エミリー・サミュエルは、ニューヨークのジム「ドッグパウンド」の人気トレーナー。
Nigel Barker
- エミリー・サミュエルは、ニューヨークのジム「ドッグパウンド」の人気トレーナー。
- 彼女は複雑なマシンをあまり使わない。それよりも「ファンクショナル・トレーニング」で心拍数を上げることを好む。
- 年齢に関係なく、健康的な生活を送るためにサミュエルが勧めるエクササイズを見てみよう。
人気フィットネストレーナーのエミリー・サミュエル(Emily Samuel)は、ワークアウトは面倒なことではないと信じている。
「好きなように体を動かしてください」と彼女はBusiness Insiderに語った。
カーリー・クロスやヒュー・ジャックマンのようなスターが通うニューヨークのジム「ドッグパウンド(Dogpound)」で、スーパーモデル相手にトレーニングを指導するサミュエルは、フィットネスマシンを使うのはあまり好きではないと語った。その代わり、彼女は楽しい「ファンクショナル・トレーニング」 ── 心拍数を上げる、日常の中にある動作を生かしたトレーニングを教えることを好んでいる。
サミュエルによると、ジムで安易にエリプティカルトレーナーやステップミルを使うよりも、いつでもどこでもできる「日常の中にある」ような動きでトレーニングする方が良い。
「体を動かすことは1日24時間、いつでもできる」
サミュエルが、年齢を問わず、誰もが習慣的にやるべきと勧めるエクササイズを見てみよう。
縄跳びは子どもだけのものではない。サミュエルによると「どこにでも持ち運びできる、手頃な」最高の道具。
Jessica Rinaldi for The Boston Globe via Getty Images
たった30秒でも縄跳びをしてみると、心拍数を素早く上げるのに最良の運動であることに気づく。
縄跳びは怪我の危険性が小さく、基本的な跳び方を習得したら、スピードを上げたり、片足跳び、腿上げ、交差跳び、さらには友だちと一緒にダブルダッチをするなど、新しい跳び方ができるようになる。
縄跳びを定期的に行うと、子どもなら体のバランスと動きの協調性が向上し、肥満ぎみの10代なら脂肪を減らし、成人なら心臓の健康を改善することに役立つ。
スクワットは、体を鍛えるとても有効な方法。
Shutterstock
基本的なスクワットを習得したら、椅子に座っているような姿勢からジャンプする、より強度の高いジャンプスクワットに進むことができる。だがサミュエルによると、ジャンプスクワットの前に基本的なスクワットの正しいフォームをマスターすることが重要。
正しいフォームをマスターできたら、ジャンプスクワットはあなたの力を強化できる効果的な運動になる。
National Institute for Fitness and Sport(NIFS)のトレーナーで運動生理学者のトニー・マロニー(Tony Maloney)は以前、スクワットを行っている時は「眠っている筋肉を取り囲んでいる体脂肪を減らすために必要なエネルギーも消費している」とBusiness Insiderに語った。
正しいスクワットの方法は我々が毎日使うことができるスキル。「ファンクショナル・トレーニングは、普段の生活にも応用できる、とても有用なもの」とサミュエルは語った。
ニューヨークのグッゲンハイム美術館にあるマウリツィオ・カテラン(Maurizio Cattelan)のインスタレーション「アメリカ」。
Kristopher McKay
「トイレに座って立ち上がる動作、それがスクワット」と彼女は付け加えた。
あなたの心臓を鍛える、もう1つの運動はとても実用的。ショルダープレスだ。
Vichien Petchmai/Getty Images
自宅やジムでショルダープレスをすると、重い荷物を頭の上に持ち上げられるようになる。
写真のように、手のひらを前に向け、ひじを90度曲げて、ダンベルを肩の上に。そして、まっすぐ上に持ち上げる。
Shutterstock
体幹を強化すること、つまり正しい姿勢を保つために体の中心である脊椎を安定させることには、昔ながらのプランク・エクササイズに勝るものはない。
2019年3月15日、最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグ(Ruth Bader Ginsburg)の86歳の誕生日を祝って、支持者たちがプランク・エクササイズを披露。
Joshua Roberts/Reuters
「もし体幹の筋肉がなかったら、我々はすぐに転んでしまう」とマロニーは語った。
サミュエルはプランクの唯一のファンではない。多くのトレーナーがクランチやシットアップなどの腹筋運動よりもプランクを好んでいる。
プランクの姿勢が維持できるようになったら、腕立て伏せを追加する。
Chip Somodevilla/Getty Images
「腕立て伏せは非常に重要」とサミュエル。
「何かを我が身から遠ざけることができることとは? それは自分の身を守ること」とサミュエルは付け加えた。
イギリスのボクサー、アンソニー・ジョシュア(Anthony Joshua)(左)は、2019年2月19日の記者会見での撮影で、ジャレル・ミラー(Jarrell Miller)に押しこまれた。
Associated Press
腕立て伏せは、背筋を強化しながら、体幹や肩、腕などを鍛えるのに有効な方法。
マウンテンクライマーはダイナミックな運動。バーピーとは違い、効果がないと言うことは難しい。
Shutterstock
