フィッツシモンズ氏のコメントは、アメリカ金融街の受け止めを象徴している。オールドネイビーが好調な反面、ギャップ・ブランドの売り上げは低迷していて、今回の決断は前向きに捉えられている。
消費財業界に特化したニューヨークの証券会社「テルジー・アドバイザリー・グループ(Telsey Advisory Group)」のCEO兼チーフ・リサーチ・オフィサー、ダナ・テルジー氏によると、他の小売業者もこれに続く可能性がありそうだ。
「全体的に見て、小売業界は大きな変化を経験している」と、テルジー氏は3月1日、Business Insiderに語った。
同氏は、傘下のデニムブランド「リー(Lee)」と「ラングラー(Wrangler)」をスピンオフしたVFコーポレーションの2018年夏の決断に触れた。これは「ヴァンズ(Vans)」や「ザ・ノース・フェイス(The North Face)」といった他のブランドがこれらのデニム事業以上の売り上げを生む中で、発表されたものだ。
これはつまり、消費者の志向が変化し、eコマースへのシフトが進む中、小売業者、中でもアパレルメーカーが事業再編を試みる可能性が高まっているということだ。昔ながらの小売業者は「実店舗を整理し、オムニチャネルを強化している」とテルジー氏は言う。
同氏は、似たようなスピンオフがアバクロンビー&フィッチのアパレルブランド「ホリスター(Hollister)」やアメリカン・イーグル・アウトフィッターズのランジェリー事業「エアリー(Aerie)」でも起こり得ると指摘する。アバクロンビー&フィッチは3月6日に決算発表を予定している。
ジェフリーズ(Jefferies)のアナリスト、ランダル・コニック(Randal Konik)氏は、以前からオールドネイビーの分離を主張してきた。コニック氏は1日の投資家向けのメモの中で、今回のスピンオフによって、投資家はオールドネイビーをきちんと評価できるようになるだろうと書いている。
同氏は2018年夏、「親愛なるギャップの取締役会へ……会社名をお願いだからオールドネイビーに変えてくれ」のタイトルで、投資家向けにメモを書いていた。
ギャップは1日、今後2年間でギャップ・ブランドの230店舗を閉店する計画も発表した。同社はギャップ・ブランドのホリデーシーズンを含む四半期の売り上げが7%減だったと報告している。
スピンオフを受け、「ギャップ」「アスレタ(Athleta)」「バナナ・リパブリック(Banana Republic)」「インターミックス(Intermix)」「ヒル・シティ(Hill City)」ブランドを展開する企業(名称はまだ決まっていない)のCEOには、ギャップのCEOアート・ペック(Art Peck)氏が就任し、分離後のオールドネイビーは、現在の事業担当CEOソニア・シンガル(Sonia Syngal)氏が率いる。
[原文:Gap's decision to spin off Old Navy could cause a wave of retailers to follow suit (GPS)]
(翻訳、編集:山口佳美)