ノルウェー上空での訓練を終え、イギリス空軍フェアフォード空軍基地に戻るB-52ストラトフォートレス。2019年3月28月。
U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Tessa B. Corrick
- 3月末、ヨーロッパに展開中のアメリカ空軍のB-52戦略爆撃機は、ノルウェー空軍のF-16とともにノルウェー海上空で訓練をおこなった。
- ロシアの爆撃機は迎撃機を伴い、同じ日に訓練を行ったと伝えられた。だが、同じ時間に同じ空域にいたのかどうかは不明。
- ロシアはB-52のヨーロッパへの展開に抗議、両国間の緊張は高まっている。
ここ数週間、アメリカの爆撃機はNATO同盟国との定期的な訓練を実施。抑止力を誇示し、紛争の可能性に備えている。
先週、5機のB-52ストラトフォートレス戦略爆撃機がノルウェー海上空でノルウェー空軍のF-16戦闘機と訓練を行った。
ロシアの2機のTu-160爆撃機が護衛にミグ31を伴い、まさに同じ日に訓練を行ったとBarents Observerはノルウェー軍広報官の言葉を引用して伝えた。
3月中旬、B-52はNATO同盟国との訓練のためにヨーロッパの訓練空域に到着した。
ルイジアナ州のバークスデール空軍基地から展開したB-52が、ノルウェー空軍の3機のF-16と編隊飛行。2019年3月28日。
US Air Force
6機のB-52がヨーロッパに展開中。これほどのB-52がヨーロッパに集結したのは2003年以来のこと。もちろん、ロシアは訓練を強く批判した。
3機のB-52がノルウェー上空を飛行。2019年3月28日。
U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Tessa B. Corrick
今回のB-52の派遣は「軍事力のグローバルな展開を通して同盟国およびパートナーへのアメリカのコミットメント」を示すものと米軍は述べた。だがロシアはアメリカとNATOの行動はこの地域の安全と安定性を損なうと主張した。
出典 :Military.com,Fox News
3月28日、イギリス空軍フェアフォード空軍基地を飛び立った5機のB-52は、ノルウェー海近辺でノルウェー空軍のF-16と訓練を行った。
5機のB-52と3機のノルウェー空軍のF-16が編隊飛行。2019年3月28日。
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伝えられたところによると、B-52が参加した訓練では地上目標に対する模擬攻撃も行われた。
出典 :US Air Forces in Europe,The War Zone
同じ日、ロシアの2基の超音速戦略爆撃機Tu-160ブラックジャックは、ミグ31迎撃戦闘機を伴い、ノルウェー海上空で訓練を行ったとロシアの国防大臣は述べた。
超音速戦略爆撃機Tu-160。
Alexei Panov, Sputnik, Kremlin Pool Photo via AP
B-52がヨーロッパ北部を訓練で飛行していた時に、ロシアのTu-160とTu-95はバレンツ海を通過する訓練飛行を行った。
ノルウェー軍の広報担当官はロシアの爆撃機の飛行は「センセーショナルなものでも、異常なものでもない」とBarents Observerに語った。広報担当官はノルウェー空軍の戦闘機は3月28日、爆撃機が通過した際に、機を特定するためにスクランブル発進したと述べた。
ロシアはヨーロッパで訓練中のB-52に対して、戦闘機を何度もスクランブル発進させた。一方、NATOはロシアの爆撃機に対してスクランブル発進した。
ノルウェー上空を飛行するB-52。2019年3月28日。
U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Tessa B. Corrick
イギリス空軍の航空機がロシアのTu-160ブラックジャックを北海上空でインターセプトしたとイギリス国防省はステートメントで述べた。
在欧アメリカ空軍は、ロシアの航空機とのやり取りは十分にプロフェッショナルなものだったとBusiness Insiderに語った。
ここ数カ月、アメリカ軍とロシア軍が接近する事態は続いている。似たような事態は2018年末に行われたNATOの合同演習「トライデント・ジャンクチャー」でも見られた。
ノルウェー上空で訓練中のB-52。
U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Tessa B. Corrick
アメリカとNATOはノルウェーで2018年10月後半から11月上旬にかけて、ここ数年で最大規模の訓練を行った。一方、ロシアはNATO軍からさほど遠くないノルウェー海でミサイル訓練を行うことにした。
ノルウェー上空を飛ぶ5機のB-52。2019年3月28月。
U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Tessa B. Corrick
またロシアは11月上旬、Tu-142哨戒機を訓練の偵察に送り込んだ。
B-52がいつまでヨーロッパにとどまるかは不明。
ノルウェー上空を飛行する4機のB-52。2019年3月28日。
U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Tessa B. Corrick
この地域でのアメリカとロシアの航空機による頻繁な接近は、時に危険ほど近づくこともあり、冷戦期の行動を思い起こさせる。こうした行動はアクシデントや死亡事故、そして事態をエスカレートさせる危険性が懸念されている。
(翻訳、編集:増田隆幸)