10連休後に新入社員が辞めてしまう職場、10の共通点

新入社員

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明日からついに始まる「平成最初で最後の10連休」。

初任給が出て喜び叫んでいる人、10連休も出勤が決まってゲンナリの人、まだ研修中で配属先が決まっておらず気が気でない人……さまざまな新入社員の姿が目に浮かぶ。

昔から五月病と言われるように、入社1カ月は多くの新人にとって、「この職場で働き続けるべきなのか」といった不安に揺れる時期だ。2018年の連休後を思い出すと、「新入社員の4割超がゴールデンウィーク中に転職サイトに登録した」といった報道もあった。

今年はそんな悩み多き休日が10日間も続く。つらく苦しい時間だが、しかし深く考え抜く大事な時間とも言える。

実際キャリアに悩み、「転職活動を始めること=転職すること」では必ずしもない。「大手に勤める新入社員だと、面接まで受けたとしても、実際に転職するのは3割程度しかいない」(大手人材紹介会社エージェント)という声も聞く。

悩みながらも結局は職場に残る新入社員も多いなかで、連休明けに新人が辞めてしまう職場には、いくつかの特徴がある。数多くの企業の相談を受けてきた組織人事コンサルタントの視点から、「長く勤めれば良い会社なのに、なぜか早期離職者が多発する」職場の共通点を紹介したい。

「そもそも職種として離職率が高い職場」

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「最近はすぐ辞める若手が増えた」などと若者世代を短絡的に断罪する人も多いが、筆者は少し違う意見を持っている。

新人の早期離職は当人側の問題だけではなく、もともと退職率の高い職種の企業が、新卒を多く採用するようになった影響も大きい。外食・量販店・プログラミング・施工管理など、世の中には昔から離職率の高い職種がある。大したスキルがないまま現場でもまれて学んでいく職場は、仕事への自信を確立するのに時間がかかるから、早期離職率も高い。

また、定着率が高いと言われる企業のなかにもさまざまな職場があって、ある職場だけは離職率が高いというケースもある。従業員満足度の高い企業から早期離職防止の相談を受け、調べてみると「なんでこの仕事に新入社員を配属したの?」と驚かされたことがある。

仕事には向き不向きがあり、新人ではなく、少し仕事に疲れたベテランにこそ向いている仕事もあるのだ。

「一緒に過ごしたくない人がいる職場」

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早期離職の一番の理由はいつの時代も人間関係だ。イケてない、妙にセンスが悪い、イタい……若者は「生理的にムリ」と感じる相手にはいつも厳しい。多様性が大事にされるこの時代、異なる価値観の同僚が職場にいるのは本来歓迎すべきことだが、それでも「ムリ」と感じてしまうほどの人が職場のスターともなると、逃げ出したくなる新人の気持ちもわかる気がする。

「ああいう人がメインストリームなの?と思ったら、会社のセンスに絶望した」(大手エネルギー会社営業企画部を離職した男性)

など、会社そのものへの期待感が高いほど、予想外のスターの発言力が大きい職場へのガッカリ度は高くなる。評価基準を明確にすることで回避できるかもしれないが……この「生理的にムリ」はやっかいな問題だ。

「新人に過剰な幻想を抱く職場」

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「わが職場も早く、人工知能やRPA(Robotic Process Automation)を導入しないと!」などと、社会の変化に向き合う改革意欲を抱く上司は頼もしいものだ。ところが、問題意識は同じでも、「自分たちはわからないから新人にやってもらおう」「若いうちは簡単に吸収できるだろう」と過剰な期待(というか丸投げ)ばかりの困った上司もたくさんいる。

悪いのは何も期待する上司ばかりではない。面接時に「新しいテクノロジーを学んで会社を改革したい」なんて自らバーを上げて採用された新人のアナタ、図星では?

いずれにしても、新人の意欲的発言を「若者の背伸び」と冷静にとらえ、実力とのズレを承知した上で現実的な計画を立てる「オン・ボーディング(新人を順応させつつ戦力に変える)」作業は、配属先の上司にとって必要不可欠なスキルだ。

筆者は、新入社員研修は、本人ではなく配属先の上司にこそ実施すべきと考えている。

「進化の気配のない職場」

改革ばかり期待する職場も問題だが、ソーシャルメディアも使わない、情報のやり取りは電話かメール、仕事のやり方が10年以上変わっていないような職場も、新人にとってはガッカリだ。

「この職場に何年かいたら、社会から取り残されると感じました」(製鉄大手から早期離職した男性)

という不安は、日本企業の、とくに名門といわれる製造業から人材が流出する大きな共通要因になっている。

「未来が感じられない職場」

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「なんで自分はここに配属されたんだ?」と感じる職場の筆頭は、当たり前といえば当たり前だが、近々の撤退が透けて見える職場だ。

