パタゴニアのCEOが指摘…… 地球を守りたいなら「資本主義には進化が必要」

ローズ・マーカリオ氏

パタゴニアのCEO、ローズ・マーカリオ氏。

Patagonia

ローズ・マーカリオ(Rose Marcario)氏は、金銭的な利益を超えたビジョンを持つCEOだ。彼女はパタゴニアの売り上げを4倍にしただけでなく、人気ブランドを世界を変えるミッションを持つブランドへと育てた。

マーカリオ氏はBusiness Insiderの取材に対し、「お金を稼ぐこと、ビジネスを成功させること、世界に貢献することが共存できないとは思わない」と語った。

マーカリオ氏がパタゴニアに入社したのは2008年。COOやCFOとして創業者のイヴォン・シュイナード(Yvon Chouinard)氏をサポートしてきた。シュイナード氏は1985年、売り上げの1%を草の根の環境団体に寄付し始めるなど、同ブランドをジャケットとプルオーバー以上のものに育ててきた。そして、マーカリオ氏はパタゴニアを経営面で成功に導いただけでなく、シュイナード氏の環境ビジョンを新たなレベルへと引き上げた。

「企業は、顧客や従業員が会社に、態度を明らかにすることを期待していると気付いているはずだ」とマーカリオ氏は言う。「グレーゾーンにはもうとどまっていられない。リスクが高すぎる」と同氏は指摘した。

パタゴニアは2017年、アメリカのユタ州にあるベアーズ・イヤーズ・ナショナル・モニュメント(Bears Ears National Monument)を縮小すると決定したトランプ政権を、それは違法だとして訴えた(同社はこの訴訟の前に、ユタ州の知事がトランプ大統領に縮小を求めたとき、ユタ州ソルトレークシティーで開催されるアウトドア・リテーラー・トレード・ショーのボイコットを成功させていた)。 2018年の米中間選挙では、パタゴニアはリーバイス(Levi's)と協力し、党派に属さない「タイム・トゥ・ボート(Time to Vote)」イニシアチブを立ち上げ、投票日には賛同した400の企業が従業員に対し、休みを取ることを認めた。

最近では、アメリカの金融街やシリコンバレーで愛用されているフリースのベストを含め、同社が法人向けに販売しているカスタマイズ製品について、クライアントのミッションの一部にサステナビリティーに関する計画のある法人のみを新規に迎え入れると発表している。

こうした決定は、地球にとって良いのだから、ビジネスにとっても良いのだ。顧客と従業員は、彼らの生活の一部である企業に対し、より多くのものを求めていると、マーカリオ氏は言う。

同氏は「大企業のCEOから非上場企業のCEOまで、わたしが一緒に働いている全ての人が、変化が必要だと認識している」とし、「健全な地球、そこに生きる健全な人々を守るには、資本主義が進化する必要がある」と語った。

パタゴニアが非上場企業であることのメリットを認識しているマーカリオ氏だが、大企業に影響を与えたり、相談に乗ることもあるという。2009年にはウォルマート(Walmart)と提携して「サステナブル・アパレル・コアリション(Sustainable Apparel Coalition)」を立ち上げ、ナイキ(Nike)やアディダス(Adidas)といったブランドをリクルートした。パタゴニアは生産およびパッケージ廃棄物の削減や温室効果ガスの削減、リサイクル可能なペットボトルをポリエステルに変えるなど、革新的なテクノロジーの利用について、率先して取り組み、成功事例を共有してきた。

マーカリオ氏はまた、パタゴニアのフード部門「パタゴニア プロビジョンズ(Patagonia Provisions)」を再生可能な農業を研究し、広める1つの手段として使っている。

マーカリオ氏の下でパタゴニアは最も評価の高い「Bコーポレーション」の1つになった。「Bコーポレーション」は、ジェイ・コーエン・ギルバート(Jay Coen Gilbert)氏が立ち上げた非営利団体「B Lab」が認定するもので、一定の環境・社会・透明性の基準を満たしているかどうかを証明する。これが、企業に法的に自らの理想と結びつける、州レベルでの「ベネフィット・コーポレーション」法の成立につながった。マーカリオ氏は、もっと多くの上場企業がこの認定を受けることを期待している。

マーカリオ氏は、気候変動という課題を真剣に捉え、環境を考えた取り組みが会社の利益にとってもプラスになると認識している上場・非上場企業のCEOたちの連合があることに期待を寄せている。

「こうした問題は解決できると、非常に楽観的に考えている。わたし自身、問題を解決することが好きで、わたしたちはそれを実現できると感じている。そのためのツールも揃っているし、テクノロジーも持っている。アメリカにはその役に立つ、イノベーティブかつ起業家志向の最高のマインドがある」と、同氏は言う。

「わたしはそれを楽しみにしている。ただ、重要な変化を起こすためには、次の5年、10年が正念場になるだろう」

[原文:Patagonia's CEO says 'capitalism needs to evolve' if we want to save the planet]

(翻訳、編集:山口佳美)

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