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MAGIC in our lives

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日本のハウス栽培は“フィルム”で変わる ── AGCが農業生産者に支持される理由

| テクノロジー

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エフクリーンの農業用ハウスで艶やかに育ついちご。

エフクリーンの農業用ハウスで艶やかに育ついちご。

品質と収穫量 ──。これをいかに高めていくかが、農業生産者の腕の見せどころ。そして、その技量を支えるのがテクノロジーだ。例えば、農業用ハウスもその1つ。なんだ栽培ハウスか、と侮ってはいけない。ハウスを覆う透明なフィルムには、私たちの食卓を豊かに彩るための技術が凝縮されているのだ。

今、独自素材で世界を牽引するAGCのグループ会社、「AGCグリーンテック」が手がけるフッ素樹脂フィルム「エフクリーン®」が、品質と収量を高めるハウス素材として農業生産者の間で注目を集めている。

AGCというとガラスのイメージが強いかもしれないが、実は化学品の分野でも100年以上の歴史と実績を積み重ねてきている。そのようなバックボーンを持つエフクリーンとはどのような特長を持ち、どのような評価を得ているのか。実際に農業用ハウスに採用している農業法人 株式会社イグナルファーム代表取締役社長の佐藤雄則氏、取締役副社長の阿部聡氏と、AGCグリーンテック 事業統括室の中村英樹氏、同 東日本営業所の浅野由樹久氏に尋ねてみた。

台風でも破れないフィルムとは?

宮城県東松島市にある農業法人 株式会社イグナルファームのいちご栽培ハウス。

宮城県東松島市にある農業法人 株式会社イグナルファームのいちご栽培ハウス。

植物は生育のために、必要な栄養を自らの光合成によってつくり出す。従って農業用ハウスでよりよい作物を育てるには、いかに自然光に近い光環境を実現できるかが鍵となる。農業用ハウスの被覆材として一般的に使われているのは、農業用塩化ビニルやポリオレフィンフィルム(POフィルム)。塩化ビニルは約1年、POフィルムは約5年で劣化するので、張り替えなければ良好な光環境を維持できなくなる。

そこで注目されている商品が、AGCのエフクリーンだ。電子部品材料として開発したフッ素樹脂フィルムを施設園芸向けに商品化したものである。太陽光の94%*をハウス内に採り入れることが可能で、30年を経過してもほとんど劣化せず、光線透過率も変わらないため安定した栽培が実現できる。また、衝撃や曲げに強く、台風の強風を受けてもフィルムが裂ける心配がないため、自然災害が多い日本の気候に適した頼もしい資材なのだ。

*フィルム厚み60μm 自然光タイプの場合)

東日本大震災を経て決断

イグナルファーム取締役副社長の阿部聡氏。

イグナルファーム取締役副社長の阿部聡氏。

宮城県東松島市で営農する「イグナルファーム」。東日本大震災で壊滅的な被害を受けた若手生産者が、農業の復興と持続可能な地元農業の発展のために2011年12月に設立した農業法人である。いちご、キュウリ、トマトなどの栽培を行う農業用ハウスは、ほとんどがエフクリーンだ。

「震災前の個人農家の時代には、値段の安さからPOフィルムを使っていました。でも、法人化してゼロからスタートするとなると、長期的な視点で考えて張り替えの手間やコストがかからないエフクリーンを採用するのは当然の決断でした。例えば1ha規模のハウスの被覆資材を張り替えるには2カ月半ほどの施工期間が必要になります。その間は栽培もできませんから、張り替えによる経済的なロスは極めて大きいのです」とイグナルファームの阿部副社長は決断の背景を語る。

また、イグナルファームのキュウリ、トマトを栽培するハウスではエフクリーンを二重に張ってハウスの断熱効果を高め、冬場の暖房費を大きく節約している。POフィルムでは二重にすると光線透過率がかなり落ちるが、エフクリーンなら二重でも、十分な光量が得られ栽培に支障がないという。

果物、野菜、花。ニーズに合わせたフィルム

エフクリーン自然光ナシジを採用したいちごハウス。

エフクリーン自然光ナシジを採用したいちごハウス。

エフクリーンはバリエーションも多い。露地同等の光環境になる「エフクリーン®自然光」、作物によってUVカット率を選択できる「エフクリーン®GRシリーズ(UVカット)」、太陽光を均等に分配する「エフクリーン®ナシジシリーズ(散乱光)」の3シリーズ。作物や栽培環境に応じて最適なフィルムを選ぶことができるのも、より高い生産性と品質を求める農業生産者にとっては大きなメリットとなる。

とりわけ近年、採用が増えているのはナシジシリーズだ。フィルムの裏面を加工して光が散乱するようにしたことで、ハウスを支える柱の影ができにくくなり、より多くの葉で光合成ができる。

