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「au PAY」は競合“ナントカPay”と戦えるか? ── 対応店舗、ポイント還元、地味なスタート

au PAY ゲスト

au PAYが4月9日からサービス開始。発表会には、CMに登場する桐谷健太さんと菅田将暉さんも駆けつけた。

KDDIは4月4日、コード決済「au PAY」や「au WALLET ポイント運用」「au WALLET スマートローン」といったフィンテック事業の詳細を発表した。

au PAYおよびau WALLET ポイント運用は4月9日から、au WALLET スマートローンは4月下旬から開始予定。開始当初はいずれもau IDを持つユーザー向けサービスとなる。

東海林崇氏

KDDIの取締役執行役員専務コンシューマ事業本部長を務める東海林崇氏。

キャッシュレスを含むフィンテックの取り組みとしては比較的後発の発表となったKDDI。同社は2014年にスマートフォン向けアプリを軸にした決済サービス「au WALLET」の取り組みを開始。取締役執行役員専務コンシューマ事業本部長の東海林崇氏は「金融に関しては一番本気で取り組んでいる通信会社と自負している」と話す。

今、日本では政府や各事業者のキャンペーンなどにより、キャッシュレスに関して大きな時代変化の波が押し寄せている。KDDIもその波に乗ることができるのか?

au WALLET ポイントを中心とした経済圏、キャンペーンも実施

au PAY画面

au PAYは他のコード決済サービスと同じく、バーコードとQRコードを利用。サービス開始当初は、利用者提示型(ストアスキャン方式)のみサポートする。

今回のau PAYに関する発表内容をまとめると以下の通りだ。

  • 4月9日から、コード決済(バーコードおよびQRコード)の「au PAY」がスタート
  • au PAYでは決済のたびに支払い金額200円(税込)につき1ポイントのau WALLETポイントが付与
  • 月額538円(税込)の「auスマートパスプレミアム会員」の場合は、200円(税込)につき3ポイントの付与
  • au PAYでは基本的にau WALLET 残高からの支払いになる
  • 残高へのチャージはクレジットカード(Visa、Mastercard、JCB)、じぶん銀行、au WALLET ポイント、ローソンやauショップの店頭で可能
  • チャージ方法は今後、auかんたん決済からのリアルタイムチャージやセブン銀行ATMでの都度チャージに対応

au PAYキャンペーン

PAYサービスでは恒例となったポイント還元などのキャンペーンも実施。とはいえ「大盤振る舞い」ではなく順当な還元といったレベル。

au PAYチャージ方法

auがサポートする(今後の展開も含め)au WALLET 残高へのチャージ方法。

au WALLET 残高は、今後チャージ方法を拡大していく予定はあるものの、au WALLET ポイントからのチャージが基本となる。現在、au WALLET ポイントは、auの携帯料金の支払時や固定回線や電気などのau系サービスでの付与がメイン。KDDIによると2018年12月時点で1000ポイント以上を持つユーザーが1400万人以上、1万ポイント以上のユーザーは約100万人いるという。

そういったユーザーが使わずに貯め込んでいるポイント、埋蔵金ならぬ「埋蔵ポイント」を、従来から提供しているau WALLETカード(Mastercardのプリペイドカード)やQUICPay+(Apple Pay)がカバーしている以外の加盟店でも積極的に利用させようという意図が、au PAYにはある。

あくまで現段階は「auユーザー限定」のサービス

au WALLETアプリ

au PAYは、今後アップデートされるau WALLETアプリで利用できる。

ただ正直なところ、後発にも関わらず、競合する楽天やLINE、PayPayといった企業のサービスと比べると、やや見劣りするところが多い。

その理由の1つは、au PAYは、前述のとおりサービス開始当初はau IDが必須、つまり現時点では携帯電話などのau回線契約がないと利用できないサービスだということだ。

KDDIはau IDを2019年夏にはキャリアフリー化すると発表しているが、通信事業者の決済サービスであるNTTドコモの「d払い」やソフトバンクおよびヤフーの「PayPay」は、すでに回線契約に関わらず利用でき、楽天やLINE、メルカリなども言わずもがなだ。

2019年夏などと言っているうちに、ユーザーのキャッシュレス利用の習慣は、他社のサービスで定着してしまう可能性も捨て切れない。

使える店舗やチェーン店の規模に不明な部分も

au PAY加盟店ポップ

ユーザーは「日常のお財布」として、au PAYを使えるのか?

また、サービス開始時に利用できる加盟店も疑問がある。現状でははなまるうどんなど一部を除き、すでにクレジットカードや他社のキャッシュレス決済サービスが利用できる店舗がほとんど。

KDDI広報部によると、4月9日時点で利用できる店は「非開示」としている。ローソンや上新電機は4月9日から対応開始と、独自リリースを公開しているが、全体的な規模は明確になっていない状況だ。

au PAY 加盟店

KDDIが公表しているau PAYの加盟店。その多くは、すでに別のキャッシュレス決済が使える店ばかり。

出典:KDDI

KDDIはau PAYの加盟店開拓の工夫として、楽天ペイ加盟店でのau PAYの対応や、食べログと協力して営業を行っていくとしており、後発ながらも他社との連携により着実に加盟店を増やす方針を打ち出している。

そのため、加盟店に関しては今後存在感を発揮していく可能性は秘めているが、サービス開始という最初の山場で、地味なスタートダッシュという印象を持ったのは否めない。

au PAYおよびau WALLETの経済圏が、いかにユーザーや加盟店にとっておトクで便利になるのか。KDDIの手腕が問われる。

(文・写真、小林優多郎)

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