新入社員でも知っておくべき、主要Fintech(決済)企業のビジネスおさらい編

【新入社員の皆さんへ】Q. Fintech(決済)企業の主要KPIは?

A. Fintech(決済)企業は、

売上 = 取扱高 * テイクレート

で売上が決まります。

今回も、これまでの復習編のような形で、新入社員であっても理解しておくべき「ビジネスの型」を書いてみたいと思います。

前回も書きましたが、私が会社員だった頃によく新入社員の人に言っていたことは、このような内容です:

新入社員の皆さんは研修が終わるとビジネスの現場に配属されます。そうするとしばらくの間は、日々、目の前の仕事をこなすことが一番のプライオリティになると思います。

そのような状況では、会社全体のビジネスモデルや、自分たちの業界のトレンドなどは自分の仕事と直接関係ないように思えてしまうかもしれません。皆さんの日々の現場での仕事が「ミクロ」だとすれば、会社全体のビジネスモデルや業界トレンドというのは「マクロ」です。

もし皆さんが本当に優れたビジネスパーソンになりたいのであれば、「ミクロ」と「マクロ」の両方を理解して、それらをつなげることができるようになる必要があります。

日々の仕事は毎日忙しいと思いますが、会社全体のビジネスのことや業界トレンドのこともしっかり勉強する時間を作っていくことが、皆さんのキャリア構築に大きく貢献するはずです。

新入社員向けに書きますが、中途入社の方や人事異動でこれまでと違うビジネスの担当になった方にも、役立つ内容なのではないかと思います。

これまでも私の記事を読んでくださっている既存読者の方は、是非皆さんの会社の新入社員の方に、この記事を転送してみてください 。

Fintech企業(決済)の型

今回は、Fintech企業(決済)のビジネスの型をおさらいしたいと思います。

Fin Techビジネスに関して

Fintechビジネスは、大きく以下の4つに分類できます。

1. お金を預かる機能(銀行)=預かったお金を運用して稼く

2. お金を貸す機能(ローンやクレジットカード)=金利で稼ぐ

3. 決済・送金をする機能=手数料で稼ぐ

4. ソフトウェア・SaaS(* 会計ソフトなど)=ソフトウェア代金で稼ぐ

今回は「3. 決済・送金をする機能=手数料で稼ぐ」が対象です。

売上収益 = 取扱高 × 手数料パーセント

これは私の本からの抜粋ですが、Fintechビジネスの中でも、決済型のビジネスで押さえておくべきKPIはここに書いてある三つです。

決算を読むときは、このように三つのKPIに因数分解をして、それぞれの指標が

・過去と比べてどのように推移していているのか

・競合他社と比べてどのように優れているのか

というのを読み解けば、大まかな構造が分かります。

理屈は非常にシンプルなのですが、実際に決算資料を見たことないという方も多いかと思います。

そういった方のために、入門編ではありますが、実際の決算資料のどこをどのように見ているのか、というのを実例で示してみたいと思います。

今回はFintech決済モデルのビジネスの中でも、Square、PayPalの2つのビジネスに関して、実際に最新の決算資料を用いて、簡単に解説したいと思います。

最近日本でも話題になっているキャッシュレス決済やQRコード決済も、最終的にはこのモデルになりますので、今後のトレンドを読み解きたい方にもおすすめの記事です。

Square

店舗に置かれているSquareの商品

Squareという会社はアメリカの決済端末の会社で、この写真にあるような端末を店舗に提供して、店舗での決済を簡単に行えるようにしています。

(余談ですが、Squareの創業者はTwitterの創業者でもある、ジャック・ドーシー氏です。)

ジャック・ドーシー氏

クレジットカードはもちろんのこと、Apple PayやGoogle Payにも対応しており、店舗から見れば一つの端末で全ての決済が行えるようになるというものです。

SQUARE Q4 2018 Shareholder Letter

Squareの取扱高を示すグラフ

Squareの取扱高は、四半期あたり$23B(約2兆3000億円)、YoY+28%で成長しています。

Squareの売上収益を示すグラフ

売上収益は$933M(約933億円)で、YoY+51%で成長しています。

手数料パーセント計算すると、4.06%という数字になります。

まとめると、Squareのビジネスというのは

・取扱高が四半期あたり$23B (約2兆3,000億円)

・売上収益が四半期あたり$933M $933M(約933億円)

・手数料パーセントが4.1%

というビジネスだと言えます。

Squareの取扱高

Squareの決算で最も注目すべきは、全体の取扱高に占める大規模店舗の割合が、どんどん増えていっているという点です。

Squareがリリースされた当初は、中小店舗が主な利用者でしたが、最近では大規模な店舗でもSquareの端末を導入し始めています。

Squareカード

また、当初は店舗向けのサービスだけでしたが、数年前から、この図にあるようなSquareカードと言われるコンシューマー向けのカードを発行しています。

PayPal

PayPalというのは、世界で最大の送金決済サービスです。

PayPal Q4-18 Investor Update

PayPalの取扱高

取扱高は四半期で$164B(約16兆4000億円)で、YoY+25%で成長しています。

PayPalの売上

売上は$4.2B(約4200億円)で、YoY+14%の成長になっています。

手数料パーセントは2.58%です。

まとめると、PayPalのビジネスというのは

・取扱高が四半期あたり$164B (約16兆4000億円)

・売上収益が四半期あたり$4.2B (約4200億円)

・手数料パーセントが2.6%

というビジネスだと言えます。

Squareと比べると、取扱高の規模感では PayPalが約7倍大きい計算になりますが、手数料はSquareの方が大きくなっています。

これは、Squareの決済はほとんどが手数料を課金できる決済であるのに対し、PayPal の場合は友人などへの個人間送金は無料で提供しているため、全体で見ると手数料パーセンテージが落ちるのだと考えられます。

 Venmoの取扱高を示すグラフ

PayPalの中で最も成長著しいのが、個人間送金サービスであるVenmoと呼ばれるサービスで、未だに前年度比80%で成長しつつも、取扱高が四半期あたり$18.8Bまで至るという、モンスターサービスになりつつあります。

このVenmoは、今まであまりマネタイズができていませんでしたが、徐々にマネタイズが加速していっているので、PayPalの売上収益に今後大きく貢献してくるものと思われます。

以上、今回は決済ビジネスを展開している代表的な2社を取り上げてみました。

このように同じ決済サービスと言っても、似ているようで実は少しだけ異なるビジネスモデルになっている事が、決算から読み取れます。

今回は海外の2社を取り上げましたが、日本のクレジットカード会社など、決済サービスを提供している会社はたくさんありますので、是非決算資料を読んで、どの程度の手数料が取れているサービスなのかを分析してみてください。

もっと詳細が知りたいという方は「MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣」をご覧ください。


シバタナオキ:SearchMan共同創業者。2009年、東京大学工学系研究科博士課程修了。楽天執行役員、東京大学工学系研究科助教、2009年からスタンフォード大学客員研究員。2011年にシリコンバレーでSearchManを創業。noteで「決算が読めるようになるノート」を連載中

決算が読めるようになるノートより転載(2019年4月23日公開の記事)

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