「令和」の成長に急ブレーキをかけるのは誰? 1500人調査で見えた期待と不安

元号が「令和」に変わるまでのカウントダウンが始まった。今、改めて考えたい。「平成」はどんな時代だったのか?

2011年の東日本大震災以降、時代の節目に国民の生活感情を調査してきたマッキャンエリクソンによると、40歳を境に、意識に大きな差があることがわかった。

日本の若者は野心がない、現状を維持したいから与党支持……それって本当ですか?

激動の昭和と平和な平成

街

早くも令和時代に急ブレーキ?

撮影:今村拓馬

広告事業などを手がけるマッキャンエリクソンは、国民の生活感情を「ニッポンのキブン」と題して調査してきた。今回は元号が変わることに合わせて、全国16〜69歳の男女1500人にインターネットを通じてアンケートを行った(調査期間:2019年2月15〜18日)。

平成を一言(10文字以内)で表現してくださいという問いの回答では、10〜50代まで「平和」が最も多かったのに対し、「昭和」は「激動」「成長」「戦争」などが目立った。

平成

文字の大きさが回答数を表す。赤=ポジティブ、青=ネガティブ。平成=平和は国際情勢への関心の薄さも思わせる。

出典:マッキャンエリクソン「ニッポンのキブン」調査

昭和

文字の大きさが回答数を表す。赤=ポジティブ、青=ネガティブ

出典:マッキャンエリクソン「ニッポンのキブン」調査

改元でポジティブ消費も

女子

改元にちなんだ商品や企画も数多く見られた(写真はイメージです)。

GettyImages/Yusuke Nishizawa

「改元をきっかけに新しいことを始めてみようと思う」人は45.9%、また「改元が消費を前向きにする」と答えた人は36.3%と、改元に対してポジティブな感情を持つ人が多いことがわかった。

特に顕著なのが10代の女性(16-19歳)で、30.4%が 「平成最後の」という名目で消費をした/すると回答。

「平成最後の大勝負!#もれなく盛れるバレンタイン」(Seventeen)「令和の最初にやりたいNEWなことリスト」(ViVi)などの言葉が雑誌の表紙を飾った。

平成

出典:マッキャンエリクソン「ニッポンのキブン」調査

変化に前向きなのは若者だけ

「日本が変化していくことや日本を変えていくこと」に対しては約半数が前向きに捉えており、特に「科学技術」「スポーツ競技」「働き方」の分野が良くなることが期待されていた。

しかし、内訳を見るとそれも年代によって大きく異なっている。日本の変化に対し前向きな人の比率は、10代から30 代は6割前後と高いものの、40代以上になると一気に低下し4割台に。

平成

Q「日本が変化していくことや日本を変えていくこと」に対して以下の考え方の中からあなたのお気持ちに最も近いものをお選びください。

出典:マッキャンエリクソン「ニッポンのキブン」調査

それもそのはず。現在の自分の生活の点数を100点満点でつけてもらうと、年代別の平均点が60代が71.8なのに対し、10代は53.3。全体でも10代から年代が上がるほど点数が高い結果結果となり、高年齢層ほど現状への満足度が高いことが分かった。

平成

Q.現在の自分の生活に点数を付けるとしたら、それぞれ 100 点満点中何点をつけますか?(点数を数字でご記入ください)

出典:マッキャンエリクソン「ニッポンのキブン」調査

テクノロジーの進化と経済不安

ビジネスパーソン

撮影:今村拓馬

この日本を分断する「40歳の壁」の原因は一体何なのか。調査の担当者は言う。

「いつの時代も40代を境に断絶はあると言われます。社会に出て20年、キャリアも家庭も守りに入りがちですから。さらに現代はテクノロジーの進化についていけるかどうかという不安があるのではないでしょうか。

経済的な背景もあると思います。満足度が高い40代以上と、このままじゃないけないと変化を望む若者たち。この溝をどう埋めるか、日本社会が抱える課題ですよね」

平成元年の1989年から2018年までの間に何が起きたか。

1人あたりGDPは15位から23位に、企業の時価総額世界ランキングは15位から23位に落ちた。非正規雇用やブラック労働など雇用不安を抱える人は多い。

平成

出典:マッキャンエリクソン「ニッポンのキブン」調査

平成

出典:マッキャンエリクソン「ニッポンのキブン」調査

格差なく、子育てしやすく、寛容な社会へ

子ども

撮影:今村拓馬

「改元後の時代に期待すること」を自由回答で聞いたところ、「格差のない平等な社会」や「子育てがしやすい社会」を望む声が多かったという。裏を返せばこれらは現在の窮状であり、平成では成し遂げられなかったことだ。

そして以下のような「寛容さ」「多様性」についての回答も多かった。

今の人は常にイライラして他人との関わりを 避けたり攻撃したりしているので、みんなが穏やかに暮らせる社会になってほ しい」(20代・女性)

「科学技術やインターネットが発達するように、人間の内面も成長してほしい」 (60代・女性)

多様な価値観を受け入れ、 各々が自由に生きることができる時代が訪れることを期待します」(20代・男性)

担当者は言う。

「画一的な昭和から、多様性が芽生えつつも同調圧力が強い平成を経て、令和の大きなキーワードは多様性と寛容さになると考えています。まずは自分自身の意識から変えなければならないと回答する人もいました」

あなたはどんな自分で「令和」を迎えたいですか?

(文・竹下郁子)

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