Bebeto Matthews/AP
- アメリカでは、ミレニアル世代がベビーブーマー世代をその数で上回ろうとしている。
- 上の世代が年を取って不動産を売却しようとする中、賃貸市場の成長は今後10年にわたって持ち家市場を上回りそうだ。
- 軟調な建設活動、住宅価格の上昇に伴い、アメリカでは賃貸を選ぶ人が増えている。
上の世代が年を取って不動産を売却しようとする中、賃貸市場の成長は今後10年にわたって持ち家市場を上回りそうだ。
モルガン・スタンレーは、今後10年で住宅の供給が60%ほど増えそうだと、最新の調査メモで述べている。だが、1981年から2012年の間に生まれたジェネレーションYとジェネレーションZの需要は7%ほどしか増えそうにない。
国勢調査局の人口予測によると、アメリカでは2019年、ミレニアル世代がベビーブーマー世代をその数で上回る見込みだ。そして、若い世代は賃貸を求める人が多いという。
アナリストらは、「ジェネレーションZとジェネレーションYは、所有するより借りる方が多いだろう。ベビーブーマー世代が売却することで供給が急激に増え、シングル・ファミリーの正味需要を削ぐことになる」とし、「これが、"所有"が苦戦する一方で、"賃貸"の増加につながるだろう」と指摘した。
Morgan Stanley
地域差もありそうだ。モルガン・スタンレーによると、ニューイングランド地方やラストベルトでは、ベビーブーマー世代の人口が他の世代に比べて最も多く、パシフィック地方やウェスト・サウス・セントラル地方ではその逆だ。
アメリカではすでに、軟調な建設活動、住宅価格の上昇に伴い、賃貸を選ぶ人が増えている。住宅ローン金利は低いが、新たな税法がマイホーム購入のインセンティブを下げている。
キャピタル・エコノミクスのエコミスト、マシュー・ポイントン(Matthew Pointon)氏とアンドリュー・バレル(Andrew Burrell)氏は、「住宅販売は今後2、30年にわたって足踏み状態だろう。これは賃貸セクターにとってはいいニュースだ」と述べ、「アメリカ人が家を買わないなら、その多くは代わりに家を借りることになるだろう」と指摘した。
だが、中には若い世代の住宅需要は今後も持続するだろうとの見方もある。ファースト・アメリカンのチーフ・エコノミスト、マーク・フレミング(Mark Fleming)氏によると、2018年の住宅所有率に占めるミレニアル世代の割合は、他の世代に比べて最も伸びているという。
フレミング氏は、「ミレニアル世代は今後数年にわたって、一般経済と同じように、住宅市場の需要においても最も重要な世代になると見ている」と語った。
(翻訳、編集:山口佳美)