低価格戦略を続けるか止めるか、対応が分かれるファストフードチェーン

タコベルの低価格メニュー。

タコベルの低価格メニュー。

Hollis Johnson/Business Insider

  • アメリカは経済的な「ターニングポイント」を迎えている。経済は好調だが、多くの人が取り残されていると、タコベル、KFC、ピザハットの親会社ヤム・ブランズ(Yum Brands)のCEO、グレッグ・クリード(Greg Creed)氏は語った。
  • その結果、タコベルやKFCなどのファストフードチェーンは、食事にあまりお金をかけられない価格に敏感な客を獲得するために、低価格商品を強化している。
  • 一方、さまざまなコストの上昇によって、マクドナルドなどのファストフードチェーンは、大幅な割り引きをやめ、商品の価格を上げている

アメリカ経済は好調に思えても、多くのアメリカ人はお金のやりくりに苦心している

こうした状況はファストフードチェーン ── 一般的に、最も安価に食事を提供する場所 ── に好機をもたらす。だが、上昇するコストに悩まされるという問題も起きている。

「明らかにアメリカ経済は極めて好調」と、タコベル、KFC、ピザハットの親会社ヤム・ブランズ(Yum Brands)のグレッグ・クリード(Greg Creed)CEOは5月1日(現地時間)、投資家との電話会議で語った。

「だが、市場にはある種のターニングポイントがやってきていると考えている」とクリード氏。

「大金を稼ぐ人たちは確かに存在し、そして、ある人にとっては極めて重要な価値を持つ人たちも確かに存在する」

このターニングポイントは、多くのアメリカ人が金銭的な余裕をなくし、行き詰ったことから生まれたもの。2018年、ムーディーズは報告書の中で「インカムゲイン(資産から得られる収益)は不均等に分配されてきた」と述べた。つまり、金利やコストの上昇は多くの世帯にとっては消費を抑える方向に働いた

ヤム・ブランズの場合、顧客のニーズとフランチャイジー(加盟店)の利益のバランスを取っているとクリード氏は語った。顧客には好調な経済の恩恵を受けていない人たちが含まれ、一方、加盟店は店にとって利益を生む確実なメニューを求めている。

UBSのアナリストのデニス・ガイガー(Dennis Geiger)氏は、ヤム・ブランズは低価格商品を重視していると語った。他のファストフードが大幅な割引やお買い得メニューを復活させたように。

タコベルは特に低価格の1ドルメニューを重視、1ドルの新メニューを定期的に発売しているチェーンの1つ。一方、KFCは新しい価格戦略をテスト中で、「2つで6ドル(2 for $6 Mix 'n' Match)」など、高額なメニューではなく、低価格メニューでの選択肢を広げている。

ガイガー氏が調べた他のファストフードチェーンでは、こうした大幅な割引を取りやめている。

マクドナルドの1ドル、2ドル、3ドルメニュー。

マクドナルドの1ドル、2ドル、3ドルメニュー。

Hollis Johnson

例えば、マクドナルドは1ドル、2ドル、3ドルメニューへの注力を弱めている。このメニューは2013年に終了した人気の「Dollar Menu」の代わりとなる商品だった。その代わり、同社は「2つで5ドル(2 for $5 Mix and Match Deal)」のメニューを強化し、デリバリーやオーダー端末の導入など客単価アップに努めている。

一般的には、最低賃金の上昇による人件費の高騰や労働市場の競争の激化などで、飲食業界におけるコストは上昇している。マクドナルド、スターバックス、チポトレはいずれも、最新四半期における投資家との電話会議でコスト上昇に言及した。

基本的にファストフードチェーンは相反する2つの方向性に捉えられている。ひとつは収益性。価格に敏感な客を引きつける安価なメニューは収益性を損ない、フランチャイジー(加盟店)の反発を生む。もうひとつはターゲットとする客のニーズを満たすこと。つまり、成長する経済から取り残された低収入の人たちのニーズを満たすこと。

アメリカのミドルクラスの没落は、こうした問題をより複雑にしている。ファストフードチェーンは高品質なメニューを提供しようとしつつ、同時にかなりの低価格を維持している。

ピュー・リサーチセンターのデータによると、2016年、アメリカの成人のわずか52%がミドルクラスに分類された。1971年は61%だった。ピュー・リサーチセンターは、世帯収入の中央値の2/3から2倍に該当する世帯をアメリカのミドルクラスと定義している

またアメリカの収入の中央値は上昇しているが、高所得層の収入の伸びは低所得層の伸びを大幅に上回っている。2017年、上位5%の世帯の平均収入は景気後退前の水準より8.7%上昇した。下位1/5の世帯の平均収入は上昇したものの、景気後退前の数字を2.7%下回った。

[原文:The death of the American middle class and rising costs have forced fast-food chains like McDonald's and Taco Bell to try new strategies in their quest to win over budget shoppers

(翻訳:Makiko Sato、編集:増田隆幸)

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