フィットネスの効果は健康になることだけではない。社会を変えるそのパワーとは

健康ブームが止まらない。近年では健康経営が推進され、健康は企業からも熱視線を集める。健康な身体づくりに欠かせない要素の一つがフィットネスだ。しかし実はフィットネスは健康の維持・増進だけではなく、社会を変える大きなポテンシャルを秘めている。

その理由について「エニタイムフィットネス」を運営する株式会社Fast Fitness Japan代表取締役CEO兼COO土屋敦之氏と「がんの子どもを守る会」の支援などを行う元プロレスラーでエニタイムフィットネス等々力店オーナーの小橋建太氏に話をうかがった。

フィットネス人口が増えることで社会の幸福の量が増える

インタビューに応じる株式会社Fast Fitness JapanCEOの土屋敦之氏

国内でエニタイムフィットネスを運営する株式会社Fast Fitness Japan代表取締役CEO兼COO土屋敦之氏。アメリカ発のシンプルなフィットネスジムであるエニタイムフィットネスは、2010年に日本で1号店をオープン。またたく間に規模を拡大し、2019年3月には500店舗に到達した。

「現在、日本のフィットネス人口は全体の約3%。僕たちはこれを10%まで引き上げたいと考えています。10人に1人が日常的にフィットネスに取り組むことで、運動をすることが当たり前の社会になっていく。そうすれば健康を維持・増進できる人が増え、国全体にかかる健康保険料を少しでも減らすことができるはずです」

土屋氏のビジョンは明快だ。フィットネス人口を増やすことが社会を少しでも良くする要素になると考えている。

アメリカでは約17%、イギリスでは約14%と、欧米では多くの国でフィットネス人口が10%を超える。セルフマネジメントの考え方が浸透しているため、自分の健康は自分で守ることが当たり前だからだ。対して日本ではその考え方がまだあまり浸透しておらず、超高齢社会において医療費の増大が社会問題となっている。

「フィットネスの効果は幅広い。ワークアウトをすることで、理想的なボディを作り上げてもいいし、ただ気持ちをリフレッシュさせてもいい。フィットネスを日常に取り入れることは、みなさんの毎日をちょっと幸せにすることにつながるんです」

できることは健康保険料の低減だけではない。身体だけでなく精神面の健康を促すフィットネスに取り組む人が増えれば、社会全体における幸福の量が増え、ストレス社会を変えていくことができる。

がんの経験から健康を見直すように

インタビューに応じる元プロレスラーである小橋建太氏

元プロレスラーである小橋建太氏。2006年に腎臓がんを発症するも闘病の末に2007年には戦線に復帰していた。2013年に現役を引退後は、個人事務所「Fortune KK」を立ち上げ、エニタイムフィットネス等々力店の経営をしたり、小児がんの啓蒙活動に取り組んだりしている。

「汗を流すことは身体にはもちろん、心にも効く。汗を流すと頭がスッキリする。リフレッシュできると日々の生活は変わっていくはずです」

小橋氏は腎臓がんを患い、見事に回復を遂げた経験を持つ。健康の尊さを誰よりも知る小橋氏は、健康を保ち日々身体を動かすことの喜びを多くの人と分かち合いたいと考えているようだ。

「僕はずっとフィットネスのジムのオーナーになってみたかったんです。数あるフィットネスジムからエニタイムフィットネスを選んだのは、利用者が使いやすいというのが一番の理由。低価格で運動の場を提供できるという点に惹かれました」

持続性が重要なフィットネス。「気軽にできる」がポイントに

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エニタイムフィットネスは小規模であるためアクセス至便の好立地に出店することができる。24時間利用できるため通勤通学のついでに通いやすい。

健康の維持・増進のためにフィットネスジムに通いたいと思っている人は少なくない。しかし、できない理由は山ほどある。主な理由は時間・場所・金がないためだ。これまでは、とくに働き盛りの現役世代が通えるジムが少なかった。

「女性に人気のヨガやサーキットトレーニングのスタジオは既に多数展開されていましたが、意外にも20代〜40代の男性が通える場所がなかった。エニタイムフィットネスはプールもスタジオもないマシンだけのジムですが、この層のニーズにはぴたりとマッチしたんです」

初出店からわずか9年で500店舗オープンと急成長を遂げたエニタイムフィットネスの躍進について土屋氏はそう分析する。

エニタイムフィットネスは駅前に小規模で出店していることが多く、通勤前後にさくっと通うことができる。しかも24時間年中無休で、国内外すべての施設を利用できるため時間や場所がないという問題を解決した。 さらにマシンジムに特化し、プールやサウナなどの豪華施設に投資していないため比較的低価格で快適なジムを利用することができる。

