【比較レビュー】「ルンバ i7」&「ダイソン」10万円級ロボット掃除機はここまで違う

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今、新たに掃除機を選ぶ上で選択肢から外せないのがロボット掃除機だ。多くの家電メーカーがロボット掃除機を手掛けているがその中で注目を集めているメーカーがある。それがロボット掃除機市場を牽引してきたルンバのアイロボット社と、同じくサイクロン掃除機で掃除機市場をリードしてきたダイソンだ。

奇しくも2社とも、今年2月に最新のロボット掃除機を発表した。アイロボット社はフラグシップモデルとなる「ルンバ i7」(直販価格10万7870円)。そしてダイソンはロボット掃除機として2世代目となる「Dyson 360 Heurist」(直販価格11万8800円・税込)だ。今回はこの2台を徹底比較する。

ルンバ i7/i7+

アイロボット「ルンバ i7/i7+」(直販価格:10万7870円/14万270円・税込)。i7は掃除機単体の基本セット、i7+は自動ゴミ収集機兼充電器の「クリーンベース」とのセット。

Dyson 360 Heurist

ダイソン「Dyson 360 Heurist」(直販価格:11万8800円・税込)。

ルンバi7の特徴:ゴミ捨て頻度が月イチになる紙パックステーションが便利

まずは性能面を見てみよう。「ルンバ i7」は最上位のルンバ900シリーズの後継モデルとなるロボット掃除機で、本体上部にカメラを搭載し、カメラとフロアトラッキングセンサーの組み合わせにより室内マップを自動作成して、効率的に掃除をする。このため下位モデルや従来の600番台や800番台のルンバとは異なり、ランダム走行ではなく、部屋の端から順番に掃除するラウンド走行を行う。

ルンバカメラ

ルンバ i7の上部に搭載するカメラ。このカメラで室内空間を認識しながら走行する。

また、掃除した室内の状況を学習して記録する「Imprintスマートマッピング」機能を搭載。リビングやキッチン、寝室など部屋を認識することができ、スマートフォンと連携することで場所を指定した掃除もできる。

また「ルンバ i7」シリーズならではなのが、紙パックステーションを備えた「ルンバ i7+」が選べること。掃除が終了したり、本体のダスト容器がいっぱいになると、クリーンベースに自動的に戻ってゴミ排出。紙パックに貯めることができるのだ。

クリーンベースに内蔵されている紙パックの容量は約30回分。1日1回の掃除でダスト容器が満杯になると考えれば、ゴミ捨ての頻度は月に1回になる。さらに吸い込んだゴミは紙パックに収納されているため、ゴミに触る必要もない。

クリーンベース

ゴミを吸い込んでくれるクリーンベース。充電台も兼ねている。

そのほか、本体裏側に搭載するブラシとして、ゴム製の「デュアルアクションブラシ」も特徴だ。向かい合って回転する2本のゴムブラシでゴミをかきあげながら吸い込む仕組みは、通常の毛の付いたブラシとは異なり、髪の毛などが絡みくいといったメリットがある。

ブラシ

底面に配置するゴム製のデュアルアクションブラシ。簡単に取り外せる。

ダイソン360 Heuristの特徴:処理が高性能化、頭脳と高い吸引力がウリ

ダイソンのロボット掃除機「Dyson 360 Heurist」は「Radial Root Cyclone(ラジアルルートサイクロン)テクノロジー」と、「ダイソンデジタルモーターV2」を搭載し、強い吸引力で微細なゴミまでしっかりと吸い込めるのが特徴。吸引力は従来モデルより、さらに20%向上し、他社製ロボット掃除機の4倍と表現している。

ブラシバー

本体底面のブラシバー。ほぼ本体幅で広い範囲を掃除できる。

また、「Dyson 360 、」の一番の特徴が、新たに1.4GHzクアッドコアプロセッサを搭載したこと。さらに各種メモリーの強化によって約20倍の写真やデータが扱えるようになった。このデータを元に地図を作成し、さらに学習を重ねる「ヒューリスティックラーニング」機能も注目の1つ。このほか、カメラの周囲にLEDを装備し、掃除エリアが暗い場合、照らしながら掃除できる。

