令和元年の社会人誕生、スタートアップ「合同入社式」に潜入。あの著名投資家もロボット姿でスピーチ!

スタートアップ合同入社式

「スタートアップ合同入社式2019 」での新入社員代表挨拶の様子。

新元号「令和」が発表された2019年4月1日には、多くの企業で新入社員の入社式があった。大手企業に比べて新入社員の数が少ないスタートアップは、「合同入社式」を共催するという。どんな内容なのか?潜入して探ってみた。

祝辞はロボットを遠隔操作して

スタートアップ合同入社式

「スタートアップ9社 合同入社式 2019」で新入社員たちにスピーチを送る、個人投資家の千葉功太郎氏。

「皆さんは、平成最後の新入社員であると同時に、次の元号の最初の新入社員。歴史的な新入社員です」

東京・有楽町にあるヘルスケアスタートアップ、FiNC Technologies(フィンクテクノロジーズ)のオフィス。集まった24人の新入社員は、「スタートアップ9社 合同入社式 2019」の発起人である、元コロプラ代表取締役副社長・個人投資家、千葉功太郎氏の言葉に熱心に耳を傾けていた。

この入社式は今年で2回目。スタートアップは新入社員が1、2人という企業も多いため「一緒に入社式を開催することで切磋琢磨できる仲間が見つかるのでは」と、千葉氏が投資先の企業に提案したことが始まりだ。

参加企業は、さまざまなスペースを時間単位で貸し借りできるサービスを提供するスペースマーケットや、エンジニア向けAIプログラミング学習サービスを提供するAidemy(アイデミー)など9社。千葉氏が起業家コミュニティを主催していることもあり、起業家同士の仲も良いという。

千葉氏のスピーチでは、コミュニケーションロボット「OriHime(オリヒメ)」が、遠隔操作により千葉氏本人の代わりに、登壇。“ロボット姿”の千葉氏は、過去から学んで常識をぶち壊そう、と話した後、こう続けた。

「去年(2018年)僕は、全員スーツでビシッとやれ、と言いました。1年経って(スタンスを)ガラッと変えました。『時代はもうこっちだろう』と」

28社が参加する合同入社式も

社長のメッセージがエモい

入社式のウェブページには、「社長のメッセージがエモい」との声も上がった。

出典:スタートアップ2019 新卒合同入社式

より規模の大きな合同入社式もある。

4月2日に開催される「START-UP 2019 新卒合同入社式」では、28社の参加が決定した。理系学生の人材データベース「LabBase」などを運営するPOLと副業・転職マッチングSNSを運営するYOUTRUSTが呼びかけると、すぐに多くの参加希望が集まった。

規模を拡大した上に、新規受け入れを取りやめるほどの反響だったという。

ウェブページを公開すると、「代表からのメッセージがエモい」などとTwitter上でもポジティブな反応が広がった。開会の挨拶には、クラウドファンディングのCAMPFIRE社長、家入一真氏の登壇も決まった。

スタートアップに新卒採用の動きが広まっている背景には、スタートアップの資金調達額が膨らんでいる、という理由もある。ジャパンベンチャーリサーチが1月31日に発表したデータによると、2018年のスタートアップ資金調達額は前年比22%増の3848億円。過去10年間で最高となった。

スタートアップ合同入社式

チャット小説アプリ「Balloon」を運営するFOWDの新入社員。

チャット小説アプリ「Balloon」を運営するFOWDは、創業2年目ながら新卒を採用している。社長の久保田涼矢氏は自らも24歳と若い。「運営するサービスが主に中高生に向けたものなので、若い世代の感覚がわかっている新卒社員に入ってもらうことにした」と話す。

新入社員としても、「他社同期」がいることは心の支えになっているようだ。

「他の新卒が“同期入社”する会社も、一通り見てみました。事業領域は違いますが、根底に流れる熱は似通っているんじゃないかなって。(他社同期と)つながりができたら楽しいと思う」

前述の「スタートアップ9社 合同入社式 2019」で新入社員代表挨拶を務めた、ファームノートホールディングスの杉本有沙さん(27)は笑顔でそう語った。

(文・写真、西山里緒)

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