アフリカで働きたいから電通辞めてDMMへ。ナイロビで美容×広告事業を目指す

新入社員として入社した電通をやめ、アフリカビジネスに飛び込んだ女性がいる。

松﨑冬華(29)。彼女はDMM.com Groupが手がけるアフリカビジネスを担当する国際営業部の副マネージャーとして、2017年9月にDMM.Kenyaを立ち上げた。自らケニアに移住して、今美容事業や中古携帯販売事業などを手がけている。


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DMM.Kenyaを立ち上げた松﨑冬華。

松﨑が働くDMM.com Groupは2015年12月、事業部の1つとしてDMM.Africaを発足。「5年で100億円を投資」という目標を公表し、アフリカへの投資を開始した。

DMMの亀山敬司会長は一人旅でアフリカの数カ国をまわり、現地起業家や要人との出会いを経て、アフリカ市場への投資の可能性を見出したと、DMM.Africa発足後の講演会で話している。

松﨑はもともと電通でファッションや美容関連企業に対し、雑誌や出版系ウェブを中心としたメディアプランニング・メディアバイイングの仕事をしていた。 学生時代に出合ったアフリカでビジネスをしたい。その思いを叶えてくれたのが、DMMだったという。

「資金があること。意思決定のスピード。自分で提案できる環境。これらがDMMを選んだ理由です」(松﨑)

現在はケニア・ナイロビに拠点をおき、ネイルサロン向けのデジタルネイルプリンターの販売、中古携帯のB2B販売、ケニア産ワインの日本への輸出といった業務を手がけている。

日々の本社とのやりとりはFacebookのメッセンジャー等を使って。新たな提案などは亀山会長に直接プレゼンもする。

ケニアだからこそ身につく経営力

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ナイロビのウェストランド地区にあるオフィス。

DMM.Kenyaのオフィスは、ナイロビのウェストランド地区にあるオフィスビルの一角にある。同地区は、官公庁やオフィスビルが立ち並ぶCBD(Center Business District)の北西部に位置する、外資系オフィスや大使館などがある新興オフィス街。在留外国人やミドルクラス以上のケニア人らが利用するようなホテル、レストラン、バー、ナイトクラブも充実している。

日本とさほど変わらないようなこうしたオフィス街の環境がある一方、松崎がケニアで事業展開するにあたっては、当然日本では得られなかったような経営面での挑戦や機会がある。

「想定外だったのは、意外とマネジメントの部分で時間を使うということです。社員が出勤してこなかったり、でたらめな報告があったりもするので、徹底的に管理しなくてはならない」(松﨑)

ケニア人は良くも悪くも自分自身が何をしたいのか、何を優先したいのかに非常に貪欲だと彼女は分析する。それ故、会社と合わないと感じたらすぐ退職する傾向もあるという。

スタッフの平均年齢は20代後半で、今まで雇用した女性7人のうち5人がシングルマザー。彼女たちは一般的なケニア人に比べて、すぐに辞めるリスクも低い上、育児のため無駄な残業もしないという。

日本と比べ、条件さえ揃っていれば、事業のスピード感は早い。

「日本の商慣習によく見られるロイヤルティや義理人情といったものはない代わりに、新規の事業者の参入障壁も低い。その分毎回のビジネスはシビアです」

ケニアでもトヨタなど日本メーカーが築き上げた日本製品に対する認知と信頼があり、「日本人」としてビジネスをすることは強みになると話す。

「アフリカは自分の市場価値があがる場所」

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アフリカに強く惹かれた。やりたいことが見つかった、と話す。

松﨑のアフリカとの出合いは学生時代。旅行でケニアなどアフリカ数カ国を訪れ、「いつかはアフリカで働きたい」と強く思っていた。アジアや南米も回ったが、アフリカの桁違いのカオス感にポテンシャルを感じた。

新卒で広告代理店に就職したのも、ケニアでの経験がきっかけの一つだ。

ナイロビにあるキベラ・スラムで見たコカコーラの広告。全世界に同じイメージで広がるブランド広告を目の当たりにし、広告の世界に興味を持った。

小中高一貫の女子校から慶応大学を経て、新卒で電通に就職といういわゆる王道的なキャリアを歩んできた。だが、父親には「人と違うことをしろ、人と違う視点を持て」と言われて育った。だからこそ、電通を退職してアフリカにいくことには迷いはなかったという。

「やりたいことが見つかった。アフリカという自分だけの視点で、まだ確立されていない領域を現地で究めてみたいと思った」

と彼女は振り返る。自分の市場価値が格段に高まる場所がアフリカだと感じた。

松﨑は近い将来、美容・アフリカ・広告という掛け合わせで、アフリカの第一人者を目指している。

さらに、自分のキャリアだけでなく、ケニアに対する想いもある。

「女性の地位が低く、ラジオ番組などでもコンサバなMCが女性軽視のような発言をする。若い女性たちもシングルマザーが多く、子どもが最優先となり、自分のキャリア形成が考えられていない。同じ女性として、女性の雇用を生み出したい。DMM.Kenyaでの仕事を彼女達のキャリア形成の一歩としてほしい」

ナイロビが気に入り、いつまででも生活できるという彼女だが、結果も出さなくてはならない。売り上げがあがらなければ事業撤退もありうる。

安定した東京での生活とキャリアを捨て、ナイロビでの生活を選んだ。でも、それだけの事業機会や、キャリアのチャンスとやりがいに溢れている場所。それが松﨑にとっては、アフリカでありケニアなのだ。(敬称略)

MAKI NAKATA(マキ・ナカタ):Maki & Mpho LLC共同創業者・代表。南アフリカ人デザイナーの柄と日本のモノづくり要素を融合したインテリア・ファッション雑貨ブランドMAKI MPHO(マキムポ)の企画・販売事業と、世界の時事問題をアフリカ視点から発信するメディア事業を手がける。アフリカ・欧州中心に、世界のクリエイティブ起業家の動向を追い、協業や取材も。コンサルティング会社、大手ブランド会社を経て起業。国際基督教大学教養学部学士、米フレッチャー法律外交大学院国際経営修士。

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