iPhone XSを超えたのか? 最新鋭スマホ「Huawei P30 Pro」の最強っぷりを試してみた

Huawei P30 Proでパリ旅行

パリで発表された「Huawei P30 Pro」。パリの観光地をこのカメラスマホと一緒に回ってみた。

日本上陸も期待されるファーウェイの新型スマートフォン「Huawei P30シリーズ」。既出の記事のとおり、P30シリーズは最大4つの撮影用センサーを備えた“高性能カメラスマホ”だ。すでにヨーロッパなど一部の地域では発売開始している。

Pシリーズの歴史を振り返ると、2016年に発表されたP9シリーズ以降、老舗カメラメーカーのライカと協業し、カメラスマホとしての地位を築いてきた。2018年には3眼カメラ搭載の「Huawei P20 Pro」をNTTドコモが国内独占で販売してきた。

今回のP30シリーズの日本展開は現状未定だが、P20 Proと同じく“キャリアも惚れる”カメラスマホに仕上がっているのか。シリーズ内での上位機種である「Huawei P30 Pro」の試作機を使って、実機での撮影性能レビューをお届けする。

※以下の写真は、すべてクリックすると等倍で表示します。写真によっては5MBを超えるデータ量になるため、ご注意ください。なお、今回試した実機は先行レビュー用の開発機のため、実際の製品版とは異なる場合があります。

肉眼でも見えない遠い場所も撮れるズーム機能

50倍のデジタルズームに対応

上位機のHuawei P30 Proは、最大50倍のデジタルズームに対応する。

P30 Proの実力を最も実感できるものは、何といってもズーム(望遠)性能だ。

P30 Proの場合は、光学1倍(標準広角)、光学5倍、10倍のハイブリッドズームをワンタップで切り替えることができ、デジタルズームも含めれば最大50倍という破格のズーム性能を持っている。

NTTドコモが現在扱っているP20 Proは光学3倍、ハイブリッドズームで最大5倍、デジタルズームでは最大10倍に対応。性能的にも、P30 ProはP20 Proよりズーム性能を大幅に強化していることがわかる。

作例を見ると、この倍率からくる「スマホのレベルを超えた撮影自由度の高さ」は一目瞭然だ。今回の撮影はどの写真も三脚なし、完全に手持ちで撮影しているが、スナップレベルでもここまで撮ることができる。

まじめな話、旅好きの人なら、もうコンパクトデジカメは必要ない、と感じる人もいそうなレベルで絵作りは良好に感じる。

【エッフェル塔】超広角撮影時

エッフェル塔 超広角


【エッフェル塔】標準(広角)撮影時

エッフェル塔 標準撮影


【エッフェル塔】光学ズーム5倍撮影時

エッフェル塔 ハイブリッドズーム5倍


【エッフェル塔】ハイブリッドズーム10倍撮影時

エッフェル塔 10倍


【エッフェル塔】デジタルズーム50倍撮影時

エッフェル塔 50倍


【ノートルダム大聖堂】超広角撮影時

ノートルダム大聖堂 超広角


【ノートルダム大聖堂】標準(広角)撮影時

ノートルダム大聖堂 標準


【ノートルダム大聖堂】光学5倍撮影時

ノートルダム大聖堂 5倍


【ノートルダム大聖堂】ハイブリッドズーム10倍撮影時

ノートルダム大聖堂 10倍


【ノートルダム大聖堂】デジタルズーム50倍撮影時

ノートルダム大聖堂 50倍


最大値である50倍のデジタルズーム時は、仕組み上、解像感はやや落ちるが、エッフェル塔に刻まれた文字(フランスの科学者の名前)が解読可能な範囲まで写っているのには驚かされる。

スクリーンショット

50倍のデジタルズーム時も像の顔を認識している。

また、ノートルダム大聖堂を同じく50倍ズームで撮ったときも大聖堂に配置された像の顔までしっかりと写り、本体の顔フォーカス機能が起動したほどだった。「50倍がちゃんと使い物になる」のは、確認しておきたいポイントだ。

