Amazon Goで現金は使えない。
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- 手軽なランチが食べられる場所からアマゾンの無人コンビニ「Amazon Go」まで、現金お断りの店が増えている。
- 現金を使えなくすることでレジを待つ時間が短縮され、カードを持つ消費者にとっては生活がスムーズになる。
- だが、反発も起きている。キャッシュレスの流行は、銀行口座を持たない低所得者を置き去りにしている。
- アメリカのマサチューセッツ州やペンシルベニア州フィラデルフィアでは、店に対し、現金での支払いを拒否することを禁じている。ニューヨーク市とニュージャージー州も同様の対応を検討中だ。
- これは、現金の使えないアマゾンの無人コンビニの成長に影響を及ぼす可能性がある。
キャッシュレスの店が議論の的になっている。
手軽なランチが食べられる場所からアマゾンの無人コンビニ「Amazon Go」まで、現金お断りの店が増えている。現金を使えなくすることでレジを待つ時間が短縮されるもしくはゼロになり、カードを持つ消費者にとっては生活がスムーズになる。
しかし、キャッシュレスの理想郷に全員が参加できるわけではない。アメリカでは反発も起きている。キャッシュレスの流行は、銀行口座を持たない低所得者を置き去りにしている。2018年の時点で、アメリカでは1560万人が銀行口座を持っていないと推定されていた。
ペンシルベニア州のフィラデルフィアは最近、店に対し、現金での支払いを拒否することを禁じた。
「クレジットカードを持たない人の大半は、比較的所得の少ない、マイノリティーの移民たちだ。意図的でないとしても、わたしには少なくとも差別の1つの形態に見える」と、フィラデルフィアの市議会議員ウィリアム・グリーンリー(William Greenlee)氏はウォール・ストリート・ジャーナルに語った。
マサチューセッツ州も"現金お断り"を禁止している。ニューヨーク市とニュージャージー州の議員たちも、同様の対応を検討中だ。
こうした動きは、「Sweetgreen」といったおしゃれなランチの店だけでなく、アマゾンの無人コンビニ「Amazon Go」にも大きな影響を及ぼしそうだ。Amazon Goでは、法律で命じられない限り、現金は一切使えない。
Amazon Goはレジなしのコンビニで、もはや店内で会計を済ませる必要すらない。客はただアプリをかざすだけだ。店のカメラとセンサーが、客が何を持ち帰ったかチェックし、料金は後でアカウントに請求する。
Business Insiderはアマゾンの広報担当者にコメントを求めたが、回答は得られなかった。
地元紙『フィラデルフィア・インクワイアラー』によると、アマゾンはフィラデルフィアの法律に懸念を示し、市の商業部に「複数回」にわたって法律が可決されれば、同市にAmazon Goを出店しないと伝えたという。
この新たな法律はアプリによる支払いを認めているが、有料会員のみがその店で買う場合と定めている。Amazon Goの場合、買い物をするのに有料のプライム会員である必要はなく —— 必要なのはアマゾンのアカウントのみだ —— 抜け穴の可能性を排除している。
(翻訳、編集:山口佳美)