無料のメールマガジンに登録

平日17時にBusiness Insider Japanのメルマガをお届け。利用規約を確認


攻めるPayPay「常時3%還元」へ、ヤフー決算“純利益4割減”もLINE Pay対策は万全

ヤフー 決算 川邊健太郎

記者発表会に臨んだヤフーの川邊健太郎・最高経営責任者(CEO)。

撮影:川村力

ヤフーが2018年度の通期決算を発表した。

・売上高 9547億円 前年同期比 +6.4%
・営業利益 1405億円 前年同期比 -24.4%
・当期利益 778億円 前年同期比 -42.1%

ザクっと言うと、検索連動型広告の売り上げがふた桁伸びて、ネット通販のアスクルや高級宿泊予約サービスの一休も取扱高がふた桁増えた一方、それを上回るほどにポイント還元などの販売促進費や減価償却費がかさみ、結果として営業利益は2017年度に比べて2割以上減った。

ヤフー 決算

出典:ヤフー株式会社2018年度通期および第4四半期決算説明会資料より

また、ソフトバンクとの折半出資でつくったスマホ決済会社PayPayについて、ユーザー数や加盟店舗数の拡大のために投資がかさみ、183億円の損失(持分法投資損益)を出したことなどから、当期利益も前年度比で4割以上減った。

当期利益はここ数年 、1300億円以上を維持してきたが、一気に1000億円の大台を割り込んだ。

PayPayユーザーは「666万人超え」

ヤフー 決算

出典:ヤフー株式会社2018年度通期および第4四半期決算説明会資料より

厳しい数字が並んだ決算説明会の席で、登壇した川邊健太郎CEOはPayPayの躍進を強調した。

登録者数はサービス開始半年(4月24日時点)で666万人超え。加盟店舗数は営業開始7カ月で50万店を突破した。驚くべき成長速度と言っていい。ただし、2014年12月にサービスインした競合のLINE Payは、ユーザー数が3200万人、加盟店舗数は133万店超(4月17日記者会見で発表)と、絶対数ではまだ開きがある。

ヤフーの川邊健太郎CEOがPayPayにまつわる数字で「最も重視している指標」という決済回数は2500万回を超え、第3四半期の数倍に達した。ただ、この数字についても、記者会見に参加した記者からは「登録者数で割ると、1人あたり3、4回程度しか使っていない計算で、大きな伸びとまでは言えないのではないか」との声があがった。

ヤフー 決算

出典:ヤフー株式会社2018年度通期および第4四半期決算説明会資料より

一種の社会現象にもなった「100億円あげちゃうキャンペーン」は、第2弾が5月末で終了するが、代わりに次のようなボーナス付与が始まる(いずれもPayPay残高による決済のみ記載)。

・連休明け5月8日〜 決済1回ごとに3%還元(1カ月の上限3万円)
・6月1日〜 決済20回に1回の確率で最大1000円もらえる(1カ月の上限3万円)
・6月中 PayPay加盟のドラッグストアで決済1回ごとに10%還元(1回最大1000円、1カ月の上限3万円)

PayPayの通常決済時の還元率はこれまで0.5%で、競合のLINE Payが利用実績に応じて2%まで還元率が上昇する仕組みを平常時から導入しているのに比べると、やや見劣りする。今回、ベースの還元率を3%へと一気に引き上げたことは、対LINEの文脈で大きな意味をもってくるだろう。

さしかえスライド①

出典:ヤフー株式会社2018年度通期および第4四半期決算説明会資料より

Yahoo!ショッピングの期間固定TポイントがPayPay残高に

そしてPayPayのユーザー数のさらなる拡大に最も「利きそう」なのが、「Yahoo!ショッピング」のキャンペーン時に付与される期間固定Tポイントが、PayPay残高に切り替わること。さらに、「ヤフオク!」の売上金をPayPayにチャージする機能が実装されることだ。

ヤフー 決算

出典:ヤフー株式会社2018年度通期および第4四半期決算説明会資料より

Yahoo!ショッピングの取扱高は約7700億円、ヤフオクは約8900億円。付与される期間固定Tポイントと売上金の合計は7000億円相当(2018年度)にもなる。利用者数で見ると、前者は約2600万人、後者は約1900万人(2018年6月時点、ニールセン調べ)。

とりわけ期間固定TポイントがまるごとPayPay残高に切り替わるのは大きい。そのままYahoo!ショッピングのオンライン決済に使うこともできるが、数百円の残高は近所のコンビニでの買い物に(スマホ決済で)使う、といったケースも増えるだろう。

4月16日に発表した小売り最大手イオンとの提携も踏まえると、PayPayのユーザー数、決済回数の増加は今後も続くことはほぼ間違いない。

ポイントの決済・投資での活用など独自の経済圏を広げトップをひた走る楽天。月間7900万人のアクティブユーザーを誇るメッセージングアプリをベースに存在感を増すLINE Pay。3社のシェア争いは、令和に向かってさらに激化しそうだ。

(取材・文、川村力)

Yahoo!の決算資料の一部に誤りがあり、Yahoo!から修正がありました。これに伴い画像の一部を差し替えています。また、文章中の表現の一部を修正しています。2019年4月26日11:25

Popular

あわせて読みたい

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み