絶好調「良品計画」にかげり。雑貨売り上げ不振で8期ぶりの減益——カギは“値下げ”と海外事業

「無印良品」を展開する良品計画の業績に変調が表れている。

4月10日に発表した2019年2月期連結決算は、売上高に相当する営業収益が4096億円で前期比7.9%の増収となったものの、本業のもうけを示す営業利益が447億円で1.2%の減益となった。

減益決算は2011年2月期以来8期ぶり。決算発表翌日の株価は急落した。国内小売業界の優等生に何が起こったのか。

苦戦の原因はリネン類の不振

無印良品

2011年2月期以来8期ぶりの減益決算となった良品計画。同社の展開する東京都内の「無印良品」店舗。

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業績にブレーキがかかったのは2019年第3四半期からである。上期(3~8月)の売上高は当初計画からわずかに下振れしたものの2012億円(10%増)で着地。営業利益はほぼ計画どおりの235億円(11.5%増)となり、2ケタの増収増益を確保した。

しかし、第3四半期(3~11月)決算で売上高8.7%増、営業利益3.9%増と伸長率が鈍化し、計画未達に終わった。

これを受け、通期業績の見通しを下方修正。売上高は計画比150億円減の4093億円、営業利益は計画比30億円減の470億円に引き下げた。

それでも、通期の営業利益はこの予想からさらに23億円下振れしてしまった。

営業減益となったのは、売り上げが伸び悩んだためである。その結果、販管費の増加分を営業総利益の増加でカバーできなかった。

業績の足を引っ張っているのは、国内事業における生活雑貨の不振。その中でも特に苦戦したファブリクス(リネン類やインテリア)は全社ベースで見ても、通期売上高98.8%と前期を下回ってしまうほどだった。生活雑貨は売上高の5割を超える主力部門であるだけに、売り上げ・利益に与えるインパクトも大きい。

この結果、国内事業の営業利益は250億円で12.1%の減益に陥ってしまった。

約2800品値下げして購買喚起

 無印良品

4月4日には銀座にホテルも一体になった無印良品のランドマーク的な店舗もオープンした。

撮影:西山里緒

生活雑貨の既存店売上高を見ると、9月96.6%、10月98.2%、11月96.9%と下期に入ると前年同月を下回る月が続き、通期では100.3%と微増に終わった。衣服・雑貨の107.5%、食品113.2%に比べて低迷ぶりが顕著だ。

既存店の売上高をさらに客数、客単価に分解してみると、客数は108.1%と堅調に伸びたものの、客単価は92.8%と大きく落ち込んだ。客数が増えているのに、客単価が減少していること考えると、他店に客が流出したというよりも、1品あたりの単価の減少、もしくは買い上げ点数の減少が苦戦の要因と言える。

収益回復に向けて課題となるのは、この生活雑貨の立て直しだ。カギを握るのは、商品の値下げとサプライチェーン改革である。

MUJI HOTEL

日本では初めてとなった銀座のMUJI HOTEL。インバウンド客だけでなく、国内のMUJI好きにもアピール。

撮影:西山里緒

良品計画では2年ほど前からさまざまな商品で値下げを始めている。この1年を見ても、2018年2月に「靴下えらべる3足シリーズ」(990円→890円)、「肩の負担を軽くするPCポケット付リュック」(3990円→2990円)など約2400品目を値下げした。2018年8月には秋冬向けのベッドや収納用品などの家具、衣料品、食器など約300品目、2019年2月には春夏向けの紳士肌着や収納家具などの衣料品・生活雑貨の商品約60品目を値下げしている。

値下げによって購買を喚起し、売上増につなげようというのである。

一方で、値下げによる利益率の低下を防ぐために、製造から物流、販売まで流通の各段階を自社で手掛けるSPA(製造小売)の利点を生かし、産地を移して物流費を削減したり、取引先を集約して原価低減を図ったりして収益を確保する。衣料・雑貨では成果を残した事例もあり、生活雑貨でもこの取り組みが加速することになるだろう。

しかし、値下げとサプライチェーン改革の効果が業績に表れてくるのはもう少し先になる。

中期計画の達成を延期したが……

無印良品 中国

良品計画の中計目標達成に向けて業績を牽引しそうなのが海外事業だ。写真は中国・深センにある宝安国際空港内の店舗。

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2020年2月期の営業利益は、会社見通しで上期1%増にとどまる。通期でも8.4%増で、これまで2ケタ増で伸ばしてきた利益増ペースは減速する。

良品計画は2019年2月期の営業減益という結果を受けて、中期経営計画を修正した。元の計画では2018年2月期を初年度とする4カ年計画で、2021年2月期に売上高5000億円、営業利益600億円を達成することを目標として掲げていた。この達成時期を6カ月延長し2021年8月期(決算期変更予定)としたのである。

だが、6カ月延長しても目標達成はそう簡単ではなさそうだ。2020年2月期に見込む営業利益485億円。ここから100億円強も積み増す必要があるからだ。

中計目標達成に向けて業績を牽引しそうなのが海外事業である。12.1%の営業減益となった国内事業に対して海外事業は堅調だ。2019年2月期の海外事業の営業利益は19.2%増の191億円。

地域別の事業を見ると、赤字の続く欧米事業以外はどの地域も営業利益を伸ばしており、中国を中心とする東アジア事業が29億円増の198億円、西南アジア・オセアニア事業が3億円増の5億円だった。海外事業の営業利益は2020年2月期も12.1%増の215億円を見込んでいる。

海外事業は良品計画の営業利益の4割超を稼ぐ。すでに国内事業と並ぶ主力事業となっている。

2019年2月にはグローバルでの営業力強化を目的に営業本部を立ち上げ、事業拡大に向けての体制を整えたところだ。

とはいえ、国内事業の収益回復が良品計画の最大の課題であることに変わりはない。2019年は消費増税を控え、消費者の価格志向は強まる。同じ商品領域でぶつかるニトリなどとの競争も激しくなるだろう。海外事業を牽引する中国の経済減速という不安定要素もあるだけに、国内事業をどこまで復活できるか。これから正念場を迎える。

神谷武:フリーランスライター。流通専門誌編集者を経て、2019年独立。

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