キャッシュレス決済サービス「LINE Pay」が、PayPay対抗ともとれる新しい“大型”キャンペーンを発表した。
LINEは、キャッシュレス決済サービス「LINE Pay」で、同サービス史上最大とうたう「春の超Payトク祭」を開催する。
今回のキャンペーンには2つの企画が含まれる。1つはLINE Payの各種決済方法で支払うと、20%のLINE Pay残高が還元される(最大5000円)というもので、対象時期は3月15日0時から31日23時59分まで。
加えて、100円以上の決済1回ごとに1枚発行される「もらえるくじ」では、抽選で最大2000円のLINE Pay残高が付与される。こちらの対象時期は、3月15日10時から31日23時59分まで。
各種キャッシュレス決済の高額なキャンペーン合戦が白熱する昨今、LINE Payが打ち出した今回のキャンペーンにはどんな特徴があるのか。5つのポイントで解説しよう。
1. おトクな対象店舗が非常に多い、物理カード+非接触+コード対応
LINE Payの決済方法は、ほかのキャッシュレス決済サービスと比べて豊富な方だ。
今回の春の超Payトク祭の最大のポイントは、何と言っても対象店舗の豊富さだろう。
対象になるのは、LINE Payが展開する「コード決済」「LINE Payカード(JCBプリペイド)」「QUICPay+(Android限定)」「請求書支払い」「オンライン支払い」など、すべての決済方法の加盟店だ。
その規模は、LINE Payのコード決済、QUICPay+、請求書支払いの合計加盟店数の約133万カ所(2019年1月31日時点)。これに加えて、具体的な数は公表されていないが、「日本全国のクレジットカード加盟店のほとんどが当てはまる」(JCB広報)というJCB加盟店(一部は除く)で利用できる。
一部を除くJCBマークのある加盟店やサービスで利用できる「LINE Payカード」での支払いも今回のキャンペーンの対象となる(国内加盟店のみ)。
出典:LINE
同じ20%還元キャンペーンを行っているヤフー・ソフトバンク連合の「PayPay」やNTTドコモの「d払い」は、コード決済に限定(もしくはそれしか提供していない)しており、使える店は限られてしまう。JCB加盟店やQUICPay+加盟店が利用できるのはLINE Payの大きな強みだ。
なお、前述のとおりLINE Payの提供している決済方法で決済できれば店舗の種類に制限はないが、酒・タバコ・書籍などの一部商品や税金などは対象外となる。
2. 実質還元額が他社のポイント還元率より高め
LINE Payの「マイカラー」は前月分の利用実績でポイント還元が行われる。
また、期間中のLINE Payの実質還元率は、他社の還元率である「20%」よりわずかに高くなる。
それは、LINE Payが常時実施している「マイカラー」というインセンティブプログラムが、本キャンペーン期間中も適用されるからだ。
マイカラーは前月の累計決済額に応じて、当月の決済額の0.5%、0.8%、1%、2%のLINEポイントを付与する仕組み(LINEポイントは1ポイント=1円でLINE Pay残高に移行可能)。
ちなみに、ローソンやファミリーマート、各種ドラッグストアや家電量販店といった複数の決済方法に対応している店舗の場合は、コード決済を選択した方がお得度は高い。なぜなら、7月末まではコード決済の場合+3%のポイント増量が(本キャンペーンに加えて)行われるからだ。
3. 100円以上の決済で最大2000円あたる「くじ」も実施
もらえるくじのイメージ。
出典:LINE
春の超Payトク祭のもう1つの柱が「もらえるくじ」の存在だ。もらえるくじは20%の還元とは別のもので、100円以上の対象決済1回ごとに1枚発行される。
くじの中身は現時点では「非開示」(LINE Pay広報)だが、当選でもらえる最大金額は2000円。当たった金額は即時LINE Pay残高として付与される仕組み。
ちなみに、対象となる決済方法は20%還元とほぼ同様だが、それらに加え「LINEポイントでの支払い」と「LINE Pay 外貨両替」も含まれる。
もらえるくじはあくまでも「くじ」になるため、支払った金額に対して本当におトクになるかどうかは完全に運まかせ。だから、引き当てるのは、日常の買い物のような少額決済で回数を重ねていくしかないだろう。
4. くじの途中終了については「十分配慮している」
ライバルのPayPayは「景品表示法」を理由に、前倒しでYahoo!プレミアム会員向けの「くじ」施策を終了させた。
「くじ」でどうしても思い出されるのは、ライバル PayPay の存在だ。PayPayはYahoo!プレミアム会員向けに実施していた5回に1回当たる「やたら当たるくじ」を、予定より前倒しとなる3月8日に終了した。終了の理由は「(このまま継続すると)景品表示法に抵触する恐れがあった」と説明されている。
LINE Payの「もらえるくじ」には同様の心配はないのだろうか? LINE Pay広報に問い合わせたところ、以下のように「途中で中止する可能性はある」としながらも「十分配慮のうえ取り組んでいる」と答えている。
「当社の企画している「もらえるくじ」につきましては、景表法の関係上、当社のキャンペーンにおいても上限額に達した場合には中止させていただくことがございます。
ただ、利用者の方にはご心配・ご迷惑をお掛けしないように十分配慮のうえ取り組みをさせていただきます。そのほか、当社としては20%分の残高還元も含めて、景表法を遵守してキャンペーンを実施してまいります」
なお、LINE Pay広報はすでに実施済みのキャンペーンにおいても「景表法関連の理由でキャンペーンを中止したことはございません」と答えている。
5. ネックは「チャージの手間」になるか
LINE Payは基本的に「チャージしたお金を使う」前払い(プリペイド)式の決済方法。
ここまで他サービスと比べて特徴的な点を紹介したが、LINE Payにもネックとなる部分は存在する。それは、すべての支払い方法の源泉が実質「LINE Pay残高」のみという点だ。
例えば、PayPayであれば還元率は下がるが一般的なVisa、Mastercardブランドのクレジットカード経由で支払える(Yahoo! JAPANカードであればJCBかつ実質的な還元率は残高と同等)。d払いや楽天ペイもクレジットカードの登録は可能だ。
LINE Payのチャージ方法は銀行口座以外にもある(ただし、銀行口座登録による本人確認が行われない状態だと、送金や出金機能が使えない、残高上限が10万円など制限がある)。
一方のLINE Pay残高は、LINEポイントからのチャージ以外にも、銀行口座、コンビニなどの実店舗(一部店舗ではLINE Payカードが必要)、セブン銀行ATMからチャージできるが、どちらにせよクレジットカードと比べると「チャージ」という一手間がかかる。
そのため、LINEはLINE Payでの支払いに利用できるクレジットカード「LINE Pay Visaクレジットカード」(仮称)の発行を2019年内に予定している。ただし、現時点ではまだ正確な発行時期は決まっていないため、当然ながら今回の春の超Payトク祭には間に合わない。
現状で可能な対応策としては、有効な銀行口座を登録し、オートチャージ機能を使い「残高が1000円以下になったら5000円チャージ」というような設定をするのがいいだろう。
(文、撮影・小林優多郎)