Fitbitは新型ウェアラブルデバイスを3月に発表した。
IDCの調査結果によると、ウェアラブル機器の出荷ベースでのグローバルシェアは1位が中国・シャオミ。2位がアップル。そして、3位がFitbit(フィットビット)となっている。
日本でもFitbitは、3月8日に新製品を発表。スマートウォッチの「Fitbit Versaライトエディション」や活動量計の「Fitbit Inspire/Inspire HR」、子ども向けの「Fitbit Ace 2」といった4製品の日本展開を発表。2019年第2四半期の発売予定のAce 2以外は、すでにAmazonなどでの販売がスタートしている。
筆者はテック記者という職業上、複数のウェアラブル端末をこれまでに試してきた。画面のついていないようなシンプルな活動量計から、電話がそのままできるスマートウォッチまで。多彩なウェアラブルデバイスがあるが、今回発表されたInspire HRがかなり初心者にもオススメできる価格帯で、かつ十分な機能を備えていると感じている。筆者がInspire HRを約10日間使ってみた感想と合わせてその理由を説明しよう。
約18gの軽さが日常使いにちょうどいい
リストバンド型のInspireシリーズは心拍数計測が可能なInspire HRと非対応のInspireの2種類がある。
Inspire HRがオススメできる理由を大雑把にまとめると以下の2つになる。
- 全体の重さは約18gと超軽量なので、睡眠時に着けていても気にならない
- 歩数や消費カロリーはもちろん、心拍数と睡眠のデータを記録可能
まず、なんといっても小さくて軽い。例えば、シェア1位のシャオミの現行機種「Xiaomi Mi band 3」は約20g(公称値)、シェア2位のアップルのスマートウォッチ「Apple Watch Series 4」は軽いモデルでもケースだけで約30.1gとなっているが、Inspire HRは実測値でバンドも含めて約18gと超軽量だ。
バンドを着けた状態だと実測値で約18g。
文章で読んでも、たった数グラムの違いとしか思わないかもしれない。しかし、毎日装着しているもので、しかも本機は睡眠データの測定も可能という性質上、就寝時も装着するものだ。筆者はこれまでにも睡眠データのとれるウェアラブル機器を常用していたことがあったが、やはり腕に何か重りが着いている感覚はややストレスだった。
その点、Inspire HRは標準のシリコン製バンドのしっとりとした装着感も相まって、ほとんどストレスなく着けていられた(ややホコリが付着しやすいのが玉にきずだが)。
活動量・睡眠の測定に加え、スマホの通知も受け取れる
Fitbitで測定したデータはウェブ上のダッシュボードでも確認できる。
そして、このサイズに関わらず実用性も兼ね備えている。Inspire HRで取得し確認できるデータは主に「運動量」「睡眠時間と質」「心拍数」「消費カロリー」などだ。iOSやAndroidのスマートフォンはもちろん、Windows 10のPCとペアリング設定さえすれば、あとは装着するだけでいい。
睡眠データに関しても寝る前に「睡眠モード」などに切り替える必要はなく、装着したまま寝て起きればデータが記録される仕組みだ。
取得したデータはアプリでチェックできるほか、データ自体はクラウドに保存されるため、Fitbitの公式サイトにログインしても確認できる。
Inspire HR本体の操作は左側にあるボタンと有機ELディスプレイへのタッチ・スワイプ操作で行なう。
Inspire HRのディスプレイは小さくモノクロでしか表示できないが、その分コントラスト(明暗差)は高く、日光下でも時間やスマートフォンの通知情報などを視認できる。
なお、連続駆動時間は公称値で最大5日だが、スマートフォンからの通知などが多いとより早くバッテリーは消耗する。筆者はSMSやLINE、Twitter、Facebook Messengerの通知を受け取るようにしていたため、2日はギリギリ持ちそうといった具合だった。
バッテリー容量がそこまで大きくないせいか、充電スピードも結構早い。
ちなみに、睡眠時も装着するとなると本体の充電をいつするかが問題となるが、公称値ではゼロから満充電までの充電時間は約2時間。実際、2日に1回くらいの感覚で、外すことが推奨されている入浴の前後の2時間弱で端末を充電すれば問題なく使い続けることができた。
自分の体のステータスを客観的に判断できる
自分の体の状態の一部が、データとして可視化される。
筆者はInspire HRを使う直前までは心拍数と睡眠データは計測できないスマートウォッチを使っていた。主な理由は、運動をあまり生活の中でしておらず、どちらかと言えば便利なガジェットとしてウェアラブル機器を活用していたからだ。
しかし、心拍数や睡眠データが計測できるInspire HRを10日間使ってみたところ、運動をするようになったというより、「疲れ」の傾向を認識できるようになったと感じている。
睡眠データを計測した結果。睡眠時間だけではなく、「起きている状態」「レム睡眠」「浅い睡眠」「深い睡眠」の4段階の状態の遷移や時間がわかる。また時間については自分と同じプロフィールの平均値もわかる。
例えば、筆者は目標睡眠時間を6時間と設定しているが、海外の発表会記事を書くなどといった理由でこれらを下回ると、翌日には如実に睡魔に襲われるだけではなく、気力が損なわれる。もちろん理由はハッキリしているので、今までも「寝不足で疲れる」とはわかっているのだが、いざそれがデータとして提示されると「今日は早く休まないと」と思うようになった。
心拍数は一定値を超えると脂肪燃焼、有酸素運動などと評価される。筆者は運動をしていないせいか、高くなっても脂肪燃焼どまり。
また、心拍数の変化の様子を見るのもおもしろい。例えば、取材で歩き回ったりすることが非常に多かった日や、行きも帰りも満員電車でヘトヘトになった日。そのタイミングは心拍数として記録されている。1日や1週間を振り返って「なんで疲れているのか」と原因を究明するのに役に立つ。
約2万円のコストパフォーマンスは十分
スマホの各種通知も受け取れるので、健康管理と便利さ、どちらも兼ね備えている。
当たり前のことだが、ウェアラブル機器を装着したところで健康になるわけではない。運動をする人であれば効率的に運動できているのかが、また自分のようにそうでない人は、今までなんとなく感じていた「寝不足」や「疲れ」が可視化されるので、効果的に休息をとることが可能になる。
Inspire HRの家電量販店のサイトなどでの価格は2万1470円(税込)。単に歩数などの活動量をとるだけであればやや割高に感じるが、装着して得られるデータとそれを活用した体調管理ができると考えれば、そこまで高い買い物ではないはずだ。
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(文・写真、小林優多郎)