全てはつながっている? ニュージーランド銃乱射事件の容疑者、オーストリアの極右団体に寄付

デモ

極右団体「アイデンティタリアン運動」のデモに参加する人たち。バナーには「ヨーロッパの未来」と書かれている(2017年6月17日)。

REUTERS/Christian Mang

  • オーストリアのクルツ首相は3月27日(現地時間)、ニュージーランドのクライストチャーチのモスク(イスラム教礼拝所)で50人が死亡した銃乱射事件の容疑者とオーストリアの極右団体「アイデンティタリアン運動」のつながりを当局が突き止めたと明らかにした。
  • ブレントン・タラント容疑者は2018年、この団体に1690ドル(約18万6000円)を寄付したという。
  • アイデンティタリアン運動は、非白人やイスラム教徒はヨーロッパ人の脅威だと主張し、動画を通じて世界中にメッセージを拡散している。

オーストリアのクルツ首相は3月27日、ニュージーランドのクライストチャーチのモスクで50人が死亡した銃乱射事件の容疑者とオーストリアの極右団体「アイデンティタリアン運動」のつながりを当局が突き止めたと明らかにした。

ロイターによると、「ニュージーランドの容疑者はオーストリアのアイデンティタリアン運動を金銭的に支援しており、両者の間にはつながりがあったことが分かった」と、クルツ首相は述べた。

クルツ首相が両者のつながりを認めたのは、アイデンティタリアン運動のオーストリア国内のリーダー、マルティン・ゼルナー(Martin Sellner)氏の自宅を当局が家宅捜索した翌日のことだ。

ロイターの報道によると、検察の広報担当、Hansjörg Bacher氏は26日、アイデンティタリアン運動の金融犯罪容疑を捜査する中で、2018年前半、団体に1690ドルの寄付があったことが分かったと語った。

検察は、この寄付がクライストチャーチの銃乱射事件のブレントン・タラント容疑者によるものではないかとしている。

寄付が「ファシスト」を自称する28歳のタラント容疑者のものとみられるメールアドレスとリンクしていたのだ。

オーストリアの検察は、ゼルナー氏がテロリスト・ネットワークの一部とつながりがあるかどうか、捜査しているという。

ドイツの国際放送「ドイチェ・ヴェレ」は、ネット上に投稿された動画の中で、ゼルナー氏はタラント容疑者とのつながりを否定し、容疑者との接触は唯一、寄付に対するお礼のメールを送ったことだけだと語っていると報じた

ゼルナー氏は自宅が家宅捜索されたことを認め、容疑者からとみられる寄付金は慈善団体に寄付すると語った。

マルティン・ゼルナー氏

マルティン・ゼルナー氏。

Associated Press

動画の中でゼルナー氏は、白人至上主義者のスローガンでもある、イスラム教徒がすぐにヨーロッパの人口の過半数としての白人に取って代わる「great replacement(大いなる交代)」と戦い続けることを誓った。

タラント容疑者が犯行前に投稿したと報じられているマニフェストのタイトルも「Great Replacement」だ。

マニフェストには、容疑者の犯行の動機として、白人が少数派に追いやられているとの自身の信念が書かれている。

反イスラム、反移民を掲げるアイデンティタリアン運動は近年、ヨーロッパだけでなく、カナダ、オーストラリア、アメリカにも広まっている。

人種差別に反対するイギリスの慈善団体「Hope not Hate」によると、アイデンティタリアン運動は「非白人の特にムスリム移民は、白人、非ムスリムのヨーロッパ人に本質的な脅威を突き付けているという思想を支持」している。

ゼルナー氏は、自身の活動は人種差別主義的なものではないと強調してきた

アメリカでは、白人至上主義を掲げるリチャード・スペンサー(Richard Spencer)氏が、自身はヨーロッパのアイデンティタリアン運動に影響を受けたと述べているほか、アメリカ国内の大学キャンパスで白人至上主義のプロパガンダを拡散しているヘイト・グループ「アイデンティティ・エウロパ(Identity Evropa)」もヨーロッパのアイデンティタリアン運動を手本にしているという。

モニタリング・グループによると、アイデンティタリアン運動はそのプロパガンダを、集会の様子やグループのリーダーの語りを織り交ぜながら、巧妙に作られた動画を通じて、ネット上で広めている。

積極的に若者を取り込もうとしていて、その信奉者たちは「ヒップスター・ファシスト(先進的な極右)」と呼ばれることもある。彼らは極右思想を教養のある、体裁の良いイメージとともにリブランドしようとしているのだ。

2018年3月、ゼルナー氏は交際相手でカナダの活動家、ブリタニー・ペティボーン(Brittany Pettibone)氏と、同じくカナダの活動家、ローレン・サザン(Lauren Southern)氏とともにイギリスへの入国を拒否された。当局は、彼らがイギリスに滞在することは「公共の利益に資さない」と判断した。

ペティボーン氏は、アメリカの民主党の幹部が、実在しないワシントンD.C.のピザ店を拠点とする子どもの虐待ネットワークに関与しているとの陰謀説(「ピザゲート」と呼ばれている)を広めたことで、ユダヤ系人権団体「名誉毀損防止同盟(ADL)」のヘイト・リストにその名が載っていた。

[原文:The New Zealand shooting suspect donated money to an Austrian group that is part of a tangled far-right web stretching across Europe, Australia, and the US]

(翻訳、編集:山口佳美)

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