日本在住20年以上のイギリス人筆者が日本で学んだ、4つのビジネスの教訓

日本の街並み

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  • イギリス人の生産性に関するコンサルタント、エイドリアン・シェパード(Adrian Shepherd)氏は、24年間日本で暮らし、仕事をしてきた。
  • シェパード氏はその間、日本でどのようにビジネスが行われているのかを最前列で目にし、万人に役立つ強力なビジネスの教訓を学んできた。
  • それは、細部に対する注意が重要であることや、規則に交渉の余地はないといった教訓だった。

日本は歴史に満ちたユニークな国だが、ひとたび飛行機を降ると、日本が単なる「寺」や「寿司」の国でないことに気づかされる。日本はまさに、過去と未来が出会う国だ。数百年前からある建物の中に、ハイテクなガジェットが鎮座している。外から来た者にとって、それは神秘的であると同時に混乱のタネでもある。筆者は20年以上にわたって大阪で暮らし、日本でどのようにビジネスが行われているのかを最前列で目にしてきた。ここでは、その経験から得た4つの強力な教訓を紹介しよう。

「かわいい」の威力

日本はかつて世界のテクノロジーの中心地として知られていた。だが、今ではおそらくポップカルチャー、具体的にはアニメによる影響力の方がよく知られているだろう。ピカチュウ、ハローキティ、トトロなどのキャラクターは大人気になり、企業は長年にわたってそうしたキャラクターのライセンスビジネスを行ってきた。

2018年11月にはミスタードーナツがその仲間に加わり、限定販売されたポケモン・ドーナツは、熱狂的なファンのおかげで毎日すぐに完売になった。熊本県など地方自治体もこうしたトレンドを利用し始めた。熊本県のマスコット「くまモン」は2010年の誕生以来、2015年までに1000億円という驚くべき売り上げを叩き出した。

正直に言えば、以前のわたしは会社を象徴するかわいいマスコットを作ることを、いささかバカバカしいと考えていた。だが、わたしにはその裏にある信じられないほど天才的なアイデアが見えていなかった。こうしたマスコットが売れるのには、理由があるのだ。

  • 記憶に残りやすい
  • 人は皆、心は子ども
  • あらゆる年齢層に訴える

以前、あるアーティストを雇っていたとき、ヨーロッパのクライアントから会社の新しい部門のロゴをデザインできる人を紹介してほしいと頼まれ、わたしは「うちのアーティストにやらせましょう」と話した。とても良い出来だと思ったのだが、クライアントに送ると、返ってきたのは西洋人の間では珍しくないコメント —— 「子どもっぽすぎる」という反応だった。

だが、「論より証拠」だ。多くのアニメキャラクターの成功を見れば、「かわいい」が売れるのは明らかだ。

エイドリアン・シェパード

筆者、エイドリアン・シェパード。

Courtesy of Adrian Shepherd

質より量

今でも日本企業の多くの幹部は、業績よりも時間を重視する。この慣習は、日本が第二次大戦後、戦争で壊滅した国から経済大国へと成長した時代の遺物だ。日本人は、正気とは思えないほど長時間働いた。我が子に自分たちよりも良い暮らしをさせようと、父親が平日、子どもに会えることは滅多になかった。

だが、今の世代はそうではない。彼らは、我が子とより良い関係を築きたいと考え、プライベートの時間を大切にしている。残念ながら一部の企業は、その変化に気づかなかった。中には社員に無報酬で長時間残業をさせたとして、厚生労働省から「ブラック企業」の烙印を押された企業もある。

わたしのかつてのクライアントに、定時退社したせいで解雇された人がいた。彼女は立派な仕事をしていたが、会社側は新入社員の悪い手本になっていると主張し、彼女を辞めさせた。彼らの考えでは、質より量が重要だったのだ。だが、彼らはその代償を払うことになった。彼女のしていた仕事をこなせる社員がいなかったため、全員がさらに残業をして、彼女がいなくなった穴を埋めなければならなかったのだ。ジョン・スタインベックが『ハツカネズミと人間』で書いたように、「ハツカネズミと人間が慎重に考えた計画は、しばしばうまくいかない」のだ。

細部に注意を払う

この傾向は、日本ではあらゆるところに存在する。中でも、それを最も良く表しているのが寿司だ。寿司を見れば、これほど簡単に作れるものは世界にないだろうと思うかもしれない —— 米に生魚をのせるだけだ、と。だが、寿司店の板長になるには10年以上かかることもあると知ったときには、椅子から転がり落ちそうになったのを覚えている。

最近、寿司店へ行く機会のあったわたしは、1貫1貫、細部に途方もない注意が払われていることに改めて気づいた。コースに含まれるさまざまな風味と食感は、この体験がより良いものになるように考えられている。10貫のコースは比較的少量に思えるかもしれないが、わたしは童話『3びきのくま』の主人公ゴルディロックスのように、「多すぎず、少なすぎず。ちょうどいい」気分で店をあとにした。

規則は絶対

ちょっとの間でも日本で暮らすと、否応なくこの問題に出くわすことになる。頻繁に。簡単に言えば、規則は絶対なのだ。交渉や話し合いの余地はない。規則は規則。外から来た者にとって、これは時に大きな苛立ちのもとになる。どんなことにもほぼ交渉の余地があると教えられてきた西洋人ならなおさらだ。

わたしはそれなりに日本語を話せるが、英語を使った方が有利になるケースがあることに気づいた。門番を迂回し、事を起こす権限を持つ幹部と直接話せる可能性があるのだ。常にうまくいくわけではないが、ほかにいい方法がなければ試してみる価値はある。

[原文:I lived in Japan for 20 years and learned 4 powerful lessons from watching businesses there explode]

(翻訳:梅田智世/ガリレオ、編集:山口佳美)

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