時間、場所、金の問題が解決された今、フィットネスに取り組まない理由がなくなってしまったと嘆く人が現れるかもしれない。

フィットネスがさらに多くの人と社会を元気にできる理由

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エニタイムフィットネスは高校生が無料でジムを利用できる「HIGH SCHOOL PASS」やユニバーサルデザイン店舗を導入。より多くの人がフィットネスに親しめる環境を整え始めている。

エニタイムフィットネスは、身体を動かすことで手に入る幸福を一人でも多くの人に届けるための施策に取り組んでいる。 その一つが、高校生が無料でジムを使える「HIGH SCHOOL PASS」の導入だ。学校へ行けない、指導者や設備の不足で正しいワークアウトが行えないなど、実は10代が抱える運動への悩みは多い。

「HIGH SCHOOL PASS」とはそんな高校生を救うために打ち出されたプランで、利用者はおよそ5000名(2019年1月時点)に上る。10代のころに正しいフィットネスの方法を身につけることは、その子の生涯に渡っての重要な資産となることだろう。

シニアや障がいを持つ人にもフィットネスができる環境を提供するべく、2019年3月からはユニバーサルデザイン店舗の運営にも乗り出している。ジムの中の段差をなくし、車椅子がすれ違えるだけの幅のある通行スペースの確保、車椅子からの移動がしやすい高床式のストレッチエリアの設置など東京都福祉保健局のガイドラインに則ったデザインの店舗の開発だ。こちらは2019年6月オープンの多摩センター店から実験的に展開していく。

これまで心理的にも物理的にも外出がしづらかった人に、機会と場所を提供することで、明るい気持ちで過ごす人を増やすことができるというわけだ。

フィットネスから始まる地方創生

座間味村の施設

エニタイムフィットネスは沖縄県座間味村にマシンを寄贈。村民の健康を守るためだけでなく、村の経済を活性化できると期待が寄せられている。

また、フィットネスは地方創生にも一役買うことになりそうだ。エニタイムフィットネスは「Healthier Islands Project」と銘打ち、沖縄県の座間味村にマシンを寄贈。これまでワークアウトの機会に恵まれなかった地域に質の高いフィットネス空間を提供するだけでなく、観光客のいない冬場の経済活動の拠点にする。フィットネスジムを整備することで、キャンプトレーニング地としてアスリートの団体を誘致し、観光のオフシーズンにも経済活動を活性化させることができるのだ。

新しいフィットネスジムは村の人々のコミュニティスペースとしての役割も期待できる。またトップアスリートが集まることは、座間味村で暮らす人々の誇りにもなるだろう。

環境問題にまで配慮? これからのジム経営

2019年3月エニタイムフィットネス記者発表での様子。土屋社長と小橋氏が並ぶ

2019年3月、エニタイムフィットネスは、「がんの子どもを守る会」への協賛を発表。利用者が身体を動かし健康になることが、社会全体へのプラスへつながっていくことをアピールした。

さらにエニタイムフィットネスは独自の取り組みによって、フィットネスジムができることを拡張し続けている。

その取り組みの一つが「がんの子どもを守る会」ゴールドリボンパートナーシップへの協賛だ。前述の小橋氏が架け橋となり、小児がんへの正しい理解を広めるための活動を支援している。

この会の活動について小橋氏は「小児がんは治る病気ですが、罹患した子どもや家族へのケア、サポートが不十分で苦労することが多い。まずは小児がんを一人でも多くの人に知ってもらい、できることを考えてほしい」と話す。

さらに、知的障がいのある人たちがスポーツに親しめるよう支援をしているSpecial Olympics Nipponともパートナーシップ協定を結んでおり、フィットネスに参加することが間接的に社会貢献へとつながる仕組みを構築している。

またエニタイムフィットネスは今後SDGsに即した経営を行っていくことを宣言しており、ここでフィットネスに取り組むことが世界を変えるアクションにつながることになる。

フィットネスジムの経営とは縁遠そうな環境問題への取り組みについて土屋氏は次のように話す。 「前述の座間味村の拠点には、他のジムで入れ替えることになった機材を配置。廃棄となるマシンを減らすと同時に、必要な場所に最も適したマシンを導入していくことで、収益を上げながらできる範囲での社会貢献活動を続けていきます」

フィットネスが個人の健康を守り、それが社会への明るさへとつながり、さらにそこで生まれた収益が個人の力では届かない人のところへ波及していく。 これがエニタイムフィットネスでワークアウトをすることで生まれる社会へのインパクトだ。

■エニタイムフィットネスについて、詳しくはこちらから

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