買い物ができる広告。
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- アナリストは、インスタグラムのショッピングへの注力は成功し、2021年に100億ドル(約1兆1000億円)の売り上げをもたらすと述べた。
- ドイツ銀行によると、インスタグラム内で決済まで完結させるチェックアウトボタンのような新機能は、インスタグラムの広告価値とマーケティング価値を向上させる。
- ある小売業者は、インスタグラムでショッピングをするユーザーの購買量は、ショッピングする度に増えていくだろうと予想した。
- だが広告主は、フェイスブックは「囲われた庭」システムがユーザーデータを囲い込むのではないかと懸念している。
インスタグラムのショッピングへの注力は成功し、2021年だけで100億ドル(約1兆1000億円)の売り上げをもたらす。
これはドイツ銀行の大胆な分析によるもので、インスタグラムの新しいショッピング機能「チェックアウト」を指している。この機能はインスタグラム内で決済まで完結させる機能で、現在はテストパートナーであるアディダス、バーバリー、M・A・C、マイケル・コース、ナイキ、ワービーパーカー、ZARAなどの数多くの商品をインスタグラムで簡単に購入できる。
これは大きな変化。何かを買うためにインスタグラムを閉じて、販売元のサイトに移動する必要はなくなった。
インスタグラムのチェックアウトボタン。
ドイツ銀行のアナリストは4月1日、クライアント向け文書にチェックアウト機能はインスタグラムにいくつかの点で利益をもたらすと記した。つまり、
- インスタグラム広告の「コンバージョン」を向上させる。つまり本質的に広告の効果が向上し、より多くの利益を生む。
- 新たなタイプの広告をブランドに提供できる。
- 販売手数料を得ることができる。
- インスタグラムの利用時間を長くすることができる。
- どの広告を見たユーザーが何を購入したのか、インスタグラムをどう使っているかなどデータを活用できる。
共同創業者ケビン・シストロム(Kevin Systrom)とマイク・クリーガー(Mike Krieger)の退社によって2019年、開発は混乱するかもしれないが、インスタグラムの新しいトップ、アダム・モッセリ(Adam Mosseri)はアプリのマネタイズに力を入れているとドイツ銀行のアナリストは考えている。
ドイツ銀行の分析にはもうひとつ、興味深い情報がある。
インスタグラムでのショッピングはまだ小規模だが、小売業者は購入者の「購買サイズ」は大きくなると信じている。小売業者は、インスタグラムでショッピングする人の購買量はショッピングする度に増えていくと予想している。
だが、問題が持ち上がる可能性もある。
小売業者にとって、自社の販売サイト、インスタグラム、他のオンラインチャネルにおけるユーザーの詳細な購買データは、eコマースにおける極めて大きなメリットになる。しかしインスタグラムの親会社であるフェイスブックはこれまで、広告主によるユーザーデータの利用を制限してきた。広告主はこれを「囲われた庭」と呼んでいる。
ドイツ銀行は、これがインスタグラムのショッピング機能を利用するブランドにとって、この先の懸案事項になると指摘した。
「議論の余地がある問題が残っている ── ユーザーを囲い込むこと……。この懸念は、インスタグラムがどのような情報を企業側に提供するかということにも関わっているだろう。我々は、ユーザーがマーケティング利用とEメールによるコミュニケーションを承認した場合のみ、インスタグラムはユーザーデータをブランドと共有すると理解している」
もう1つの問題は、そもそも一般的なユーザーがインスタグラムに支払いデータを提供するかどうか。
しかし、ドイツ銀行は、多くのフェイスブックユーザーはアプリ内のツールを使ってチャリティに募金しており、その延長でショッピングについても許容するだろうと述べた。
[原文:Instagram's big bet on shopping could be worth $10 billion in 2021.]
(翻訳:忍足 亜輝、編集:増田隆幸)