ダイソンカメラ

新たにEDを配置したカメラ。暗い場面でも掃除できる。

なお、外観デザインや基本構造は従来モデルとほぼ共通。清掃モードは静音・通常・強モードを用意しており、スマホアプリから選択できる。

徹底比較:室内にダミーゴミをばらまいて掃除性能をチェック

ルンバ:ゴミ回収機能が実用的

実際に2台のロボット掃除機で掃除のテストを行った。フローリングの床と、畳コーナーを用意し、片栗粉と紙製の猫砂をそれぞれ50gずつ各部屋にばらまいてみた。わざと壁際や部屋のコーナーなどにもゴミをばらまいた。

部屋

寝室からリビング、キッチンまで広い範囲にダミーゴミをばらまいてみた。

まず、「ルンバ i7+」から掃除テストをした。スマートフォンアプリから掃除をスタートすると、クリーンベースから出て、掃除が始まる。気になったのは、サイドブラシの回転が速く、すぐ気づいたのは、猫砂を弾き飛ばしてしまう場合があることだ。

アプリ画面

スマートフォンアプリから掃除を実行する。

従来のランダム走行タイプのルンバであれば、弾き飛ばした猫砂もその後で回収できた。一方、部屋を端から端まで順番に掃除するラウンド走行になった「ルンバ i7」では、掃除が済んだエリアに猫砂を弾き飛ばしてしまうと、そのまま残してしまう。

実際の掃除シーンでは猫砂のような軽くて大きなゴミはあまり多くなく、サイドブラシとの相性が悪かったのは事実だが、サイドブラシの回転ががもう少しゆっくりなら、弾き飛ばすことなく吸い込めたようにも感じる。

ルンバ

動きは速くキビキビと掃除して回るルンバ。ただ、フローリングの目地にはダミーゴミの「片栗粉」が残ってしまった。

また、シリーズ共通だが家具や壁にやや強めにあたる点も気になった。本体前方がバンパー構造となっており、(あえて接触することで)ギリギリまで掃除するための仕様ではあるが、部屋にある調度品によっては気になりそうだ。

今回のテストでは、猫砂の容積がかさばるということもあったが、1LDKの掃除で2回ほど、クリーンベースに戻りゴミを排出していた。従来モデルのルンバなら、掃除の途中でダスト容器がいっぱいになったアラートが出て終わりだったが、クリーンベースがあるため、連続して掃除ができたわけだ。クリーンベースにはこういう実用性もある。

クリーンベースに戻るルンバ

クリーンベースに戻るルンバ。ゴミの排出音は非常に大きい。

ダイソン:吸引力は本当に抜群、「部屋の隅」のゴミ吸引に課題

Dyson 360 Heurist

「Dyson 360 Heurist」は充電ポートの位置を市松模様のような特殊な目印のついたボードで認識する。

続いて同じ条件で「Dyson 360 Heurist」でも掃除をしてみた。ダイソンでは清掃モードが選択できるが、ここでは「標準」モードで掃除している。

ダイソンアプリ画面

ダイソンも同じくアプリから掃除をスタートする。

クリーンボタンを押して充電台から動き出した後、モーターが高速回転を始める。サイクロン方式独特の吸引音は、音域が高いこともあり、かなり大きめの音に感じた。ダイソンは四角く回りながら室内を掃除する仕組み。ただ、ルンバi7と異なり、大きな障害物にはほとんどあたらず、寸前で停止して避けていく。机や椅子の脚を見つけるとその隙間を回転して掃除してくれたりもする。

また、360 Heuristはロボット掃除機には珍しくサイドブラシを搭載していない。そのため、猫砂に関しては弾き飛ばすことがなく、通った場所のゴミは猫砂、片栗粉ともにしっかりと吸い込んでいた。

ダイソン掃除

四角く回りながら広いエリアも掃除していく。走行スピードは比較的ゆっくりだ。

ただし、従来モデルよりは改善しているようだが、壁際のゴミは最新モデルでもやや苦手だ。ローラーの幅が広く、壁に沿って走ることで壁際のゴミが取れるようになっているのだが、家具などにぶつからない安全性との兼ね合いにより、いまいち壁際に接近しきれなかった。

