【実機レビュー】モバイルPCの決定版・LTE対応「Surface Go」は本当に“買い”か?

Surface Go LTE

日本でも、軽量なモバイルPCの本命とも言える「Surface Go」LTE対応バージョンの一般向け販売がスタートした。

  • 日本でも1月29日からLTEでのモバイル通信に対応したSurface Goが発売
  • Surface Go LTEはナノSIM採用のSIMフリー機で、国内3キャリアや格安SIMが使える
  • 写真編集など高負荷がかかる作業には向かないが、カメラなどの使い勝手もよくサブPCとしては非常にオススメ

突然だが、テック系記者という筆者の仕事柄、最も仕事の生産性に貢献するデバイスは何かと言われば、やはりパソコンである。もっと絞り込めば、取材現場で使うモバイルパソコンだ。

軽ければ軽いほどうれしい。でも、写真などを編集する関係上、性能はある程度欲しい。その絶妙なバランスを求めて日々、新製品をチェックしているが「これは」という期待の星が発売開始した。それが、LTE通信機能を内蔵したマイクロソフトの「Surface Go LTE Advanced」だ。

SIMフリー仕様で国内利用もほぼ問題ない

LTE接続表示

Surface Goは国内3キャリアのネットワークに対応。

Surface Goは日本でもすでに2018年8月28日から発売されているが、発売当初、外出先でもネットにつながる“LTE版”は提供されていなかった。もちろん、Surface Goの全体の使用感は既に別の記事でレポートもしているが、やはり約532g(Wi-Fi版は約522g)という携帯性の高さを活かすにはLTEが必要だと感じていた。

そして、1月29日に、先行して提供されていた法人向けに続き、一般向けにもLTE版の提供がスタート。価格は9万8064円(税込)だ。早速、実機を試してみた。

まずはモバイル通信まわりの仕様から確かめていきたい。Surface Go LTEは、22種類のLTEバンドに対応。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの相互接続性試験(IOT)を実施済み。SIMフリー仕様なので、各社のネットワークを借りている格安SIMでの運用も問題ない。

Surface Go SIM形状

SIMスロットは本体左側面にあり、SIMピンを使って開けられる。形状はナノSIMを採用。

SIMの形状は最新のiPhoneなどのスマートフォンと同じナノSIMを採用。今回、筆者は手持ちの「iPad Pro」に挿していたNTTドコモのデータプラン契約のSIMを挿してみた。接続に使うAPNの設定さえすれば、すぐにモバイルネットワークに接続できた。

通信速度などはエリアや時間帯、SIM使い勝手は非常に良好。「まるでスマートフォンのよう」と言えば元も子もないが、スリープを解除して、さあ作業を始めようというタイミングで既にネットワークにつながっている感覚は、仕事の効率性を格段に上げる。

筆者は取材メモの保存に「Evernote」、原稿や画像の同期に「Dropbox」を使っているため、同期などの度にイチイチ、スマートフォンのテザリング設定を変えたり、モバイルWi-Fiルーターを起動したりするのは面倒だと常々感じていたので、LTE機能はまさにストレスフリーな仕様だと言える。

Surface Go 3G

Suface Goのキックスタンドは膝上での利用では不向きという人もいるが、カバンなどを下にひけばそれなりに使える。ちなみに、この写真のような地下鉄などでは4Gから3G接続になり、通信速度が落ちることもあった。

やや気になったのは、Surface Goはたまに「LTE(4G)から3Gに落ちる」ことだ。同じ場所で、同じNTTドコモ回線のハイエンドスマートフォンは4G(もしくは4G+)接続なのに、Surface GoはHSDPA(3G)接続になり、低速になることが何回か発生した。

原因がアンテナ設計にあるのか、モデムやそれに付随するドライバにあるのかはわからなかったが、その場合、一度機内モードか再起動にすることで4G接続に回復することがあった。

800万画素の背面カメラは割と使える

Surface Go カメラ

Surface Goの背面カメラは意外とイケてる。

個人的に気に入ったのはカメラ機能だ。Surface Goには約500万画素の正面カメラと、約800万画素でオートフォーカス対応の背面カメラが搭載されている。

筆者は発表会の取材をすることが多々あり、その様子はTwitterなどで実況することも多いため、記事用の他にSNSにアップするための写真も撮っている。SNS向けの写真はSurface Goで撮影すると作業が非常に楽だった。

