列車の脱線事故でクラークフォーク川に落ちたボーイング737の胴体部。2014年。
Thomson Reuters
- 5カ月感に2機の737MAXが墜落したことで、ボーイングはここ数年で最悪の危機に直面している。
- 世界中で737MAXの飛行停止が続くなか、複数の航空会社は発注のキャンセルを考えている。
- JPモルガンのチーフ・エコノミストは3月22日(現地時間)、ボーイングの低迷はアメリカ経済全体に影響を及ぼす可能性があると述べた。
- その影響は今年1月に終了した35日間にわたる政府機関の閉鎖より大きくなる可能性がある。
仮にボーイング737MAXの発注キャンセルが続けば、アメリカ経済に与える影響は35日間にわたった政府機関の閉鎖よりも大きいものになる可能性があるとJPモルガンは述べた。
3月22日(現地時間)のクライアント向け文章で、JPモルガンのチーフ・エコノミストは、5カ月間に2度の墜落事故を起こし、世界中で飛行停止となっている737MAXの生産をボーイングが中止せざるを得ない状況になれば、四半期のGDPに影響が及ぶ可能性があると述べた。
「もしも問題が素早く解決されず、737MAXの生産をしばらくの間、中断することになれば、生産を中断した四半期はGDPが0.15%低下する可能性があり、年に換算すると0.6%の低下となる可能性がある」とマイケル・フェローリ(Michael Feroli)氏は述べた。
比較すると、アメリカ議会予算局は、1月25日に終わったアメリカ史上最長の政府機関の閉鎖により第1四半期のGDPは0.4%低下したと試算している。数千人もの政府機関関係者の給与が支払われず、支出が低下したことの影響だ。
「現在までのところ、737MAXの生産は続いており、GDPへの短期的な影響はないと考えている」とフェローリ氏は述べた。
そして、同氏はむしろ今回のことは「GDPの内容に影響を与え、在庫の増加、ビジネス投資と輸出の低下をもたらす」と考えていると付け加えた。
737MAXは歴史上、最も販売数の多い飛行機になると期待されていた。しかし現在、世界中で運航されている400機近くは飛行中止となっている。そしてインドネシアのフラッグシップ・キャリアのガルーダ・インドネシア航空は49機分、50億ドル(約5500億円)の発注をキャンセルする方向に動いている。737MAXはボーイングの受注の80%を占める。
「当社のアナリストによると、2019年の737の売り上げは約350億ドルと想定される。90%が737MAXで、国内の旅客機生産の約4分の1を占める」とフェローリ氏は語った。
[原文:Boeing's 737 Max crisis could have a bigger effect on the US economy than the government shutdown]
(翻訳:忍足 亜輝、編集:増田隆幸)