なぜ女子高生は「韓国アプリ」に熱狂するのか?美容整形マンガもヒット

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2p2play / Shutterstock

今、日本の女子中高生の間でブームとなっているのが「韓国カルチャー」です。ブームというよりも、もはや文化として根付いています。

K-POPやコスメが流行っているのは知っている人も多いかと思いますが、アプリに関しても全方位でめちゃくちゃ流行っています。今回は、特徴的なものをいくつかピックアップしました。

人気のカメラアプリはすべてSNOW発

韓国アプリ

10代に大人気の“韓国発”カメラアプリ。

撮影:西山里緒

女子中高生のスマホにおいてカメラアプリは、“母艦”のような役割を果たしています。カメラアプリで加工した画像を、さまざまなSNSに投稿するからです。なので、全てのSNSの投稿のクオリティを左右する、とても重要な存在といえます。

なぜインスタやTwitterなどのSNSに付いている加工ツールを使わないかというと、こだわりです。カメラが好きな人がレンズにこだわるように、自撮りが好きな女子中高生は加工に並々ならぬこだわりを持っています。

そのカメラアプリ、この領域は韓国の大手IT企業、NAVER(ネイバー)の子会社、SNOW Corporationの独壇場です。

韓国アプリ

SNOWの加工機能の様子。輪郭もバリエーションに富んでいる。

撮影:西山里緒

SNOWに始まり、B612、Foodieや最近流行ってきているSODA……。いま10代の間で流行っているカメラアプリはほぼ、SNOWが作っていると言っていいでしょう。

B612はもともとSNOWより“盛れる”と話題になって使われはじめました。

ただ、今はインターフェースがSNOWに寄り、機能もほぼ同じなので、2つのアプリで同じ構図で撮って加工して、SNSで友達にどっちが可愛いか判断してもらったり、好きなアイドルやYouTuberが使っている方を選んだりする人が多いようです。

これから来るのは「ナチュ盛り」

さしかえアプリ韓国

最近は、盛りすぎない「ナチュラル盛り」という加工が流行っています。その中で、徐々に人気が出てきているのが、こちらもSNOW Corporationが作ったSODA。

デフォルトである程度加工されていることと、機能を絞り込んで使いやすくしていることが特徴です。ユーザーの30%以上は10代女性に寄ったアプリで、2019年に入ってから3月末時点で月間利用者数(MAU)が3倍に伸びています。

TikTokもそうだったのですが、10代女性から使い始めるアプリは伸びるという法則があるので、ここから爆発的に来るかもしれません。

「Ulike」という中国の加工アプリも20代女性にかなり人気なのですが、こちらは機能が細かくて、しっかり盛ることができます。SODAはSNOWよりもナチュラルかつシンプル、Ulikeは高機能が売りという違いがあります(※MAUなど性・年代別の数字はApp Ape推計)。

「LINEマンガ」は380万MAUに成長

コミック領域でも韓国のアプリや作品はかなり浸透しています。中でも注目を集めたのは、2016年末にNAVER WEBTOON(ネイバーウェブトゥーン)によってローンチされたXOY(ジョイ)というアプリです。このアプリは、今までの漫画アプリにはなかった3つの特徴がありました。

  • 完全無料で広告も掲載しない非課金モデルを取っていたこと
  • 完全縦スクロール制を採用したこと
  • 毎週同時間更新により、読者の「読了コメント」を生み出していたこと

縦スクロールに固定することで、独特のコマ割りや構成を持つWebコミック発の漫画が増加し、ユーザーもスピード感を持って読めるので、筆者も読了後、気持ちよかったのを覚えています。

毎週同じ曜日の午前7時に各タイトルは更新されるので、熱狂的なユーザーは午前7時ぴったりに読み始められるように少し前の時間から待機をするという行動も見受けられました。

1話を全部読むとコメント欄を見ることができたのですが、7時03分ころにはすでに大量のコメントがあり、ファンの熱狂を感じることができました。

上記のような素晴らしい読了体験に加えて、広瀬アリスさんを起用し、BGMにはあいみょんさんの曲を使ったちょっとドキッとさせるCMや大量のTwitter広告で、同アプリは人気を博し、1年で130万MAUを獲得するほどに成長しました。

広瀬アリスさんが出演した、XOY(ジョイ)のテレビCM。

動画: XOY Official

しかし、XOYの成長はそこで止まります。LINEマンガに吸収されてしまうのです。

LINEマンガはプラットフォームの恩恵もあり、もともと多くのユーザーを抱えていましたがピッコマやマンガワンなど他の漫画アプリとのユーザー数の差はそこまで大きなものではなく、2018年3月時点では230万MAUくらい(ピッコマは同タイミングで160万程度)。

