VTuberブームで企業と自治体が続々便乗?流行はホンモノか

キズナアイ Vtuber Active8

キズナアイなどVtuberの活動支援を行うActiv8のブース。

バーチャルキャラクターによるYouTuber「VTuber」が登場して約2年半。いまやその数は6000体を超えるとも言われている。YouTuberと同様、「●●を歌ってみた」「●●をやってみた」といった企画モノやゲーム実況、ニュース仕立ての動画などさまざまな動画を投稿している。

「世界初のVTuber」とされるキズナアイは、YouTubeのチャンネル登録者数が計約400万人。すでに人気を不動のものにし、現実世界のライブハウスで音楽ライブを行ったり、企業とのコラボを行うなど活動の幅を広げている。他の人気Vtuberたちも同様の動きを見せている。

一方で、企業や自治体がオリジナルでVTuberを誕生させ、PR活動を担わせるなど、ビジネス面での活用に目をつけた動きが活発化しつつある。

そんななか、4月3〜5日に東京ビッグサイトでビジネス展「コンテンツ東京 2019」が行われた。会場内には、VTuber関連企業を集めた特集コーナーが作られ、来場したビジネスマンたちからも注目されていた。ただし、現状としてはまだ、VTuberという言葉が一人歩きし、流行している感は否めない。

「VTuberって実際どうなの?」「企業や自治体が目をつけているけれども、ビジネスとしてきちんと成立しているの?」そんな視点でコンテンツ東京を見て回ってきた。

アバターかぶればパリコレモデルにも

冒頭で紹介したキズナアイは、2016年12月に初めて動画を投稿。ゲームキャラクター、アニメキャラクターを思わせる容姿や声で、それまでのYouTuberとは一風変わった取り組みに、人気が急速に広がっていった。同時に、VTuberたちが続々と誕生していった。

VTuberの制作受託や制作・運用および支援を行っている360Channel(サンロクマルチャンネル)の中島健登社長は、こう分析する。

「キズナアイちゃんのような人気VTuberが出てきて、VTuberとは何かがわかってきたのが2017年だった。一方、この流行、大丈夫なのかな、意外とやれることが少ないかもと気づいたのが2018年。そこから、音楽ライブとか活動の幅が広がってきているのが2019年です」

キズナアイなど60組以上のVTuberの活動をサポートするActiv8(アクティベート)の担当者は、バーチャルなタレントとして活動する魅力をこう例える。

「現実世界の私たちの活動には、できることとできないことがある。例えば、身長が足りないからパリコレのモデルにはなれないとか。でも、バーチャルの世界でアバター(仮想世界で自分を置き換えるキャラクター)をかぶることで、別のキャラクターになることができる。

VRや5Gなどのテクノロジーはまだ発展途上ですが、ものすごいスピードで進化しているので、今後VTuberがやれることはますます拡充していくのでは。特に通信速度の高速化は、バーチャルタレントにとってシームレスなコミュニケーションを取る上でとても大事です」

企業・自治体がVTuberに飛びつく理由

VTuberモーションキャプチャー

VTuberの3DCG動画を作成するためのモーションキャプチャーを紹介する「SPICE」。

VTuberたちは動画の中だけでなく、現実世界にも飛び出してきている。音楽イベントをライブハウスで開催したり、企業のPRイベントでデジタルサイネージにVTuberを表示する形で登場したり、生身の人間の俳優と交流したりもしている。

世間で人気が出てくると企業や自治体からの注目はやはり高まる。

企業や自治体がVTuberに注目する理由は、その動画視聴者層である10代、20代だという。従来のYouTuberよりもさらに若い層で、テレビよりもスマホなどで動画を楽しむ世代。この年齢層にリーチしたい一部の企業や自治体が、VTuberを起用したり、独自にVtuberを作ることに取り組み始めている。

飲料メーカーのサントリー食品インターナショナルは、2018年8月から公式VTuber「燦鳥ノム」を展開し、商品PRなどを行うなど話題を呼んだ。同社の担当者は、

「キャラクター主体のコミュニケーションをYouTube上で行うことで、よりお客様にサントリーや弊社製品を身近に感じていただけるのではと考えて企画しました。お客様には好意的にとらえてもらえたようで、今ではチャンネル登録者数が8万人を超え、YouTubeの総視聴回数が約630万人となりました」

と手応えを感じていた。

VTuber安く制作依頼で失敗談も

【写真】ビークエストは競輪AI予想とVtuberを紹介

ビークエストは競輪AI予想とVtuberを紹介

企業や自治体のVTuber活用の成功例が増えている一方で、課題もある。現状としては、誰に何を頼んだらいいのか、どのくらい予算が必要なのか……基本的なところが何もわからない担当者が多いという。モーションキャプチャーを使用した動画制作やモーションアクターのコーディネートを行うソリッド・キューブの原田奈美社長は、指摘する。

「Vtuberはトレンドではありますが、皆さん手探り状態。例えば、自治体の方は、こういったコンテンツをどのくらいの費用をかけたらいいのかわからない。その点については。『VTuberできます』という新興の会社が多い中で、しっかり見極めることが重要。安く制作依頼してしまったために失敗して、もう一度作り直したといった話をよく聞きます」

コンテンツ東京のVTuber特設コーナーでは他にも、中京テレビのアナウンス部に所属するVTuber、競輪AI予測を伝えるVTuberなど面白い取り組みが紹介されていた。VTuberが一過性のブーム、一部のファンだけに支持されるコンテンツで終わるのか、ビジネス面などでさらに広がりを見せていくのか、ここからますます注目だ。

編集部より:初出時、Active8(アクティブエイト)としておりましたが、正しくはActiv8(アクティベート)です。お詫びして訂正致します。

(文:大塚淳史)

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