グノシーも“クーポンまとめアプリ”に参入、「オトクル」開始 ── デジタルクーポンには可能性がある

オトクル

グノシーの新アプリは見かけ上は“グノシーっぽくない”クーポンアプリだ。

  • グノシーは、同社のクーポンまとめ機能を独立、発展させた新アプリ「オトクル」をリリース
  • 収録するクーポンはグノシーに掲載している量の約1.5倍。3月中に約3倍へ増える見通し
  • 今後、同社が得意とする広告事業と組み合わせて、ビジネスモデルの確立を目指す

オトクル

オトクルのトップ画面。

出典:グノシー

グノシーは3月4日、無料のクーポンまとめアプリ「オトクル」を発表した。リリース当初はiPhoneでのみ利用可能。提供時期は未定だが、Android向けアプリも開発が進んでいる。

同社は既に二ュースアプリのグノシーで、2018年12月14日から「クーポンタブ」を提供中。オトクルにはグノシーのクーポンタブで配信されているものだけではなく、オトクル独自のものも含む。

クーポンまとめとしての機能は、スマートニュースが2018年3月2日、LINEが2018年10月31日から提供している。いわば後発となるグノシーだが、なぜ、クーポンまとめ機能だけを別アプリにするのか? オトクルの事業責任者である新規事業開発室マネージャーの真武新太氏に話を聞いた。

配信されるクーポン種類は倍、お気に入り機能もあり

オトクル クーポン

オトクルの利用イメージ。

オトクルの機能は非常にシンプルだ。ホーム画面には配信されているクーポンがずらっと並び、興味のあるクーポンやブランドをタップすれば、すぐにクーポンを使い始められる。

グノシーのクーポンタブとの大きな違いは、配信されているクーポンの種類。今回の配信開始のタイミングで、オトクル上のブランド数は全40ブランド。これはクーポンタブの約1.5倍の量にあたり、3月中には3倍の量にまで増える見通しだ。

また、細かい点だが、使いたいクーポンを一覧にできる「保存機能」があること、またオススメクーポンの「パーソナライズ化」がされる点も、クーポンタブとは異なる。

単体で見るとアプリとしてはインパクトが小さいが、よく見てみると奇妙な点に気づく。それはアプリ内の目の付くところには全く“グノシー”の文字が入っていないところだ。

アプリ切り出しの狙いは「ユーザー規模の拡大」

オトクルの柴犬

オトクルの見た目は、ニュースアプリのグノシーとは全く異なる。写真はオトクルで下スワイプ操作の画面更新時に出てくる柴犬のキャラクター(名前はまだない)。

グノシーは2018年末に「グノシースポーツ」というスポーツタブを独立させたアプリをリリースしている。このように、グノシーにとって機能の切り出しは、初めてではない。

オトクルとグノシースポーツに共通する戦略とは、「グノシーではリーチできていない、ユーザー層と接点を持つため」だと真武氏は語る。

「ニュースアプリのグノシーは、既に幅広いユーザーの方に利用していただいていますが、リーチできていない層もあります。

オトクルは主婦層や女性の方にも利用しやすくするため、ブランディングや見た目のかわいさ、使いやすさにこだわっています」(真武氏)

グノシースポーツはグノシーの名前を冠しているが、オトクルはそうではない。このことについて、真武氏は「グノシーという会社全体でユーザー規模を増やしたい」と、グノシーの認知度向上よりもユーザーとの接点を優先した結果だと話している。

新規顧客やライト層にリーチ、送客事業を強化

Google Playスクリーンショット

Google Playで「クーポン」と検索した結果(2019年3月4日時点)。

出典:グーグル

前述の通り、クーポンまとめ機能はSmartNewsやLINEも既に展開している上に、各レストランなどの事業者でも独自のアプリを展開しており、成熟した市場に見える。

そんな中なぜグノシーはいまクーポンアプリに取り組むのか。真武氏は「事業者サイドにも他サービスへ配信する理由はある」と語る。

「クーポンというものは、紙からデジタルに変わってきました。そこでわかったことは、各事業者さんのアプリを使っている層は、既にロイヤリティーが高いファン層だということです。

一方、クーポンまとめ機能を使っているのは、そのお店にたまに行くようなライトユーザーです。そのような層はそれぞれの事業者のアプリを(スマホに)入れないので、独自アプリの展開だけでは取りこぼしていた、ということになります」(真武氏)

真武新太氏

オトクルの事業責任者である、グノシー 新規事業開発室マネージャーの真武新太氏。

グノシーは、ニュースアプリ本体でまずクーポンを配信。具体的な数字は非開示なものの、普段、グノシーでニュースを読んでいるユーザーも多く利用しているなど、手応えを実感。ユーザーにリーチできるクーポンのノウハウを貯めてきたという。

リリース時点では、オトクル単体でのビジネスモデルは構築できていないというが、グノシーはユーザーの実店舗への送客(O2O事業=Online to Offline事業)も強化していくと発表している。記事広告やライブ動画などとクーポンを組み合わせた新しい広告パッケージもグノシーアプリ内ではすでに提供しており、今後の開発にも活用していく狙いだ。

(文、撮影・小林優多郎)

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