ファーウェイ副社長「トランプ大統領のおかげで知名度高まった」。日本での調達、将来は100億ドル

huawei陳上級副社長

陳上級副社長は1995年にファーウェイに入社した古参メンバーだ。

中国の大手通信機器メーカー・ファーウェイ(華為技術)でグローバル渉外・広報を担当する陳黎芳(チェン・リーファン)取締役兼上級副社長は4月15日、Business Insider Japanなど日本メディアと深セン市で会見を行った。

次世代通信規格「5G」を巡り、アメリカがファーウェイの排除を世界に呼びかけるなど、自社が米中対立の象徴となっていることについて、陳氏は経営への影響は小さくないとしながらも、「意図したわけではないが、世界中にファーウェイのことを知ってもらう機会にもなり、社員はこれまでになく団結している。必ずしも悪い結果にはなっていない」と語った。

「5G」割れる対応

トランプ大統領

トランプ大統領のファーウェイ攻撃は、「悪い影響ばかりではない」と陳氏は語った。

REUTERS/Carlos Barria

アメリカは「安全保障上の脅威」を理由に、以前からファーウェイをビジネスから締め出してきたが、2018年12月のカナダでの孟晩舟副会長兼最高財務責任者(CFO)逮捕を機に、「ファーウェイ包囲網」を強化。他国にもファーウェイの製品を使わないよう呼び掛けた。オーストラリアやニュージーランド、日本などがアメリカに追随する一方、イギリスやドイツは排除しない方針を示唆するなど、対応も割れ始めた。

陳氏は、ファーウェイが2019年3月末までに5G分野で30件、約5万8000基地の契約を獲得したと紹介。

「トランプ大統領が数日おきにファーウェイを攻撃する発言をし、影響力の大きさは認めざるを得ない」と前置きしつつ、「そのことによって、5Gへの理解が進んでいる側面もある。ファーウェイの脅威が強調されるほど、ファーウェイとその技術力に対する認知が進み、今は皆に知ってもらえる存在になった」と語った。

一方で陳氏は、一連の事件をきっかけに、各国メディアへの情報公開の範囲を広げ、ニュースリリースの頻度を増やすなど、広報体制を見直したと明かした。

米政府提訴、「勝算は十分」

セキュリティラボ

以前は写真撮影を認めていなかったセキュリティラボの内部も、最近は一部に限って報道関係者の撮影を許可するようになった。

アメリカとの関係について、陳氏は「コミュニケーションに努力してきたが、受け入れてもらえず、法的手段に訴えることにした」と語った。

ファーウェイは2019年3月、ファーウェイ製品使用禁止を規定する2019年度国防権限法(NDAA)889条が憲法違反だと主張し、アメリカ政府を訴えた。

陳氏は、「まず、アメリカ憲法は選択的、禁止的な法律を許さない。次にNDAA889条は司法・行政上の必要な手続きを取らず施行している点で法的根拠に欠けている。さらに立法と実行の主体が同一で、三権分立が崩れている。以上の3点から十分に勝算があると判断した」と述べた。

アメリカのファーウェイ排除は有力大学にも波及しており、スタンフォード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)など複数大学が、ファーウェイとの共同研究打ち切りを決めた。陳氏はファーウェイが2018年に150億ドル(約1兆7000億円)を研究開発に投資し、うち3億ドル(約340億円)を大学の研究支援に充てていると説明。

「大学が行う研究は、時には数十年の時間がかかり、多くの苦労が伴う。ファーウェイは自社のためでなく、人類が恩恵を受けられるよう、また、商業化を加速させ、学生のスキルアップにもつながるよう、大学の研究開発を支援してきた。政府の圧力でファーウェイとの共同研究を打ち切った結果、影響を受けるのがだれか考えてほしい。ファーウェイとしては予算を他の機関に振り替えればいい話」と語った。

サイバーセキュリティーに20億ドル投資

セキュリティラボ

サイバーセキュリティー部門のトップはイギリス人。現在ラボには約130人が勤務している。

陳氏は、日本企業との関係にも言及した。

日本政府は調達からファーウェイを事実上排除する方針を決め、大手キャリアも通信基地局でファーウェイを排除する方向とされている。

陳氏は、「政府や通信キャリアは、ファーウェイ技術を導入しないという態度を公表しているわけではない」と語り、日本市場はスマホや5Gの販売だけでなく、部品の調達先としても引き続き非常に重要な市場だと強調した。

「ファーウェイは2018年に日本での調達額が66億ドル(約7400億円)に上り、2019年は80億ドル(約9000億円)に増える見通しだ。5年後には5G技術が成熟し、調達額は100億ドル(約1兆1000億円)に達するだろう。ファーウェイはアルゴリズムに、日本は部品に強みを持ち、協力することでグローバルに供給を増やせる」と説明し、調達額を増やす方向に変化はないとした。

また、日本法人の2019年4月入社の新卒採用で11人に内定を出したが、辞退者はゼロだったと紹介し、採用も含めたビジネスへの影響を否定した。

各国が対ファーウェイへの判断を迫られる中、同社は今年、サイバーセキュリティー対策に20億ドル(約2200億円)の予算を組んだと説明。会見に先立ち、自社のスマホ工場やサイバーセキュリティラボを公開した。

ラボの責任者は「ファーウェイはバックドアを許さない。自社で仕込むこともないし、仕込まれることも許さない。万全の対応をしている」と強調し、陳氏も「これまで色々言われてきたが、不正の裏付けをされたことは一度もない。第三者機関に安全性を認証してもらうなど、どの企業よりもセキュリティーに投資している」と話した。

(文・浦上早苗)

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