まず、体を頭からつま先まで一直線にして、プランクの姿勢をとる。その姿勢のままで片方の膝を胸に引きつけ、元に戻す。次は反対の脚で行う。お尻が上がらないように、体を一直線に保ちながら、約30秒間できるだけ早く脚を動かす。「クライミング」する時は、必ず肩を手のひらの真上の位置に置く。
マウンテンクライマーは、バーピーのような全身運動。心拍数を上げながら、あなたの腕力に挑戦し、体幹や脚の筋力を鍛える。 サミュエルは、バーピーよりも効果が確実なので、マウンテンクライマーを好んでいる。
「バーピーは万人に勧められるものではない」とサミュエル。
「バーピーに慣れていないのであれば、マウンテンクライマーがお勧め」
スクワットと同様に、ランジは心拍数を上げるための素晴らしい方法。
トレーナーが見守る中、マサチューセッツ州フランクリンのチームフィットネスフランクリンでランジを行う子どもたち。
Wendy Maeda/The Boston Globe via Getty Images
ランジを習得したら、空中で足を前後に入れ替えるジャンプランジに挑戦できる。この筋力を使う、爆発的な運動は、脂肪の燃焼と俊敏性を鍛えるのに最適。
サミュエルのお勧めは、以下のような2分間に4つの運動を行う短いサーキットトレーニングにランジを組み込むこと。
- 縄跳び:30秒
- ランジ(できるだけ多く):30秒
- マウンテンクライマー:30秒
- プランク:30秒
「これを3、4回繰り返す。家で行うには最適なトレーニング」
「ウォーキングはランジの一種」とサミュエル。
REUTERS/Lucy Nicholson
「とても小さいステップをしていることになる」と彼女は付け加えた。
サミュエルによると、懸垂は全身運動ではないが、体を鍛えるには手軽な方法。
懸垂をする男性。
Wikipedia
あなたがまだ体を鍛えることに取り組んでいるなら、懸垂を試してみよう。手のひらを手前に向け、あごをバーの上に引き上げる。そして、できるだけそのポジションを保持する。
「うまくできるようになるには、ただ懸垂をするしかない」
AP Photo/Adam Butler
懸垂はアメリカ海兵隊では定番のトレーニング、ミスティ・ポージー(Misty Posey)少佐は、誰でもうまくできるようになると語った。
「懸垂に関して言えば、うまくできるようになるには、ただ懸垂をするしかないことをほとんどの人が知っている」と少佐は海兵隊の懸垂トレーニングガイドに記した。
「ただ、そこには難しい問題がある。懸垂ができない人は、どうやって懸垂の練習を行うのか? 解決策の1つは、重力と自分の体重を使い、鉄棒で垂直方向の上下運動を行うこと」
このどこでも始められるテクニックは、彼女自身が懸垂ができるようになるために使った方法と少佐は語った。
「驚いたことに、5日間トレーニングした後、初めて懸垂ができた」
懸垂が難しい場合は、ラットプルダウンのような別の運動を試してみることもできる。
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ダンベルロウもまた1つの選択肢。
最後にホローホールド。仰向けに寝て、両手両足を伸ばす。背中と腰を床につけたまま、肩甲骨と脚を地面から少し持ち上げる。
Shutterstock
以上で5つの最も重要で基本的なファンクショナル・トレーニングができるようになった。サミュエルによると「5つとは、押す運動、引く運動、ランジ、スクワット、体幹」。
どんな種類のエクササイズでも、最も重要なことは楽しむこと。「ワークアウトを面倒扱いしないで欲しい」とサミュエルは述べた。
イランのボクサー、サダフ・ハデム。
Reuters
「エクササイズを楽しみなものにすること」とサミュエル。
つまり、楽しみながら体を動かす方法を見つけることだ。それはスピンクラスかもしれないし、ウエイトトレーニングかもしれない。あるいは単に「丘を散歩すること」かも。
サミュエルのお気に入りの有酸素運動はボクシング。
「すぐ夢中になった。有酸素運動を行っていると思っていなくても、実際には行っている」
南カリフォルニア大学の心理学と経営学の教授で習慣形成について研究しているウェンディ・ウッド(Wendy Wood)教授は、サミュエルの意見に同意する。
Robert Benson / Stringer / Getty Images
「本当に嫌いなことをやってみることはできる。だがジムに行くことが嫌なら、行かなくなる」とウッドはBusiness Insiderに語った。
彼女はエクササイズをご褒美のように感じさせることを勧めた。例えば、エリプティカルマシンを使っている時だけ、他の時間には禁止しているテレビの料理ショーを見ることができるようにする。
「ご褒美や楽しさがなく、エンジョイできないエクササイズを自分にやらせているなら、続けることはできない」とウッドは語った。
サミュエルからの最後のアドバイス:どこにいても体を動かすこと。「必要なものはあなたの体だけ」。
2018年1月15日、中国・北京の北京西駅でテレビを見る人たち。
Thomas Peter/Reuters
「インスタグラムをスクロールする代わりに、あなたは体を動かす方法を考えるための時間を作ることができる」と彼女は語った。
サミュエルは空港での乗り継ぎの合間さえも運動の機会と考えている。彼女は空港のベンチを使ってディップス(大胸筋、上腕三頭筋を鍛えるトレーニング)をしたり、「ベンチの横で腕立て伏せ」をしたりする。
サミュエルは最近、インスタグラムに休暇中に行った簡単なワークアウトの様子をアップした ── ランジ、ジャンピングジャック、スクワット、マウンテンクライマーなどだ。
「どうにかして体を動かし続ける方法を見つけよう」
(翻訳:Toshihiko Inoue、編集:増田隆幸)