【有休義務化開始】周りの目を気にして休めない人1%の組織とは

「周囲が有休取得しないから休めない」人は全体のわずか1%——。

有休取得率が3年連続最下位(19カ国比較)という残念なランキング結果(2018年エクスペディア・ジャパン調べ)のある日本でも、外資系勤務などグローバル人材では、まるで意識が違いそうなことが、外資系人材エージェントのロバート・ウォルターズ・ジャパンの調査で明らかになった。

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有給義務化ルールの始まる2019年度は、10連休もある。

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働き方改革関連法の成立で、4月1日から「有給休暇(有休)義務化の新ルール」が適用される。

年10日以上の有休が与えられている社員に対し、5日間の有休をとらせることが、会社に義務づけられる。守らなければ罰金を科すケースもある厳しいルールだが、厚生労働省の調査では、「企業が付与した日数のうち従業員が実際に取得した割合」を示す「年次有休取得率」は、5割程度で推移。

政府はこれを、2020年までに70%にするという目標を掲げているが、果たして1年で大きく進化できるのか。そのヒントはひょっとして、同じ日本人でもグローバル企業で働いている人のマインドにあるかもしれない。

有休取得日数

グローバル人材に聞いた休み方の実態

出典:ロバート・ウォルターズ・ジャパン

ロバート・ウォルターズ・ジャパンが「休み方の実態調査」として、英語力と専門スキルを活かして働く会社員554人を調査。2018年度の有休消化日数を聞いたところ、15日以上が26%、10日以上が37%、5日以上が21%と、8割以上の人が年5日以上は有休を消化。6割以上が10日以上の有休を取得できている

一方で、5日未満の有休にとどまった人(16%)に、その理由を聞いたところ「仕事が忙しかったから」(56%)がもっとも多く、「休みたいと思わなかった」(18%)が続いた。

注目すべきは「周囲が有休取得しないから」という、周りに忖度した理由で5日未満の取得にとどまったのは、回答者全体に占める割合では、わずか1%だったこと

というのも、日本人が有休取得率が目立って低い理由として「周りの目」を気にする傾向がありそうだからだ。

エクスペディア・ジャパンが2018年秋に、19カ国約1万1千人に実施した調査では、日本の有休取得率は3年連続最下位。同調査によると、日本人が有休をとらない理由としては以下のとおり。

  • 1位 人手不足
  • 2位 緊急時のためにとっておく
  • 3位 仕事をする気がないと思われたくない

人手不足も職場の事情。緊急時のためにとっておくのは、つまりは普段は休みづらいことの裏返し。仕事をする気がないと「思われたくない」など、いずれも周囲の目や様子を気にしていることが伺われる。

周囲の目を気にするというのは、年向序列で目上を敬い、「和を重んじる」日本人特有の気質に由来しているのだろうか。

しかし、グローバル人材に聞いた今回調査では、「周囲が有休取得しないから」休まない人がわずか1%というのなら、組織の文化や風土に、日本人の休み方は大きく左右されているのかもしれない。

戦略的に休むという発想

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思い切ったリフレッシュがもたらす効果は、思いのほか大きいかもしれない。

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ロバート・ウォルターズ・ジャパンの今回調査では、「有休取得してよかったことは?」も聞いている。

それによると「気分転換」「リフレッシュ」「心と頭をリセット」など、オンオフの切り替え、前向きなキーワードが多かった。調査では「戦略的に休みを活用して仕事の生産性・生活の充実を両立させていることが伺える」と分析する。

4月から、とうとう有休義務化ルールがスタートする日本。19カ国中、3年連続で有休取得率が最下位というエクスペディア・ジャパンの調査が話題になったように、日本人は「休むことが苦手」というイメージが強い。同じ日本でも、周囲に忖度せずに、休めているようにみえるグローバル企業から学ぶことはあるのか。

ロバート・ウォルターズ・ジャパンの担当者は、調査結果を受けて「同じ日本人でも、企業文化がグローバル基準であれば休めている。情報や仕事を属人化しないなど、組織の仕組みや環境づくりが、休み方に与える影響は大きい」と指摘。

また、戦略的な休み方という意味では「日本人は休まないことで、仕事のパフォーマンスを落とさないようにしているが、思い切って休んでリフレッシュすることで、仕事をしている時の生産性をあげるといった発想から、学ぶことはあるのでは」とみる。

取得率7割実現の特効薬?

日本

日本人は、有休に対して罪悪感があるという調査結果も。

撮影:今村拓馬

「親の葬式の日ですら出社していた上司(50代)がいた」(40代前半の女性会社員)「転職で会社を辞める時に溜まっていた有休を初めて消化した」(30代前半の男性会社員)「人手不足で同僚がいっぱいの中、自分だけが連続で休めない」(30代後半女性)

こんな声が上がる日系企業で、年5日間の有休を消化することすら、ハードルが高くなることはやむを得ないかもしれない。しかも、エクスペディア・ジャパン調査によると、有休の取得に罪悪感のある人の割合も日本は6割近く、2位の韓国と並んで高い。

しかし「休むことでリフレッシュし、仕事の生産性を上げている」のであれば、休みたいのに疲弊しながら仕事をしている人と、長い目で見てどちらのパフォーマンスが上がるかは明白だ。休むことに罪悪感をもつ必要はどこにあるだろう?

(文・滝川麻衣子)

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