横浜にある「スカイスパYOKOHAMA」が新しくオープンしたコワーキングサウナとは?
空前の「サウナブーム」。個人で楽しむためだけでなく、ビジネスに使える場所としても今注目を集めている。そのワケを「コワーキングサウナ」の聖地で確認してきた。
コワーキング併設で若返ったサウナ
「クーワーク」の一部。飲食もでき、電源やWi-Fiも完備。
横浜駅直結の「スカイビル」14階にある「スカイスパ YOKOHAMA(以下スカイスパ)」。日本初の、サウナとコワーキングスペースが融合した施設「KOOWORK(クーワーク)」を抱えるスパ・サウナとして注目を集める。
早速、館内着に着替えてサウナへ。地上14階ということもあり、みなとみらいの絶景が眼下に広がる!目を閉じれば、しんと静まり返る中に自分ひとりの感覚。たしかにこれは集中力が高まりそうだ。
サウナから上がってコワーキングエリアをチェックしてみると、Wi-Fiと電源が完備。作業できる場所もバリエーションがあり、リラックスして仕事ができる。平日18時頃に訪れた時は、会社帰りと思われる人たちで賑わっていた。
一人で集中して作業ができる「ぼつにゅうブース」も。
この「クーワーク」を設計したのは、コクヨの社員かつ、サウナ部部長の川田直樹さん。もともとサウナ好きで、スカイスパのヘビーユーザーでもあったという。
コワーキングスペースをつくったことで、客層の若返りにもつながった。今までは40代以上の顧客層が中心だったが、20代から30代の利用も目立つようになってきたと、スカイスパYOKOHAMAの担当者はいう。
飲みニケーション代わりにも
地上14階の絶景でサウナに入ると、「サウナトランス」状態に入れるかも!?
ビジネスシーンで、なぜサウナが使われるのか?川田さんと、スカイスパYOKOHAMAを運営する国際企業株式会社 広報の大智由実子さんに教えてもらった。
- ディープワークの場として:ディープワークとは、集中力を極限まで高める仕事方法のこと。サウナは強制的にデジタル機器から遮断される場所なので、自分と見つめ合う時間がつくれるのだという。
- 飲みニケーションの代わりに:川田さんがオススメしていたのがこのサウナ活用法。サウナは入る時間・出る時間もそれぞれ。予定をフレキシブルに調整することができる。飲みが苦手な人でも、同僚と打ち解けて話せる機会がつくれる、というメリットも。サウナ+水風呂の流れを繰り返すことは「居酒屋でいう席替えがすごいハイテンポで起きる」ことに近いため、いろいろな人と話しやすいそうだ。
- 家でも会社でもない、サードプレイスとして:「働き方改革や健康経営が叫ばれるようになってから(サウナへの見方が)変わってきた感じがある」と大智さん。例えばフレックス制の会社で、午後の自宅作業の時間を使ってサウナに来たり、フリーランサーがサウナで仕事をする光景も目立つようになってきたという。
次は「サウナ・オープンイノベーション」も?
「何も着ていない状態なので、本音がポンと出てくる」(川田さん、右)
今後は「サウナを通じた、企業を超えたつながり」を生んでいきたいと川田さん。
スカイスパ YOKOHAMAでは、企業にサウナ好き4人以上がいれば入れる「サウナ部会員制度」がある。会員限定の宴会プランや、サウナハットが借りられたりといった特典をつけ、企業内のサウナ部発足を後押ししている。
登録企業を見てみると、コクヨや日本経済新聞などの大企業や、freeeやSansan、CRAZYといったベンチャー企業が並ぶ。
今後はこうしたコミュニティの活性化をさらに進めていきたいという。
オープン時には、ランサーズ社長やマクアケ社長らが集まり、サウナと経営について語るトークショーなども開かれている。4月末には、サウナ部会員が中心となって主催するイベント「『サウナ部』は日本のビジネスシーンをととのえるのか?!」も行われる予定だ。
実際にスカイスパで、偶然居合わせた企業同士のビジネスマッチングの機会もあったらしく、社交の場としてのサウナの可能性は十分にある、と川田さん。ここから次の「サウナ・オープンイノベーション」が生まれるのかも、しれない。
女性にも広まっていくサウナ
サウナに入ってスッキリすると生産性も向上!?
課題を聞いてみると、女性比率をもっと上げたいとの答えがあった。コクヨのサウナ部でも男女比は37:8とやはり男性中心のコミュニティになってしまっている(サウナ発祥の地・フィンランドでもこの問題は認識されているようだ)。
女性であれば、メイクを落とさなければならないことに心理的ハードルを感じる人も多い。その分、パウダールームが完備していたり、清潔感のあるサウナが今後も増えていくのでは、と川田さんは期待を寄せている。
サウナに入った後に眠ってしまわないように注意?
サウナ部でも、サウナ好きの働く人のことを「サウリーマン」という呼び方から、ジェンダー中立な「サウナワーカー」に改めていったりと、より多様性を持った土壌づくりにも気を配っているそうだ。
最後にひとつ、コワーキングサウナを試してみた課題を筆者からあげておきたい。
サウナ後、やる気も集中力も高まり、さあ仕事をするぞ……と意気込んだはいいものの、サウナでリラックスしたためか、なんとぐっすりお昼寝をしてしまったのだ。
サウナ後の仕事は、“寝ない”工夫をすることも必要そうだ(朗報としては、クーワークでは仕事をしながらコーヒーを頼むこともできる)。
(文・西山里緒、写真・今村拓馬)