もしミツバチが絶滅したら、コーヒーもアボカドもなくなってしまうかもしれない。
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- ミツバチの急速な減少は、全世界の食糧供給を危機に晒している。
- ミツバチは世界の約3分の1の作物にとって花粉媒介者であり、果物、野菜、アーモンドなどの作物の栽培には欠かすことができない。
- 微生物関連企業シードは、ミツバチの病気や殺虫剤などに対する耐性を高めるプロバイオティクスを開発した。
- シードは5月、朝食会を開催し、ミツバチが大量に死滅した場合、多くの食物を失ってしまうという衝撃的な未来を提示した。
ミツバチのコロニーは急激な速さで消滅している。だが、食い止める方法を見つけ出すことは極めて難しい。2017年、アメリカの養蜂家はミツバチの巣の約40パーセントを失ったと伝えられた。この傾向は何年も続いている。
ミツバチは今はまだ、絶滅の危機にあるわけではない。しかしその急激な減少は、我々に深刻な影響を与えかねない。ミツバチは世界の約3分の1の作物にとっての花粉媒介者であり、間接的に我々の食生活に欠かすことはできない。ミツバチがいなければ、アーモンド、果物、野菜などの主要作物を生産するうえで、農家は問題を抱えることになる。
ミツバチが死滅している正確な原因を突き止めようと、科学者は調査を続けている。要約すると、農薬、病気を媒介する寄生虫、病害虫、気候変動により気候と生息域が変化していることなどが組み合わさって、その原因となっているようだ。
微生物関連企業シード(Seed)は、バイオパティ(BioPatties)と呼ばれるディスク状のプロバイオティクス(いわゆる善玉菌)を使って、この問題のいくつかに対処しようとしている。バイオパティは農薬や病気に対するミツバチの耐性を高めることが期待されている。
市場に出ているミツバチ用プロバイオティクスは他にもあるが、バイオパティの使用によって、ネオニコチノイド系農薬の影響が減少する初期の兆候が見られた。ミツバチはネオニコチノイド系農薬を好んで摂取する傾向がある。
5月3日(現地時間)、シードはシェフ集団のゲットー ガストロ(Ghetto Gastro)とともに朝食会を開催。そこには2100年までにミツバチが絶滅した場合、なくなってしまう食物が並べられた。
このイベントでは、我々の食事がどれほどミツバチに頼っているかが提示された ── そして、ミツバチが大量に死滅すると何が起きるのか、衝撃的な未来の姿が示された。朝食会の様子を見てみよう。
シードはブロンクスを拠点に活動するシェフ集団ゲットー ガストロと組み、ミツバチに依存して作られている食材を使った食事を提示した。
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提供されたすべてのものはミツバチがいなければこの世に存在しない。
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提供された朝食のほとんどは植物由来のもの。ミツバチは果物や野菜にとって重要な花粉媒介者。
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少なくとも根菜は地中で成長するので、存在し続けるだろう。
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だが、肉も限られたものとなるだろう。牛は受粉が必要な植物を食糧源としている。
もちろんハチミツはなくなる。またグレープフルーツ、ベリー類、キュウリ、エンドウマメもなくなる。
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魚は現在のキャビアと同じくらい高価なものになるだろう。
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ミツバチが死滅すると、地域のエコシステムが混乱し、魚を含めて多様な生き物の生息が危機に晒される可能性がある。
アーモンドともお別れ。完全にミツバチに依存している作物だから。
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カリフォルニア州のアーモンドは、全世界の供給量の約80パーセントを占める。受粉には、アメリカのミツバチのコロニーの60パーセントが必要。
このディスク状に成型されたプロバイオティクスが、ミツバチの病気や農薬に対する耐性を高め、我々の食糧供給を守ってくれるかもしれない。
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太陽エネルギーによる害虫駆除、養蜂家が巣箱をモニターするためのセンサーなど、ミツバチを救うために開発された商品は増え続けており、このプロバイオティクスもその1つ。
世界のミツバチを救うための努力は、我々が愛し、栄養も豊富な食物がなくなるという未来から我々を救ってくれるだろう。
(翻訳:仲田文子、編集:増田隆幸)