Surface Goカメラ写真

Surface Goで実際に撮影した写真。拡大するとややざらつきがあるが、HDR撮影を有効にしているので、白飛びが少なく資料用などとしては問題ない仕上がりに見える(クリックすると実際の画像を表示します)。

画質もメモやSNSにアップする程度であれば必要十分。会議で書いたホワイトボードの内容を記録したり、資料用に風景などを撮影したりする用途にも十分活用できるだろう。

実は、市場全体で見るとOSを問わず背面カメラの画質に一定のこだわりがあるタブレットは少ない。その数少ない例の1つはアップルの「iPad Pro」シリーズで、正直に言えばSurface Goより性能は一段上と言える。

しかし、iPad Proは11インチ・64GBストレージ・Wi-Fi+セルラーモデルで、直販価格11万5344円(税込)。一方、Surface Go LTEの直販価格は9万8064円(税込)と、1万7280円も安い。

10万円を切る価格と、LTE機能を搭載、そしてクオリティ高めのカメラ性能はなかなか満足度が高いと感じた。

Surface Go背面カメラ

Surface Goのカメラで特に気に入っているポイントが1つ。別売のタイプカバーを背面に回してもカメラが隠れないこと。

USB端子の種類と処理性能には注意が必要

Surface Go インターフェース

Surface Goの外部接続端子(インターフェース)類は、右側に集中している。

一方、使っていて不満に思った点もある。1つは「インターフェイスの乏しさ」、もう1つは「処理性能の低さ」だ。

まずインターフェイスについては、Surface Goはその小ささ故かUSB Type-C端子が1つ、microSDXCカードリーダーが1つ、あとはイヤホンジャックと充電用とキーボードカバー接続用のポートがそれぞれ1つと、非常にシンプルな構成になっている。

USBメモリーでのデータの受け渡しなど、USB Type-A(いわゆる、普通のUSB)端子の機器を使うなら、純正や社外メーカー製のアダプターが必要になる。

なお、充電に関しては、Surface GoのUSB Type-C端子はUSB PDに対応している。スマートフォン向けのUSB PD対応モバイルバッテリーやACアダプターで充電できるのはメリットだ。

Surface Go USB Type-C

USB PD対応のUSB Type-C端子のため、市販のUSB PD対応充電機やUSB Type-C端子搭載機器などは問題なく使える。

もう1つの処理性能の低さは、大きな負荷のかかる処理を行わない限りは気にならないかもしれない。筆者の場合は、写真処理のためにアドビの「Photoshop CC」で、一眼カメラを使って撮影した13MB前後のJPEG画像を150KB前後のウェブ用画像に圧縮している。

Surface Go 処理性能

Surface Go LTEは、インテルの超低電圧版CPU( Pentium Goldプロセッサー 4415Y)に、8GBメモリーを採用。Photoshopなどの負荷の高い処理をするのにはやや不向きだ。

圧縮作業自体は一呼吸ぐらいで済むので作業自体は可能だが、起動の遅さや元の写真を20枚程度一気に読み込ませた時には動作が止まってしまうことがあった。

とはいえ、テキストやペンを使ってメモをとる。ウェブで調べ物をする。その内容をWordなどのオフィスソフトでまとめる、といった作業は不自由なく使えるレベルだ。

多様な働き方のためのサブPCとしての満足度は高い

Surface Go

ある取材現場での様子。LTEに接続した状態で、Twitterでテキストと写真を交えながら実況し、記事用にメモを取る。そんなマルチタスクな仕事をこれ1台で済ませられた。

細かく見れば気になる点はいくつかあるものの、どれもアクセサリーや運用方法で解決できるレベルではある。メインPCではなく、外出先に持ち運ぶサブPCとしては満足度の高い製品には違いない。

どんな場所でもすぐに最新の環境で作業を開始でき、カメラやペンといった旧来のPCでは難しかった方法や表現で記録を残せる。Surface Go LTEはそういった仕事のスタイルにフィットする手頃なモバイルPCだ。

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(文、撮影・小林優多郎)

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