「ユーザー数は追わない」質問サイトQuora、日本進出2年目の挑戦:創業者に聞く

Quora

撮影:西山里緒

知識共有プラットフォーム「Quora(クォーラ)」は2009年の創業から10年、月間ユニークビジター数が全世界で3億人を数える巨大プラットフォームだ。

2017年4月には8500万ドル(約93億円)の資金調達を実施し、企業価値は18億ドル(約2000億円)にもなったと報じられた。2017年11月、日本にも進出したQuoraは「質問サイト」の未来をどう見ているのか?共同創業者兼CEOに聞いた。

質を判別する数百の基準

Quora CEO、アダム・ディアンジェロ氏。

Quora CEOのアダム・ディアンジェロ氏。Facebookの初代CTOとしても知られる。

撮影:西山里緒

バラク・オバマ元大統領やフェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグ氏なども過去に参加し、本国アメリカではすでに質問サイトとして不動の地位を築き上げているQuora。

2017年には日本版もリリースされたが、Quoraを立ち上げた35歳のCEO、アダム・ディアンジェロ氏は、やみくもにユーザー数を追い求めることはしないという。

日本においてはYahoo!知恵袋をはじめとして、はてなやOKWAVEなど、すでに10年以上続いている質問サイトも多く、競合の壁は高い。

それらのサービスとの違いとして、ディアンジェロ氏は「回答の質の高さ」を真っ先にあげる。

誰が回答したか、誰が投票したか、回答の内容、回答者は専門知識を持っているか……など、質を判別するための数百の基準があり、すべての総合評価によって、表示される回答が選ばれるという。

例えば

世界的なプログラミング言語を開発出来たら莫大なお金を手にすることは可能でしょうか。例えばRuby(プログラミング言語のひとつ)を開発したまつもと氏は、Rubyの成功によりどの程度の儲けを得たのでしょうか?」

という投稿には、まつもと氏本人からの回答もある

(サラリーマンプログラマーとしては充分な収入を得ているが、たとえRubyを開発したとしても給与と副業の収入でいわゆる『莫大なお金』でイメージされる「儲け」を得ることは現実的ではなく、ストックオプションなどの別の手段が必要、とのこと)。

Yahoo!知恵袋では「ベストアンサー」は投票による多数決、もしくは質問者本人によって選ばれている。質問には直接答えてはいないが笑える“大喜利”回答も、Quoraでは「削除対象になる」というから、いかにQuoraが「質の高さ」に力を入れているかがわかる。

感覚値だが、確かに日本版Quoraをのぞいてみると、政治などの“荒れやすい”トピックでも、比較的落ち着いた議論が繰り広げられているようだ。

「質問のデータベース化」に強み

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質問サイトに未来はあるのか?

Charles Brutlag / Shutterstock

創業から10年足らずでユニコーン(企業価値10億ドル以上で、未上場のベンチャー)となったQuoraだが、すでに成熟市場のように感じられる質問サイトに、さらなる成長性はあるのだろうか。

Twitterで匿名の質問を送ることができる質問箱や、インスタグラムの質問機能など、カジュアルに質問ができる機能はすでに多くのアプリに実装されている。

一方で、グーグルの高度なアルゴリズムによって、「OK、グーグル」と尋ねれば、特定のトピックの知識は瞬時に得ることができるようになっている。

グーグルとの違いについてディアンジェロ氏は「グーグルはすでにある情報を収集・整理(インデックス化)するのに長けているが、Quoraの特徴は新しい情報を生み出すこと」と語る。

「あなた(筆者)も記事を書くとき、ただグーグルで検索するのではなく、人に会ってインタビューをして、知識を得ますよね?Quoraでも、まったく同じことができるのです」

また、Twitterやインスタグラムの質問ではすぐに回答が流れてしまうが、Quoraでは「質問がデータベース化され、知識が蓄積されていく」点を強みとして挙げている。

使われ方としては、新聞やフォーラム、そして“より特定された知識が見つかる”ウィキペディアに近い ── ディアンジェロ氏はQuoraをそう位置付けている。

KPIは追い求めない

「いずれはIPOを目指したいが、今はそこには注力していない」というディアンジェロ氏。

機能の大きな変更も考えていないというが、4月からはQ&A方式にこだわらず、テーマ別に知識を共有できる新機能「スペース」(日本版)を展開している。

「KPIを追い求めすぎた結果、多くの質問サイトの質が悪くなってしまうのを見てきました。質を悪くすればユーザー数を増やすことは簡単ですが、私たちはそれを目指しません」

急激な成長ではなくマイペースに「質」を求めること、多言語展開を強化していくこと、を今後のプランとして強調したディアンジェロ氏。

すでに10年選手となったシリコンバレー発ベンチャーが、日本の生活に浸透する日も来るのだろうか。

(文・写真、西山里緒)

編集部より:初出時、Quoraの月間ユニークビジター数を2億人としておりましたが、正しくは3億人です。訂正致します。 2019年5月21日 14:00

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