定額制レンタル、後払い決済サービスが急成長。「払わない、返さない、来ない」客にどう備える?

ブランドバッグ

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代金はあとで支払うことにして、とりあえず商品を手に入れたい。いま使っているシャネルのバッグは飽きたから、今週はエルメスをレンタルしよう。歓迎会で使う店をスマホで予約しておこう ——。

いずれも最近、利用が広がっているサービスだ。

しかし、こういったサービスは、貸したものを返してくれない、予約したのに来ない、代金を払わない、といったリスクと背中合わせだ。

新しいサービスの舞台裏には、払ってくれない人に代わって代金を支払う会社や、先に商品を渡しても払ってくれる人かどうかを判断する、新しい「与信」の仕組みの存在がある。

ビジネスモデルは伝統的

小山裕さん

保証会社Gardiaで社長を務める小山裕さん。

撮影:小島寛明

「われわれが提供しているのは、伝統的な民法上の保証の仕組みです」

保証会社Gardiaで社長を務める小山裕さんはそう話す。同社はインターネット広告のフリークアウト・ホールディングス傘下で、2017年10月に設立された。

たとえば、サブスクリプション(定額制)型のレンタルサービスでは、毎月決まった額を支払うと、利用者は高級ブランドバッグを何度でも借りることができる。

借りたバッグを返さないとどうなるか。ブランドバッグは定価で数十万円に達する高価なものもあり、レンタル会社側にとっては損害になる。

このリスクを保証するのが、Gardiaの存在だ。

レンタルする際の契約には、保証会社との契約も含まれている。期日を過ぎてもバッグを返さないと、返却を求める権利がレンタル会社から保証会社に移る。

保証会社は、客にバッグを返却するよう求め、返せない場合は元の価格を支払うよう請求する。

ここで問題となるのは、どこまで強く督促するかだ。

小山さんは「あまりに強い督促をすれば、かえって利用者を萎縮させてしまう。忙しくて返却できなかったとか、うっかり忘れていたといったケースが多いので、それほど深追いをしなくても、ビジネスとしては成り立つ」と説明する。

レストランの無断キャンセル保証

Gardiaが提供しているサービスのひとつに、飲食店を予約した客が来なかったときの保証がある。

小山さんによれば、無断キャンセルの理由としては、大きく分けて次の2つのケースが多いという。

  • デートや接待の前に、和食、洋食、中華など複数ジャンルの店を予約。当日になって相手に希望を聞き、ほかは無断キャンセル
  • うっかりして忘れた

予約サイトを通じて飲食店を予約する際は、規約に、保証会社との契約が含まれていることがある。この場合は、無断キャンセルをすると、事前に決められた額を支払うよう求められることがある。

Gardiaにはこれまでに、50人ほどの宴会が無断キャンセルされた事例についての相談もあったという。

後払いをさせて大丈夫?

秋山恭平さん

後払い決済サービスを手がけるネットプロテクションズのマーケティンググループでシニア・プロデューサーを務める秋山恭平さん。

撮影:小島寛明

後払い決済サービスの背景にも与信の仕組みがある。

「従来と違う情報を使っているので、後払いのサービスが提供できる」

こう話すのは、後払い決済を手がけるネットプロテクションズのシニア・プロデューサー、秋山恭平さんだ。

従来の仕組みでは、次のような情報から、お金を貸しても問題がないかを判断している。こうした仕組みは、与信と呼ばれている。

  • 銀行口座を開設しているか
  • 借り入れがあるか
  • 勤め先
  • 勤続年数
  • クレジットカードの支払いに問題がないか

これに対して、ネットプロテクションズの場合、初回は、住所が存在しないなど明らかに怪しい場合を除き、後払いを受け入れている。

ネットで後払い決済を利用すると、商品を受け取ったあとで、請求書が届き、コンビニなどで支払う。

秋山さんは「払ってもらえない場合、次は止めることになる。リピーターが増えていけば、リスクはコントロールできる」と話す。

きちんと支払いを続ける限り、原則として利用を継続してもらうというのが、ネットプロテクションズの考え方だ。

同社には、後払い決済を利用した人たちのデータが貯まっている。こうしたデータを基に、統計的に「後払いをさせて問題がないか」を判断する。

秋山さんは「ちゃんと払ってくれる人かどうかを判断するうえでは、年収や、どの会社に勤めているといった情報よりも、日ごろから支払い期日を守る人かどうかのほうが、相関性が高いようだ」と言う。

Gardiaも、レンタルを希望する人に関連する過去のデータなどから、貸しても問題がないか店側に情報を送るサービスも提供している。

「一定の確率で出費(損失補てんの必要)が必ず出てくる。そこをどうコントロールするかがもっとも難しい」(小山さん)

新しい信用情報機関に?

ネットプロテクションズのエントランス

東京・麹町にあるネットプロテクションズのエントランス。

撮影:小島寛明

ネットプロテクションズもGardiaも「かなり稀有なデータが貯まっている」と口をそろえる。

ネットプロテクションズの場合、1年で約1200万人が同社の後払いサービスを利用。Gardiaも、サービス開始以降、のべ150万人ほどのデータが貯まったという。

後払いには、給料日前にどうしてもほしい商品を、給料日後の支払いで手に入れるといったイメージがあるが、ネットプロテクションズによれば、利用者の7割が女性だというデータがある。

「後払いの方が、お金の管理がしやすい」「ネットで買っても、実物を見てから払いたい」といった動機で後払いを選ぶ女性が多いという。

後払いの場合、例えば書店では、総額いくら使って本を買ったかだけでなく、どのマンガの何巻を買ったかまで購買データが貯まる。

Gardiaの場合も、どんな条件だと、レストランの無断キャンセルが発生しやすいかといったデータが日々入ってくる。小山さんは言う。

「特異な情報が貯まっていけば、いままでとはまったく異なる、新しい信用情報機関に進化できる。そこが本命だと思っている」

(文:小島寛明)

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