ジュリアス・シーザーに学ぶ、リーダーシップ7つの教訓

ジュリアス・シーザーに学ぶ、リーダーシップ7つの教訓

シーザーはどうすべきだった?

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  • ジュリアス・シーザーは、2000年以上前の紀元前44年3月15日に暗殺された。
  • その生涯を通じて、シーザーは最高神祇官、将軍、独裁官(ディクタートル)など、さまざまな要職に就いた。
  • シーザー自身の行動とその暗殺により、すでに弱体化していたローマの共和制は崩壊へと進んでいった。

紀元前44年3月15日は、ジュリアス・シーザーにとって最悪の1日となった。ローマの独裁官(ディクタートル)の職にあったシーザーはこの日、元老院会議でわなにはまり、仲間たちに刺殺されてしまった。

シーザーは「3月15日に気をつけよ」と警告されていた。もっと用心するべきだった。

その数年前、古代ローマの政治家であり軍人でもあったシーザーは、内戦に乗じて権力の座に就いた。シーザー暗殺後、再び内戦が起き、ローマの共和制は終わりを迎えた。その後ローマは帝政に移行し、シーザーの養子だったオクタビアヌスが初代ローマ皇帝の座に就いた。

今もシーザーは歴史上、最も偉大なリーダーの1人と見なされている。またシーザーという名前は、個人崇拝の対象や独裁的な人物の代名詞として用いられている。

では、シーザーはこれほどの権力をどのようにして手に入れたのだろうか?

Business Insiderは、シーザー自身が書いたもの、または信ぴょう性は劣るものの、興味深い記述がみられる古代の歴史家の記録を検証し、シーザーのリーダーシップ・スタイルを7つの教訓にまとめてみた。

1. プレゼンテーションは重要

1. プレゼンテーションは重要

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優れたリーダーは偉業をやってのけるだけではない ── 魅力的なストーリーを語る方法も心得ている。

ポントス王ファルナケス2世に、短時間の戦いで勝利を収めたシーザーは、戦闘の詳細を報告するためにローマに書簡を書く必要に迫られた。ギリシャの歴史家プルタルコスローマの歴史家スエトニウスによると、シーザーは詳細には触れず、簡潔にこう書いた。

「来た、見た、勝った」

このフレーズは非常に印象に残る。2000年以上を経た現代にも伝わっているほどだ。

シーザーは自らの戦いについて、言葉を重ねることはできたはずだ(事実、彼はいくつかの遠征について長文の戦記を残している)。しかしこのケースでは、簡潔な言葉が最も強力なメッセージとなることを理解していた。

2. リスクを取る

2. リスクを取る

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古代ローマでは、軍隊を引き連れてルビコン川を渡ることは重大なことだった。宣戦布告に等しい行為であり、死刑になる可能性もあった。

シーザーは自らの軍勢を引き連れてルビコン川を渡った時、シーザーはすべてを懸けた。前述の歴史家スエトニウスは『皇帝伝(The Life of the Deified Julius)』に、シーザーは川を渡る際に、アテネの劇作家の言葉を引用し「賽は投げられた」と述べたと記した。

シーザーはリスクを取り、勝利を収めた(少なくとも短期的には)。

3. 小さなことから始める

3. 小さなことから始める

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リーダーとして成功を収めるには、最初は「小さな組織」のリーダーとしてスタートしなければならないことが多い。

シーザーはこのことを理解していた。若い頃に起きたクーデターでその地位を失いながらも、彼は再び、権力を取り戻している。

プルタルコスの『英雄伝(Parallel Lives)』によると、シーザーはアルプス山脈の小さな村を通り過ぎる際、以下のような興味深い言葉を残した。

「ローマで2番目の地位に甘んじるくらいなら、ここで最も高い地位に就きたいものだ」

4. 変わらないものはない

4. 変わらないものはない

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将軍としての経験から、シーザーは状況が瞬く間に変わる可能性があることをしっていた。ビル・イェン(Bill Yenne)の著作『Julius Caesar: Lessons in Leadership from the Great Conqueror』によると、シーザーは以下のような言葉を残している。

「戦争においては、重要な物事は、非常にささいな要因の結果」

栄光に酔いしれるはならない。状況は、常に悪い方に変化する可能性がある。

5. 自分を甘やかさない

5. 自分を甘やかさない

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成功を収めたリーダーだとしても、自分の愚かさに気づかなくなるほどおごり高ぶってはならない。

『ガリア戦記』の中でシーザーは、敵対したガリア人勢力の戦術的ミスを評して、「多くの場合、人は自分の期待に添う事柄を信じようとする」と結論づけた。

優秀なリーダーは合理的に行動し、感情や先入観が意思決定に影響を与えることはない。確かに直感や本能も重要だが、優秀なリーダーは両方をうまく使う。決してどちらかのみに頼ることはない。


6. 現状に安住しない

6. 現状に安住しない

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物事がどんなに良いように見えても、優れたリーダーは最悪の結果を予想することを決して忘れない。

ガリア戦記』にシーザーは次のように記した。

「不滅の神々は、その罪を罰したいと考えている人物にしばしば、より多くの栄誉とを与え、長い間、罪を問わないことがある。これは状況が変わった際に、より大きな苦しみを与えるためだ」

要するに、勝ち続けている時こそ、用心しろということ。シーザー自身も、自らのこの言葉に従うべきだった。しかしシーザーは、独裁官となったことが水面下での陰謀を招き、有名な暗殺事件に結びついた。

7. 自分を安売りしない

7. 自分を安売りしない

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人を率いるためには、自分の能力を信じる必要がある。この点については、シーザーはまったく問題なかったようだ。

その一端は、シーザーが若い頃に遭遇した有名な事件からも伺える(事件には海賊が登場する)。プルタルコスによると、若き日のシーザーは海賊に襲われ、囚われの身になったことがある。

Livius.orgには次のように記載されている。

「最初、海賊が身代金として20タレントを要求すると、シーザーは大きな声で笑った。そして『お前たちは、自分が捕らえた人物が誰なのかを分かっていない』と海賊に言い放ち、身代金を50タレントにするよう言った」

シーザーはさらに、自由の身になった時には海賊たちを自らの手で殺すと誓った。身代金が支払われて解放されたのち、シーザーは艦隊を整えて海賊たちを捉え、その言葉を実行した。



[原文:7 unforgettable leadership lessons from the ancient Roman conqueror Julius Caesar

(翻訳:長谷 睦/ガリレオ、編集:増田隆幸)

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