入社早々「今期中にウチの部門は撤退するんだよね」なんて話を聞かされたら、自分の身も危ういと思うのは当然だ。そこまで極端なケースは少ないだろうが、配属先の上司がもうじき定年とか、先輩の退職が続いているとかは、新人にとって未来の感じられないネガティブな印象を与える。配属を決める際は要注意だ。

「挨拶のない職場」

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昔から言われることだが、挨拶がない職場は離職率が高い。「おはようございます」と晴れやかに1日を始め、「お疲れさまでした」と気持ちよく1日を終えることは、経験も、誇るべき実績もない新人にとって、今日の努力に自信を与える重要な習慣だ。

一緒に働く同僚から、始めと終わりに目を見て挨拶されることが、どれだけの安心と勇気を与えるか、自分自身の新人時代を思い出してほしい。

「やけにオープンな先輩のいる職場」

同僚からのネガティブなインプットが多い職場も危険だ。悪気がなくても平気で会社の悪口を言ってしまう人(人事用語では「情報開放性の高い人」と呼ぶ)はどこの職場にもいるものだが、「うちの社長アホだし、ビジョンなんてないから」なんて明け透けな一言は、いきなり初対面の先輩から言われたら、十分入社を後悔するきっかけになる。

「ルールがわかりづらい職場」

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インターンとして職場に慣れ親しんでから入社した新人に、インターンのメリットを尋ねると、意外に多いのが、

「職場の服装とか、出社する時間とか、呑みの頻度とか、細かな会社のルールが事前につかめていた」

という声だ。

「スーツは本当に着る機会が少ないから不要」とか、「スニーカーが許されるのはごく一部の職場だけ」とかの情報は、仔細なようだが、新人にとって重要なもの。

反対に、職場のルールや社員のライフスタイルが配属後数週間たっても見通せないような職場は、新しい環境に早く慣れたいと感じている新人にとってストレスフルで、離職したい職場になってしまいかねない。

「働く意味がわかりにくい職場」

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ゴールデンウィーク中に学生時代の友人と再会する新人は多いだろう。お互いの近況を交換したとき、「仕事の社会的意義に自信を持ち、これから職業人生が充実していくだろう」と感じさせる友人はまぶしく見えるに違いない。

しかし、多くの若者が誤解することだが、ほとんどの職業は、働くだけの十分な社会的意義をもっている。その意義がわかりやすいか、わかりにくいかの違いがあるだけなのだ。

「巨大組織だから安定しているけど、ただ言われるがままに作業をこなす職場だと感じてしまいました」(大手製薬の研究開発職から早期離職した女性)

といった声に代表されるように、地域や社会から尊敬を集める企業であっても、新人が働く意義を陳腐に感じて離職に至ることもある。

人事部門や上司・先輩は、それぞれの職場で働く意義をシンプルに表す言葉を、しっかり用意し伝えていくことが重要だ。

「自分自身に関心が払われない職場」

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自分の存在が、いつまでたっても「新人」というステレオタイプでひとくくりにされるのは、多様性の時代における耐え難い侮辱でもある。

どの企業でも、採用選考時にはさんざん個性や専門性を求めたはずだ。ところが入社後には、履歴書はもちろん、エントリーシートすら一度も見られることがない。「新人くん」などとからかい半分で呼ばれ、画一的な教育を受ける。「卒業したばかりでまだ何もできない素人」という評価で、画一的な配属が行われる。

この4月に入社した人たちのなかには、「採用ルールの変更、日本型雇用の終焉とか言われてたけど、企業の中身は古いままで、変わったのは採用時の説明だけじゃん」と感じている人も多いのではないか。

入社した一人ひとりがこの職場に何を期待してきたのか、どのようなバックグラウンドを持つのかに関心を払うこと。やりがいは一方的に会社が与える時代ではないことを、どれだけの職場が認識しているだろうか。


転職先が豊富にあるこの時代。多くの新人たちはこのゴールデンウィークに、緊張に満ちた1カ月間の頑張りを終えてひと息つきながら、安堵のなかで久々に冷静な心持ちになって、いまの職場がこれからの努力に値するか悩むのだ。

であれば、人事部や上司、先輩も、希望に燃えていた新人時代の自分を思い出しつつ、変わる変わると言いながら、なかなか変わらない職場のあり方が本当にいまのままでいいのか、真剣に考えてみてもいいのではないか。

秋山輝之(あきやま・てるゆき):株式会社ベクトル取締役副社長。1973年東京都生まれ。東京大学卒業後、1996年ダイエー入社。人事部門で人事戦略の構築、要員人件費管理、人事制度の構築を担当後、2004年からベクトル。組織・人事コンサルタントとして、のべ150社の組織人事戦略構築・人事制度設計を支援。元経団連(現日本経団連)年金改革部会委員。著書に『実践人事制度改革』『退職金の教科書』。

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