家入一真氏率いるCAMPFIRE、史上最速で支援総額100億突破。テレビCMにのんを起用する理由。

3月5日、家入一真氏が率いる「CAMPFIRE」が、国内クラウドファンディング史上日本最短で支援総額100億円に達したと発表した。

競合がひしめく中で、なぜCAMPFIREが一歩抜きんでることができたのか?家入一真氏本人に聞いた。

家入一真

CAMPFIRE代表の家入一真氏。国内クラウドファンディング史上最短で支援総額100億円に達した。

数兆円規模に膨らむと予想される「クラウドファンディング市場」

矢野経済研究所

出典:矢野経済研究所

100億円という大台について尋ねても、家入氏は落ち着いていた。

まだまだ、この市場は大きくなる —— そう見込んでいるからだ。

個人や中小企業への融資をかつては金融機関が担っていたが、今はその手段がどんどん失われている。クラウドファンディングは、そういった個人規模の融資の代替として「数兆円程度の規模までは大きくなる」。そう家入氏は読んでいる。

実際、ここ数年でクラウドファンディング市場は大きく伸張している。矢野経済研究所のデータによると、2017年時点での国内の市場規模は1700億円。前年度比で約30%増のペースで伸びている。

2月にCAMPFIREは、クラウドファンディング市場の流通額の9割を占め、金銭的な見返りが見込める「融資型」サービスの参入も新たに発表した。

東日本大震災とともに始まった

CAMPFIRE

CAMPFIREのオフィスには、クラウドファンディングで制作された多くのグッズが並んでいた。

そもそも国内クラウドファンディング市場は、「Readyfor」や「CAMPFIRE」が始まった2011年から立ち上がった。

2011年は東日本大震災が起こった年。CAMPFIREも当初からクリエイターの後押しをしていきたいというコンセプトは掲げていたが、震災の混乱のなか「クラウドファンディングは社会貢献であるべきだ」という共通認識があった。

もちろん社会貢献の側面も大切だけれど、と前置きして、家入氏は慎重に、言葉を選びながらこう話す。それだけではない、(法令遵守は当然として)シンプルに個人がお金を集める手段としても、クラウドファンディングは使われるべきなのではないか、と。

「(日本人は)こうでなければいけないっていうものを大事にしてしまう傾向がある。そこから外れた人たちをボコボコに叩くという風潮がある」

「僕らはプラットフォーマーとして、こういう使われ方もあるんだよ、それは悪いことじゃないんだよ、っていう問いを社会に対して投げ続けることが大事なんじゃないか」

ターニングポイントは2016年

グラフ

CAMPFIRE流通額の推移。

提供:CAMPFIRE

CAMPFIRE躍進のターニングポイントを聞いてみると、2016年、都知事選やネットショップ作成サービス「BASE」の立ち上げを経て、家入氏がCAMPFIREの代表に再度戻ってきた時をあげた。

当時、クラウドファンディング市場は有名人や大企業が立ち上げる、比較的金額の大きなプロジェクトを「営業して取りに行く」という傾向にあったという。

より広く、一般の人に使われるサービスにしないといけないのではないか。その原点に立ち返り、手数料を20%から5%に落とし、審査基準も見直した。

家入氏の「読み」は当たり、プロジェクト数は大きく伸び、同様に流通額も右肩上がりで伸びていった。

テレビCMにのんさんを起用

のん

のんさんは「CAMPFIRE MUSIC」のサポートで楽曲制作をしたこともある。

提供:CAMPFIRE

2021年までに支援総額1300億円を目指すとしているCAMPFIRE。

4月からは、テレビCMを開始することも発表した。起用したのは、女優ののんさんだ。

CAMPFIREとのんさんの関係は、のんさんが独立した時にCAMPFIRE MUSICが音楽制作をサポートした、という経緯がある。

のんさんを起用した理由について家入氏はこう語る。

「女優だけでなく、歌を歌ったり絵を描いたり、幅広く活動を広げていて、チャレンジしている。CAMPFIREが支えたいと思う人を代表しているイメージがあり、ロールモデルになってもらえるのではと思う

「1円でも、ひとりでも、お金がなめらかに流通する社会」をめざして、CAMPFIREの挑戦は続く。

(文・写真、西山里緒)

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