AIさくら予想を掲載する「お天気☆JAPAN」。島津製作所の子会社、島津ビジネスシステムズが運営している。
AIの開花予想は気象予報士の職人技を超えられるのか? そんな試みが2019年も始まった。
島津製作所の100%子会社の島津ビジネスシステムズは、同社が運営する気象情報サイト「お天気☆JAPAN 」上で無料提供する、AIを使った桜の開花予想サービス「AIさくら予想」のアルゴリズムを大幅改良し、3月1日から公開開始した。
「AI予想」と「予報士の予想」を比較する試みは2018年に開始し、2019年で2回目になる。2018年は、AI予想が、2日以内とする「適中率」が気象予報士の予想を6ポイント下回る適中率31%(人間の予想は2010年〜2017年の平均値で37%)で「予報士に完敗」した。
今年の開花予想では、学習手法自体を変え「桜の予想モデルの大幅改良」(リリースより)をしたとする。
2018年と2019年の予想手法の違い。島津ビジネスシステムズによると、機械学習アルゴリズムとして、2018年版はRandom forestを使っていたが、2019年版はXGBoostを使っているという。
リリース文によると、2018年版のAI予想は、従来から使っていた「開花式」をそのまま用いて、そのパラメーター調整をAIが行うという手法だった。
2019年版ではこれを一新して、桜の「休眠」「休眠解除」「花芽発育」の開花に至る各ステージと、気象の変化パターン(気温など)をAIに学習させるという手法に変えたという。
その結果、2018年ベースのデータを使った予想では、従来を大幅に上回る適中率60%と、率にして2倍近くの精度向上を達成した。
休眠から発芽発育までのステージのイメージ。
島津ビジネスシステムズによると、AIさくら予想は、毎日の気温や開花情報などをベースに毎日アップデートを続ける仕組みだ。そのため、日を追うごとに数字が代わり、理論上は精度が向上していくはず……ということになる。
なお、3月1日時点の日本各地の開花予想は下記の通り。
3月1日時点のAIさくら予想と予報士の予想。詳細版は記事末尾に掲載。
例年より暖かい気候が続いていることもあり、「AI予想」と「予報士の予想」は全国的に例年より数日早まる予想が多い。ただし、細部に目を移すと、青森のように「AI予想:2日遅」「予報士の予想:2日早」と真逆の予想をしているケースもあり、興味深い。
島津ビジネスシステムズは、今年のAIがどれくらい賢かったのかの「答え合わせ」にあたる精度比較を、4月5日にお天気JAPAN上で発表する予定としている。
関東甲信地方の桜開花予想
東北地方の桜開花予想
東海地方の桜開花予想
近畿地方の桜開花予想
中国四国地方の桜開花予想
九州地方の桜開花予想
(文・伊藤有)