早期リタイアは極端な手段を取らなくても実現できる。
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- トミーはアーリーリタイア(早期退職)を実現、「Leisure Freak」というブログを運営している。彼は2008年のリーマンショックの直後、51歳で会社を辞めた。
- 彼は年収10万ドル(約1100万円)など稼いだことはないが、借金の返済を重視し、退職口座を最大限利用し、節約したお金は投資したと語った。
- アーリーリタイアのメリットは何よりも精神的なものと彼は語った。
アーリーリタイア(早期退職)の実現には数多くの手段があり、極端な手段を取らなくても実現できる。
「Leisure Freak」というブログを運営しているアーリーリタイアリー(早期退職者)のトミーにとっては、その道のりは「普通」だったと彼は最近の投稿に記した。
「給料天引き、複利、配当の再投資、株価の上昇、一貫したドルコスト平均法、これらは十分な時間があればうまくいく」と彼は記した。
「私のモットーは、貯蓄しないより、貯蓄することはいいこと」
トミーは約10年前に51歳で、通信業界での30年以上にわたるキャリアを経てリタイアした。彼は年収10万ドル(約1100万円)など決して稼いだことはない。だが、20代から一貫して倹約に取り組み、妻と3人の子どもとつつましく暮らしてきたと語った。
「会社の確定拠出年金(401k)を最大限に利用し、残りはすべて借金の返済にまわし、最小限の貯蓄を始めただけ」とトミー。
「借金の返済を終えると、あとは住宅ローンだけになった。残りのお金はすべてまとめて、401kとロスIRA(Roth IRA)に年間限度額までつぎ込んだ」
※Roth IRA:IRA(Individual Retirement Arrangements:個人退職勘定)の一種
彼は貯蓄できたのは、多くても年間2万ドル(約220万円)だったと語った。
彼がアーリーリタイアを決意し、サーティファイド・ファイナンシャルプランナー(CFP)と会ったのは、40歳のことだった。そしてその後の10年間、「攻撃的だが現実的なアーリーリタイア10年計画」に従った。彼のリタイアを遅らせることになった2008年のリーマンショックまで、年間最大3万ドル(約330万円)を貯蓄した。
トミーは最終的に、退職口座に50万ドル(約5500万円)以上を蓄え、計画より1年遅れでリタイアした。彼はIRAから毎月配当を受け取る戦略を立て、ペナルティなく退職口座を利用できた。
さらに彼は2万ドルの現金をいわゆる「緊急資金」にした。だが今、彼はそれを2倍にしたいと考えている。
「私の経済的な道のりを振り返ってみると、投資による成果を期待していたので、十分な手元資金がリタイア実行の後ろ盾となることを過小評価していた。信じられないことだが、競争社会で何十年も過ごした後のリタイアは、あなたの心を悩ませることになる」
後で分かったことだが、トミーはアーリーリタイア前に住宅ローンを完済することも考えていた。投資のリターンがローン返済額を上回ると考えていたため、ローン返済を優先していなかった。だが株式市場が暴落し、リターンは予想額に達しなかった。
トミーはリタイアから数年で住宅ローンを払い終えた。
「リタイアによってもたらされる最大の成果は、精神的なこと。ローンの完済によって、確かに別のレベルの精神的な自由が加わった」
だがトミーのアーリーリタイアは、仕事をしないというわけではない。彼は単に、生きるために働く必要がないという生活を送っている。この10年、彼は興味と情熱の赴くままに、いくつかの「リタイア後の第2の仕事」に取り組んできた。
「競争社会で過ごした数十年間は、あなたがよく知っている世界」とトミー。
「本当にやりたいことを、やりたいだけ仕事にすることは、今までとどれほど違い、やりがいがあり、楽しいかは説明できない」
(翻訳:Makiko Sato、編集:増田隆幸)