いちご栽培ハウスはなぜUVカットが適さないのか

イグナルファーム代表取締役社長の佐藤雄則氏。

イグナルファーム代表取締役社長の佐藤雄則氏。

イグナルファームのいちご栽培ハウスは、ナシジシリーズの自然光タイプを使用している。UVカット機能付きのエフクリーンの方が、内部資材の劣化を抑えることができるにも拘わらず、あえてそれを選ばなかったのは、いちごという作物ならではの理由がある。

「ハウス内ではいちごの花に受粉させるために、蜂を飼っています。蜂は紫外線を頼りに飛んでいるため、UVカットが施されているハウスだとうまく活動できないのです。また、ナシジタイプはハウス全体にまんべんなく光が当たるので、収量のアップにもつながっていると思います。マイルドな光でいちごが包み込まれる感じで、色づきも均一になりやすいですね」といちご栽培のスペシャリストである佐藤社長は顔をほころばせる。

収穫され、出荷用にパッキングされたいちご「もういっこ」と、イグナルファームのいちごを使用したジャム、アイスクリーム。

収穫され、出荷用にパッキングされたいちご「もういっこ」と、イグナルファームのいちごを使用したジャム、アイスクリーム。

なお、イグナルファームで作られている「よつぼし」といういちごは、銀座の高級カフェが取り寄せるほどの品質を誇る。現段階ではまだ生産量が少ないが、「このおいしさをより多くの人に届けたい」と佐藤社長は目を輝かせている。

菊の栽培から需要が急拡大

AGCグリーンテック 事業統括室の中村英樹氏。

AGCグリーンテック 事業統括室の中村英樹氏。

エフクリーンの販売開始は1988年。従来にない長期耐久性、高い光線透過率、防汚性を持つことから、30年以上にわたり、全国で着実に採用実績を増やしてきた。

クリアタイプが主流であった農業フィルム業界に転機が訪れたのは、2008年にUVカット機能付きのナシジシリーズを市場投入したことだ。

「ナシジはすりガラスのような半透明のフィルムなので、見た目には光の入りが弱いように思われてしまい、20年前はエフクリーン全体の1割も引き合いがありませんでした。実際には、全方位光量子計で測定すると、晴天でも曇天でも、クリアタイプとほとんど光量の差は見られないのにも拘わらずです。ところがUVカット機能を施したナシジを発売し、愛知県の菊栽培農家で使われたのを機に、性能が認められて口コミで全国に評判が伝わり、トマト、キュウリ、花卉(かき)類などのハウスに広まっていきました。今ではクリアタイプとほぼ同じ割合で採用されています」と中村氏はこれまでの経緯を説明する。

AGCグリーンテック 東日本営業所の浅野由樹久氏。

AGCグリーンテック 東日本営業所の浅野由樹久氏。

エフクリーンナシジシリーズは、全国の農家に作物の苗を販売する育苗生産企業からの信頼も極めて厚く、ここ10年の採用率は他の追随を許していない。「“苗半作”という言葉があるほど、農作物の品質は苗の出来に負うところが大きいので、その生産者に高評価をいただけるのは誇らしいことです」と浅野氏は話す。

ただ、日本の農業用ハウスの多くは構造強度の弱いアーチ型のハウスで、エフクリーンが展張できる堅牢な三角屋根型ハウスはまだわずか数%しかない。エフクリーンのシェアを拡大していくには、アーチ型ハウスにも展張できるフィルムを開発する必要がある。同社ではそれを目指して試行錯誤を繰り返している段階だ。

ドイツの大型サッカースタジアムにも採用

 AGCのフッ素樹脂フィルムが採用されたドイツ・ミュンヘンのサッカー専用スタジアム「アリアンツ・アレーナ」。

AGCのフッ素樹脂フィルムが採用されたドイツ・ミュンヘンのサッカー専用スタジアム「アリアンツ・アレーナ」。

提供:AGC

その一方で、AGCのフッ素樹脂フィルムは農業用ハウスに限らず、畜産、養殖、製塩など幅広い分野に用途が拡大している。また、近年は世界各国の大型スタジアムや各種イベント会場での採用実績も急増中だ。

「ドイツ・ミュンヘンにあるサッカー専用スタジアム『アリアンツ・アレーナ』にもAGCのフッ素樹脂フィルムが使われています。柔らかな素材のフィルムで滑らかな曲面の側面・屋根を実現でき、プロジェクションマッピングのようにカラフルな演出を行えることや、グランドの芝生育成に必要な太陽光を採り入れられること、軽い素材なので建物が軽量化でき、コストダウンも図れるといったメリットが採用の決め手になったようです」と浅野氏。


エフクリーンは、灼熱の砂漠から永久凍土の極寒地域まで、現在、世界23カ国で採用されている。あらゆる気象条件下で良好な生産環境を作り出せれば、地球規模で農業の生産効率や品質の向上に貢献することができるだろう。次はどこの国、地域で、どのような使われ方をされるのか。ガラスだけに止まらず、化学の分野でも活躍するAGCの今後の展開に期待がかかる。

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