また、今回テストしたのは1LDK、約40m2のそれほど広くない室内だが、途中で一度バッテリーが足りなくなり充電ポートに戻った。広い部屋を掃除するにはトータル時間はそれなりにかかるようだった。

ダイソンゴミ容器

ダスト容器の容量はあまり大きくなく大きなゴミが多いとすぐいっぱいになる。ただ吸引力はさすがで、ルンバが吸い残した片栗粉も残さず吸い切った。

また、体積が大きい猫砂を吸い込んだこともあり、ダスト容器も途中でいっぱいになった。吸引力は「非常に高い」と太鼓判を押せるダイソンだが、動作音が大きめなことに加えて、バッテリー容量やダストボックスの容量には課題があるようだ。

2機種とも搭載する「マップ機能」に大きな違いが……

両モデルとも、Wi-Fi機能を搭載しており、スマートフォンからのコントロールができる。アプリから遠隔操作ができるだけでなく、スケジュール設定なども可能。さらに掃除する部屋をマッピングする機能を備えている。このマッピング機能に違いがあった。

ルンバは部屋を実際に掃除することで自動的にマッピングを実行。2~6回掃除することでスマートマップを生成する。この回数は部屋によって違うそうだ。

ルンバi7のアプリ画面

左がルンバのスマートマップ。マップが完成したら部屋の登録ができる。登録完了したら、右のような画面で掃除するエリアの選択もできる。

対してダイソンはモーターを回転させずに、室内を走り回ってマップを作る機能を搭載している。一回でマッピングできるのは便利だが、数回走行してマッピングするルンバの方がマップの完成度が高いように感じた。

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ダイソンのマッピング機能。掃除をせずに室内を走って先に地図を作る(左)。マップをつくって部屋の名前を入力すると、部屋ごとに清掃モードを指定できる。「掃除しない部屋」は現時点では設定できない。

両モデルともに作成したマップに区切り線を引いて部屋ごとにエリアを分けることができる。例えばリビングスペースとキッチンを分けたり、寝室や廊下などに分割できるわけだ。

異なるのはここから。ルンバは設定したエリアごとに掃除の有無を選ぶことができる。アプリから「CLEAN」ボタンを押すと「すべて清掃」に加えて「部屋の選択」ボタンを表示。チェックマークを付けた部屋だけを掃除できる。

ダイソンは、現段階では「部屋別での掃除の有無」は選べない。その代わり、部屋ごとに清掃モードが設定できるようになっている。例えばそれほど汚れない寝室は静音モードで、リビングは通常、汚れがちなダイニングキッチンは強モードに、といった設定ができる。高い吸引力がいらない場面でパワーを抑えることで、バッテリー駆動時間も延ばせるというわけだ。

吸引力ならダイソン、広〜い間取りにはルンバ

さて、こんな風にテストを繰り返し、2台のロボット掃除機を使って、それぞれ10回以上掃除してみた。

見えてきた傾向は、両社のタイプの違いだ。 ルンバの利点はしっかりと広範囲をくまなく掃除してくれることだ。とくにクリーンベースが付属する「ルンバ i7+」なら日々のゴミ捨てを気にする必要がないため、ほとんどメンテナンスフリーで使える。掃除する部屋を選べるのもいい。ワンフロアが広いマンション(100m2超)などは自動的にゴミ捨てしてくれる機能と、バッテリー性能の両方でルンバが向くと言える。

ただし、ロボット掃除機単体で見ると、吸引力が高く、賢くなったダイソンに軍配が上がる。特にカーペット敷きの部屋が多い場合などは、高い吸引力が効果を発揮する。標準モードでもフローリングの目地に入り込んだ片栗粉までキレイに掃除できた。壁際が苦手なのは気になるところだが、逆に言えば、それがわかっていれば、たまに隅だけ掃除するなど、対応策はいろいろある。動作音の大きさやバッテリー駆動時間の短さは、スケジュール機能を利用して不在時に利用することで対応できるはずだ。

(文、写真・コヤマタカヒロ)

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