ついに男性の時代が来た! Gapの最新メンズウェア・ブランドが狙う新たな市場と強み

ヒル・シティ

スタイリッシュでハイパフォーマンスなウェアを提供するヒル・シティ。

Courtesy of Hill City

  • ギャップ(Gap)は2018年10月、新たなメンズウェア・アスレチック・ブランド「ヒル・シティ(Hill City)」を立ち上げた
  • スタイリッシュなハイパフォーマンス・ウェアを手掛けるヒル・シティでは、撥水加工をしたチノパンが128ドル(約1万4000円)、ダウンのジャケットが168ドル(約1万9000円)で売られている。
  • ブランドを率いるノア・パーマー(Noah Palmer)氏はBusiness Insiderのインタビューで、ヒル・シティがいかにアスレジャーやアウトドア服のブーム、ショッピングに対する男性の関心の高まりを利用していくか、考えを語った。

ギャップは、その新たなメンズウェア・ブランドに最新流行と北欧のミニマリストの美学を取り入れようとしている。

2018年10月に誕生したヒル・シティは、男性向けのスタイリッシュでハイパフォーマンスなウェアを提供する。ブランドの平均単価は約80ドルで、撥水加工をしたチノパンは128ドル、ダウンのジャケットは168ドルで販売されている。これは、消費者がこれまでに見たことのない、同社の動きだ。

ヒル・シティはギャップ社の意図を完璧に反映したブランドと言えそうだ。現在では「NewCo」として知られる同社は、ギャップやバナナリパブリック(Banana Republic)、インターミックス(Intermix)、アスレタ(Athleta)、そして直近ではヒル・シティといった、より高い価格帯の、環境に配慮したブランドを束ねている。

一方、価格帯の低いオールドネイビー(Old Navy)はスピンオフ(事業の分離・独立)し、異なる顧客層にアピールする。

ギャップよりもミニマリストかつトレンディーなヒル・シティ

ヒル・シティ

ヒル・シティの「サーマル・ライト・ボンバー」(168ドル)。

Courtesy of Hill City

オールドネイビーのメンズ・マーチャンダイジングの元責任者で、現在はヒル・シティのトップを務めるノア・パーマー氏は、新ブランドのセールスポイントは、ブランドのキャッチフレーズである「服を着替えることなく、全ての活動を乗り切れるメンズウェア」の精神で、見た目の良いハイパフォーマンスな服を提供できる力だとBusiness Insiderに語った。

パーマー氏は「スポーツウェアやハイパフォーマンス・ウェアでうまくいっているブランドは数多くあるが、消費者の1人として、わたしはこれらの服があまりクールだとは思わない」と言い、「生地がものすごくテッキーで、からだのラインにぴったりかつ派手だ」と指摘した。

アウトドア・ブランドは近年、ブームになっている。ザ・ノース・フェイス(The North Face)のウィンター・ジャケットやパタゴニア(Patagonia)のフリースは、山だけでなく、ニューヨークの街中でもしばしば見られる。

ザ・ノース・フェイス

純粋に「実用的なブランド」と見なされてきたザ・ノース・フェイスは、「ファッション・ブランド」へと変化した。

The North Face/Tim Kemple

パタゴニアの広報担当者は2018年、同社の売り上げが過去10年で4倍になったとBusiness Insiderに語った(ただし、非上場企業であることを理由に、具体的な数字は明らかにしなかった)。ガーディアンによると、パタゴニアの2016年の売り上げは推定8億ドルで、2010年の約2倍だという。

同様に、リー(Lee)やラングラー(Wrangler)、ヴァンズ(Vans)の親会社、VFコーポレーションの傘下のザ・ノース・フェイスも近年、売り上げを伸ばしている。純粋に実用的なブランドと見なされてきた同ブランドは、ファッション・ブランドへと変化した。

直近の決算発表では、ザ・ノース・フェイスのアメリカでの売り上げは2018年10~12月期で15%増、4~12月期で8%増だった。

パーマー氏は、ヒル・シティがこうした近年ファッショナブルになったハイパフォーマンス・ブランドと、ライフスタイル・ブランドのギャップを埋めようとしているという。

同氏は、競合するライフスタイル・ブランドは、ヒル・シティに比べて技術面で足りない部分があると言い、ヒル・シティが提供するアイテムは、例えばチノパンなら職場に着て行けるくらいスタイリッシュだが、撥水加工がされているし、軽くて通気性のよいボンバージャケットは、どんな天候でも体温調整可能だ。

だが、ヒル・シティが市場に参入したのは、アスレジャー大手のルルレモン(Lululemon)がメンズウェアの強化に乗り出したタイミングだった。ルルレモンは3月、第4四半期および通期の売り上げが好調だったと発表。これを受け、株価は上昇した。同社は新たに立ち上げたメンズウェア部門を2020年までに10億ドルのビジネスに成長させる計画で、順調に伸びているという。

ルルレモンのCEO、カルバン・マクドナルド(Calvin McDonald)氏は3月、「メンズウェアは未来の成長が期待できる、我々にとって最も大きな、エキサイティングな分野の1つだ」と投資家らに語った。

だが、パーマー氏はあまり動揺していないようだ。

「メンズウェアは盛り上がりを見せていて、どのブランドにもそれぞれちょっとした有利な点がある」

そう語るパーマー氏は「我々は初めから、自らの市場における役割は(ライフスタイル・ウェアとパフォーマンス・ウェアという)スペクトラムの両端を近づけることだと考えてきた」という。

ギャップ社は最も規模の小さいヒル・シティの売り上げなどを明らかにしていないが、同社CEOのアート・ペック(Art Peck)氏は直近の決算発表で、今のところ顧客の評価は上々で、ブランドに新たな視点をもたらすべく、同社のeコマースのメイン・プラットフォームを訪れる数百万の顧客の存在をいかすことができていると述べた。

メンズウェアは新たなウィメンズウェア?

パーマー氏は恐らく、服にもっとお金をかけるようになった男性の変化に最も興奮している。

同氏は「どんなものを着るか、それが自分たちの何を表しているか、気にする男性が増えている。彼らは、自らの可処分所得のより多くをアパレルに使うようになっている」という。

調査会社「ガートナーL2(Gartner L2)」は、今後わずか2年でメンズウェアの売り上げの伸びはウィメンズウェアの伸びを上回るだろうと見ている。また、ユーロモニター・インターナショナルも、今後6年でメンズウェアがウィメンズウェアをしのぐだろうと見ている。

トレンド予想を手掛けるWSGNのキャットウォーク・ディレクター、リジー・ボーリング(Lizzy Bowring)氏は、「ファッションといえば、常に女性のものだった」とBusiness Insiderに語った。

「だが、ついに男性の時代が来た」

[原文:Gap's new minimalist menswear brand is unlike anything we've seen from the company before (GPS)]

(翻訳、編集:山口佳美)

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