一方、XOYは130万MAUほどでした。

さしかえ

韓国発マンガアプリのMAUの推移。

出典:AppApe

ですが、ここからXOYのコンテンツと、それに引っ張られたユーザーを取り込み、LINEマンガは大きく成長します。2019年3月現在約380万MAUまで成長し、ダントツのユーザー数を抱えることになりました。

韓国では“整形”マンガがヒット

韓国アプリ

LINEマンガアプリ内の「外見至上主義」のページ。

撮影:西山里緒

XOYから移行しLINEマンガの中でもトップの人気を誇っているタイトルとして挙げられるのが「外見至上主義」「女神降臨」「私は整形美人」の3作品です。

3タイトルとも、韓国の漫画配信サイト「NAVER WEBTOON」で人気に火が付き、XOYに乗って日本でも人気になりました。

特に「外見至上主義」は、XOYのTwitter広告で頻繁に用いられていたこともあり、ご存知の方も多いのではないでしょうか?

この3作品に共通するのは、容姿を主題に据えていることです。

「外見至上主義」は太った冴えない主人公が、突如超イケメンの身体に入れ替わったことにより心にも変化が訪れ、「女神降臨」はあまり可愛くなかった女の子がメイクで綺麗になることで自意識と生活が変化していく物語です。

「私は整形美人」に至っては、バレバレの整形をした女性が周囲にやっかまれながらも真実の愛を見つけていくストーリーです。見た目を変えていくことを決してネガティブに描かず、生活を変えるための手段として捉えています。

明洞

韓国の流行の発信地、明洞(ミョンドン)。

Yupgi / Shutterstock

筆者はこの韓国コミックの広がりが、韓国カルチャーの広がりにもかなり影響を与えていると考えます。それぞれのコミックでは、出かける場所やストーリーの中に、チーズタッカルビなどの流行りの料理、ファッション・メイクが多数出てきます。

物語にハマっていくと、自然に韓国の文化が好きになっていきます。

容姿への考え方もそうです。メイクや美容整形などの手段を通じて、幸せをつかんでいく様は自分も変われるというポジティブな感情を伝播させていきます。

ネクストブレイクは、整形アプリ

筆者は、次の流れは「美容整形アプリ」だと見ています。韓国では「カンナムオンニ」という美容整形アプリが既に広まっています。

「カンナムオンニ」はGoogle Playの美容カテゴリではMAUランキングトップ10(App Ape推計)に入るほどの人気です。このアプリは、美容整形手術の見積もりを一括で取れたり、整形をした人たち同士でコミュニケーションでき、美容整形へ一歩を踏み出せない人や、術後に不安を持つ人をサポートしています。

筆者は、この流れが日本に必ず来ると考えています。最近のタレントの有村藍里さんの発表でも話題になりましたが、美容の延長線上での美容整形は人気YouTuberやインスタグラマーの間でもかなり一般的になってきています。

また、日本でもまだユーザーはそこまで多くはないものの、Meily、Lucmo、TRIBEAUといった美容整形に関するアプリが出てきました。

Meily CEOの川井優恵乃さんのインタビューによって、美容整形に関する価値観が変わった方も多いのではないでしょうか?

美容整形(正式には美容外科)の業界は未だ、情報が整備されているとは言い難い状態です。Googleで調べても、アフィリエイトサイトに当たることも多いですし、病院公式の情報と口コミも分けられていません。

アプリという完全にオープンではない空間で、美容整形の情報だからこそのインターフェースを提供することには、価値があると思います。コミックなどのソフトパワーと、芸能人の告白などの社会の流れ、使いやすいアプリのインターフェースの3つが揃うことで、美容整形アプリは成長していくと思われます。

女子中高生に流行している「韓国カルチャー」の一部としてアプリを掘り下げましたが、今やアプリ・スマートフォンは体の一部といっても良いほどに、生活に溶け込んでいます。

筆者は今後も、スマートフォン、アプリにまつわるデータを通じて、人々の思考の変化や時代の流れを掘り下げていきます。

(文・杉山信弘、編集・西山里緒)

杉山信弘:フラー株式会社のチーフマーケティングオフィサー(CMO)兼、同社アプリ分析支援事業「App Ape」の事業責任者。コーポレート、サービス双方のマーケティングの統括を行う。直近の仕事は、国内最大級のモバイルアプリに関する式典であるApp Ape Awardの統括。

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