独立して株式会社を作ってみた。コストと時間と手間はどのぐらいかかったか

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2018年12月1日にFacebookでこんな投稿をしました。

「今までフルタイムで働いていたのですが、週に1回勤務に変更したので、平日かなり時間ができる予定です。何か面白い話があればメッセージ下さい」

それから3カ月。この投稿がきっかけで仕事の話がいくつか来たのです。上場企業を含む大きな会社からの仕事の打診もありました。

実際に取引がスタートした際に、個人事業主よりも法人(例えば株式会社)の方が取引しやすいのでは?と考えたことと、会社設立にはどんなステップが必要なのか知ってみたいという知的好奇心がムクムク湧いてきました。

そこで自分で株式会社を作ってみることにしました。

会社は1円でできる?

お金

撮影・今村拓馬

株式会社は「1円」でもできると聞いたこともあったので、簡単なのだろうと想像していたのですが、結論からいうと、かなり簡単です。しかも役所の人たちはかなり親切。しかし、当然ながら、「1円」ではできませんでした。

まず何をしてよいかも分からないので、「会社設立」で検索しました。私が検索した結果では、「広告」が4つほど並び、その見出しは「どこよりも安く」「16万円」という値段についてと、「最短1週間」「最短1日」という期間についての言葉が並びます。

広告の後には、会社設立のノウハウ記事と、freeeの「必要な書類を0円で」「書類作成代行5900円~」「実績1万3000社」という内容が並びます。

その後は、融資、補助金についての記事です。

これらをざっと見ただけで、「いくつかの書類を作る必要があること」「書類のフォーマットだけだと0円で作る方法があること」「その書類作成を代行してくれる会社があること」。加えて「手続きに16万円以上かかること」が分かります。

きっと書かれていないお金も必要なはずです。かなり悩んだのですが、初めてのことを学ぶ勉強代だと思い「株式会社を作る」ことにしました。

会社名、事業内容などを決めておく

会社の風景

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名前を知っていたので、「会社設立freee」という無料アプリを使うことにしました。

まず設立する会社情報を「入力」します。これは会社登記に必要な情報です。「会社名」「会社住所」「代表取締役」「取締役」を入力します。

会社設立の前から、会社名は悩んでいました。最終的には「株式会社中尾マネジメント研究所」としました。メモを見返すと社名候補として「遊学働研究所」「PLW研究所」「中尾隆一郎マネジメント」「中尾隆一郎マネジメント研究所」などを考えていました。

続いて「事業内容」を入力します。自由記述もできるのですが、選択肢の方が楽ちんです。「資本金」「取締役会設置の有無」「取締役の任期」「公告の方法」「連絡先」を入力します。この「資本金」が1円からでもOKなのです。

今後の運営を省力化したいので「取締役会」は設置せず、「取締役の任期」も最長の10年を選択しました。「公告の方法」は、「電子定款」を選択。紙を選択すると4万円の印紙代がいるそうです。これで4万円のコスト削減です。

ここで初めて会社設立freeeが販促活動を始めます。この手続きを「5000円」で代行するというのです。ただし会計freeeの年間契約をすると5000円が無料に。何か会計アプリを使う予定でしたので、申し込みました。

続いて「会社の印鑑」の準備をしてくださいと出ます。確かに必要です。うちでも作れますよと販促してきます。販促が上手です。入力した「社名」など確実に連携が取れるので、これも購入しました。1万3000円くらいで、3つの印鑑を作ってくれました。

ここまで事前に入力内容を決めておけば、1時間もかかりません。これで大半の必要書類と手続きに必要な印鑑証明の数などが分かります。かなり便利です。

「設立」つまり登記作業に移ります。

会社風景

MIND AND I/shutterstock

ここからがオンラインだけではできない作業です。これらがすべてオンラインで完結するエストニアが羨ましくなります。

まずは「定款」を公証役場で受け取る段取りを決めます。受け取る「公証役場」を決め、そこに「電話」(!)して公証人の氏名を確認し、受け取る日時を予約します。「電子公告」の内容をチェックし、印鑑証明書、暴力団関係者でないという申告書、顔写真付きの身分証明書(運転免許証など)などと一緒に会社設立freeeにアップロードします。

本来は、公証人への代行費用(これは会計freeeの年間契約をしたので無料)を入金します。

定款を袋とじするなど初めての経験もしました(笑)。承認を受けた定款のコピーをもらうための新しいCD-Rが必要で、200円くらいで購入。現金で定款を登録するための5万2000円も必要です。なかなか大きなお金です。印鑑証明300円も必要です。

公証役場での作業は、30分ほどで終わります。

次は「出資金」を入金します。まだ会社ができていないので、法人口座ではなく、個人口座に「入金」しなければいけません。現在の残高に「資本金」分の額があってもダメなのです。意味が分かりません。他の個人口座に「入金」して、通帳などのコピーが必要です。資本金を300万円にしたのですが、通常のATMでの振込上限額を100万円にしていたので、窓口で振り込みをし、手数料が800円強必要です。細かいお金が出ていきます。

次は「登記書類」を準備し、法務局に登記をします。7種類の書類が必要なのですが、会社設立freeeがすべて準備してくれているので助かります。法務局に必要な書類と定款、資本金を入金したコピーを準備し、登録免許税として15万円を持っていきます。最後に大物が残っていました。

数日後に何も連絡がなければ登記完了。今後の作業に必要な印鑑カードなどを再度法務局に行き入手します。カードは端末に必要事項を入れるとすぐに交付してくれるのですが、何度も足を運ぶ時間が必要です。

私は年末から始動し、年末年始は動けなかったので、1月24日に登記が終了。実質3週間ですね。

最終的にかかったコストは?

これで終わりかと思うのですが、まだまだ続きます。

年金事務所に行き自分含め従業員の登録をします。税務署、都道府県税事務所、市町村役場に行き税金周りの手続きをします。税金関連は書類を3種類作っておけば、3カ所のうち1カ所に行った際に、他の2カ所に送ってくれるという少し便利なサービスがあります。しかし、少なくとも1カ所には行く必要があります。

この前後でようやく法人用の銀行口座を作ることができます。法人口座には、実態を証明するためのパンフレット、チラシもしくはHPが必要です。私はHPを作ることにしました。

友人に相談するとGodaddyがよいという話を聞いたので、HPのドメインを購入(1500円/年)、レンタルサーバとHPビルダー(1000円/月)とG-Suite(700円/月・アカウント)を準備。並行して名刺を作成します。こちらは自分でロゴを作り、家族に手伝ってもらい名刺ソフトに入稿しました。1箱100枚で1500円程度でした。

これでやっと始動ですが、実際は途中、会計freeeや人事労務freeeの登録、途中でのGodaddyなどのFAQなどでサポートを受けました。想像以上に丁寧にサポートをしてくれるので、そんなに手間はかかりませんでしたが……。

会社を登記して、その後1カ月、空き時間でこれらの作業を進めました。そしてようやく3月1日に始動。かかったコストは約25万円(資本金除く、交通費込み)。かけた時間は約30時間(移動時間込み)でした。みなさんの参考になれば嬉しいです。

中尾隆一郎:株式会社中尾マネジメント研究所代表取締役社長。大阪大学大学院工学研究科修了。リクルート入社。リクルート住まいカンパニー執行役員(事業開発担当)、リクルートテクノロジーズ社長、リクルートワークス研究所副所長などを経て、現職。株式会社「旅工房」社外取締役も兼任。

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