鳩 5倍

橋にいたハトを光学5倍で撮影。コントラスト高めのパリッとした絵作りなことがわかる。

もちろん5倍の光学ズーム、10倍のハイブリッドズームの時は、画質も良好だ。街を歩いているときふと目に入った印象的なオブジェクトをやや寄り気味に撮ったり、自分が影を写らないように工夫したいシチュエーションにはピッタリだ。

こんな写真がスマホで撮れるなんて、と思わず吐露するマクロ撮影

マクロ 花1

P30 Proはマクロ撮影もお手のもの。

続いて注目したいのは、マクロ(近接)撮影機能だ。撮影にはモード切替を行う必要があるが、標準状態から2段階程度で切り替えられるのでお手軽に使うことができる。

花 マクロ2

花の中心の花弁部分のくっきりした解像感は、おっと思わせる。

公称値では約2.5cmまで近づくことができ、例えば、花の雄しべや雌しべ、花びらの絶妙な肉厚感が見事に撮影できている。

老舗カメラメーカー・ライカのDNAを感じるフィルター機能

フィルター機能

苺の色合いや、ミントの葉の描写の細かさに目が止まる。やや輪郭強調しすぎな気もするものの、「SNS映え」を狙う写真には向いていそうだ。

P30シリーズの発表会では大々的に紹介されなかったが、前述のとおりP30およびP30 Proのどちらもが、Pシリーズ伝統の「ライカとの共同開発のカメラ機能」となっている。

そのため、静止画も動画も基本的には「標準」「鮮明な色」「ソフトな色」の3段階のフィルター機能を持っており、ユーザーは撮影時に任意に切り替えられる。標準以外の2種類はライカ好きにはおなじみの色合いを再現でき、人気の高い機能だ。

鮮明な色

「鮮明な色」設定+超広角で撮影。広角ならではのレンズの効果を活かしたダイナミックな構図になった。

モノクロ

モノクロモード+アパーチャ機能で撮影。ノスタルジックな歴史ある街並みにはこのモードもよく似合う。

なお、P30/P30 ProはP20シリーズとは異なり、モノクロセンサーは搭載していない。ただし、撮影機能としては「モノクロ」モード(静止画)も含んでおり、モノクロモード時もアパーチャ(ぼかし)やポートレート(人物ぼかし)、プロ(各種撮影設定を任意に指定)の機能が利用できる。

「P30 Pro」は、思わず外出したくなるカメラ

ボケ

4番目の“目”である、ToFセンサー(距離センサー)搭載により、奥にいくにしたがって背景ボケが強くなるような多段階のボケを出すことも可能になった。

試用機を手にして撮影した期間はたった3、4日だが、個人的にはHUAWEI P30 Proのカメラの実力には驚きを隠せない。率直に言って、これまでのスマホのカメラ機能を一段上のレベルに引き上げたといっても良いと思う。

もちろん、ホワイトバランスの調整がやや甘かったり、ズーム機能の細かい操作のしにくさなど、やや不満に思う点もあるが、いずれもアップデートなどで対応可能な範囲だろう。圧倒的な撮影性能の高さに比べれば些細な問題だ。

プディング

暖色系のライトの下で撮った食事の写真。筆者の記憶色には近いものの、もう少しホワイトバランスを調整して欲しいと思う場面もあった。

例えば、カバンにP30 Proさえ入れておけば、超広角レンズで広大な自然の写真を、標準やズーム機能で気に入ったオブジェクトや人物を、そして正面カメラで集合セルフィーを1台で撮ることができる。

しかも、忘れてはいけないのは、P30 Proがスマートフォンであるという点だ。撮った写真はツイッターやインスタグラムにすぐ投稿できることはもちろん、Googleフォトなどのクラウドサービスの同期をオンにしておけば撮った写真は自動的にバックアップがとられ、かつ人物やイベントごとに整理される。

交換レンズなどが必要なく近接、広角、望遠をカバーし、しかも整理や共有も可能。もし、日本に何らかの形でP30 Proが上陸したときには、まさに“思わず外出したくなるカメラスマホ”として活躍するに違いない。

(文、撮影:小林優多郎 取材協力:ファーウェイ・ジャパン)

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