ZOZO前澤社長「新しいことやり過ぎた」、“ZOZOアリガトウ”終了、PB事業の大幅縮小

前澤友作氏

ファッション通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するZOZOが4月25日、ZOZO負担による値引きを提供する「ZOZOアリガトウ」サービスを5月30日をもって終了することを発表した。値引き対象にされることを嫌って、アパレルブランドの撤退が相次ぐなど、「ZOZO離れ」の元凶となったとされる同サービス。スタートからわずか5カ月で終了とする、スピード決断となった。

同日、決算会見に登場した前澤友作社長は「思ったほどの効果がなかった。価格勝負をしてしまったことで、ブランド様からの信用を少し失ってしまった。すでに自ら出向いて(ZOZOアリガトウの)サービス終了について、今後どうするのかという話をさせて頂いています」と、各ブランドへの説明と関係修復の、いわば“お詫び行脚”を行っていることを説明した。

「高い勉強代になった」とするPB事業は、ZOZOスーツを実質廃止するなど、すでに縮小を表明。2018年に相次ぎ打ち出した新規事業は、相次ぎ軌道修正を行ったかたちだ。

新たなチャレンジが立て続けに不作となった2018年については「何か新しいことを顧客に受け入れてもらうなら、新しいことは1つか2つに限定した方がいい」と、振り返り、悔しさを少々にじませた。

同日に発表した、2019年3月期の連結決算は、売上高が前年同期比20%増の1184億円、最終利益が同20%減の159億円となった。本業のもうけを示す営業利益は、同22%減の256億円。増収減益決算となった。

「新しいことを盛り込みすぎた」と反省も、前澤節は健在

前澤友作氏

2018年秋には、プライベートでの月周回旅行を発表した、ZOZOの前澤社長。その派手な言動は、常に話題をさらってきた(写真は2018年10月)。

この日の決算会見は、通常よりも30分拡大した1時間半を開催。前澤氏は「本業に専念します」と、これまでの派手な言動を連想させつつ、殊勝な様子をみせた。

グレーのスーツに身を包んだ前澤社長は「新しいことが多過ぎました。イノベーションと言いながら、新しいことを盛り込み過ぎた」と、ZOZOスーツにPB事業にと奇抜な発想を相次ぎ打ち出した1年を、「ずいぶん大きなことを言ったわりには(予算は)未達」と、自省を込めて振り返ってみせた。

しかし会見の中身自体は、負けず嫌いの前澤節も依然として、健在だった。

「9割の人は試着をするが、6割は試着が嫌い」といった内容の顧客アンケートを紹介しながら「PB事業を始めた当初の、今までのSMLではサイズが足りない、たくさんのサイズニーズがあるはずだという考えは、確信に変わっている。マルチサイズ、多サイズに大きなユーザー需要があることは明らかだ」と断言。

PB事業を始めた狙いに間違いはないと強調した。

そのうえで今秋にも、アパレルブランドと協働でマルチサイズ商品をつくり、ZOZOTOWN上で販売することを明らかにした。ベイクルーズ、アーバンリサーチ、ビームス、ストライプ、リーバイスといった名だたるアパレルブランドが興味を示していると紹介した。

さらに、「日本ブランド連合で中国へ再進出する」ことも公表。6年前の進出では撤退しているが「当時の若い世代の所得と合わなかったが、今なら日本ブランド価格で勝負できる」と、新たな挑戦をアピールした。

前向きな再スタートの演出

同日、前澤社長は2月初旬に「本業に集中します」と、休止宣言していたTwitterを77日ぶりに再開したことも話題を呼んだ。

100万円×100人=総額1億円のお年玉企画を実施するなど、賛否を呼びながらも、貪欲に集めてきた438万人(4月25日朝現在)のフォロワーをもつアカウントは、再び動き出している。これまた決算発表当日に当て込んできたことで、今後の前向きな展開を印象づけたい切実さを感じさせる。

決算会見の直前のツィートでは、発表したばかりの2019年3月期には触れず、すでに2020年3月期の見通しをつぶやいている。

全てのステークホルダーの皆さまからの信頼を取り戻せるよう、また期待にお応えできるよう、今期も集中して頑張ります。(前澤氏)

たしかに、ZOZOTOWN自体の商品取扱高は、前年比19%増と、ファッションECモールとしての事業は堅調といえる。ただし、2018年は新たな挑戦が迷走した感を強く印象づけたことは否めない。不振事業からのスピード撤退も、ZOZOならではと見るのか、当初の見込みが甘いとみるのか賛否も分かれている。

強気の前澤節がカラ元気に終わるのか、リベンジとなるか。当面、目が離せない。

(文・滝川麻衣子、撮影・今村拓馬)

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