神経科学者が教える、脳をだまして生産性を上げる10の方法

サヘル・ユーセフ氏

Ryan Muir for Adobe 99U

  • 仕事の日のあり方は50年前から大きく変わっているように見えるが、わたしたちのからだはテクノロジーの発展に適応できていない。 認知神経科学者のサハル・ユーセフ(Sahar Yousef)氏が、アドビの99Uカンファレンスで語った。
  • ユーセフ氏は、スマートフォンを目の届かないところに置き、目の前の1つのタスクに集中し、毎日同じ服を着ることで、脳をだましてより多くの仕事をこなすことができるという。
  • 脳をだまして生産性を上げるための10の方法を紹介しよう。

仕事が忙し過ぎると文句を言ったことがあるなら、それは上司があなたを働かせ過ぎているのではなく、あなたの脳が問題なのかもしれない。

オーストラリアのソフトウエア会社、アトラシアン(Atlassian)によると、会社勤めをしていると、実際の仕事以外にも邪魔が入ったり、打ち合わせやメールに時間を食われている。テクノロジーは助けになっていない。Voxによると、オフィスで働く人たちは、平日8時間の間にスラック(Slack)のメッセージを12分ごと送っているという。

絶えず入り続けるこうした邪魔に加えて、世界中の従業員や企業幹部が極度の疲労やストレスを訴えている —— 中でも、大手テック企業で深刻だ。

日中の生産性の高い仕事が減る一方で、常に働き過ぎだと感じるこの矛盾は結果的に、あなたのからだに影響を及ぼす可能性があると、カリフォルニア大学バークレー校の認知神経科学者サハル・ユーセフ氏は、アドビの99Uカンファレンスで語った。

仕事のあり方の全てが変わったと、ユーセフ氏は言う。コミュニケーションの大半はもはや対面では生じず、テクノロジーが働く人を定時に関係なく常に仕事に結びつけ、世界中に同僚がいて、働く場所はパーテーションで区切られた個別のスペースから区切りのないオープン・オフィスに変わった。

わたしたちのからだだけが変わっていないと、ユーセフ氏は言う。多くの人が自身の生態に適応できていない、もしくは職場を変えたテクノロジーに脳が対応できていないのだ。

「わたしたちは素晴らしい、新たなテクノロジーやデバイスを生んできました。しかし、問題の核心はわたしたちが変わっていないということです —— わたしたちはまだ古来の、この古い生態を持っているのです」と、ユーセフ氏は聴衆に語った。

「自分たちの生態と戦うのを止め、それを受け入れ、活用できるようになるまで、それは苦しい戦いのように感じられるでしょう」

ユーセフ氏は、わたしたちのパフォーマンスを最大限に引き出し、生産性を上げる10の方法を教えてくれた。見てみよう。


1. スマートフォンは目の届かないところに置いておこう —— 自分のも、他人のも

食事の写真を撮る人

Marco Verch/Attribution License/Flickr

注意散漫は、仕事の効率を最も下げるものだとユーセフ氏は言う。その主な犯人はスマートフォンだ。

「スマートフォンは感情を伴うもので、わたしたちはそれが気になります。だからこそ、携帯電話は現時点で人類史上、最も人の気を散らせるものなのです」

2. オープン・オフィスから逃げよう

オープン・オフィス

Getty Images

仕切りなどが全くないオープン・オフィスは、生産性を低下させる原因だ。ハーバード大学の研究では、オープン・オフィスでは対面でやりとりをする時間が4分の1に減り、送るメールが56%増え、その長さは2倍になることが分かった。

一方で、オープン・オフィスでは、感情的な結びつきのある同僚と絶えずやりとりをしてしまうものだと、ユーセフ氏は言う。人間は社会性のある生き物で、感情的な結びつきがあると、より自分の「仲間」もしくはコミュニティーに関わろうとし、目の前のタスクへの関わりが薄まるという。

3. マルチタスクは物理的に不可能だということを覚えておこう

マルチタスク

Getty Images

人があるタスクから別のタスクに切り替えるとき、わたしたちの脳には次のタスクに集中するための時間とエネルギーが不可欠だ。タスク間の切り替えに要する時間は「切り替えコスト」と呼ばれている。

「毎回、切り替えをするたびにコストが生じるのです」とユーセフ氏は言う。

「消耗します。同じことをするのに、より時間がかかります」

ユーセフ氏はそうする代わりに、1つのタスクに集中する時間を作ることを勧めている。

4. 通知機能はオフにしよう

通知画面

Apple

アプリからの通知に気を削がれないように、ユーセフ氏は通知機能をオフにし、生産的なタスクに自身のエネルギーを集中させようと言う。

5. タスクを書き出すことで、自分の注意をつなぎとめよう

付箋を貼る人

Getty Images

1つのタスクに集中する時間に入る前に、タスクを付せんに書き出しモニターに貼っておくことで、注意をつなぎとめる助けになる。気が散ってきたと思うたびに、この付せんがタスクに自分を引き戻してくれるだろうと、ユーセフ氏は言う。

6. 物事を先延ばしにしないために、タスクを手の届くものにしよう

頬杖をつく男性

Getty Images

物事を先延ばしにしてしまうそもそもの原因は恐れだと、ユーセフ氏は言う。目の前に山のようなタスクがあると、どうしたって終わるわけがないと思い、先延ばしにし始めるのだ。「目の前のタスクが大きすぎると思ったとき、わたしたちはバカなことをし始め、自分では力不足だと言うのです」

仕事を進めるためには、タスクを分解し、5分でできそうなことを自分自身に尋ねると、物事を前進させられるでしょうと、ユーセフ氏は言う。

7. 自分のパフォーマンスのピーク時間を知ろう

ラン

Justin Setterfield/Getty Images

1日の時間は全て同じではないと、ユーセフ氏は言う。ある時間帯は想像力が増し、ある時間帯はエネルギーが低下したりするものだ。自分のパフォーマンスレベルがピークに達する時間を知り、その時間を最大限に活用することで、物事がもっとうまくいくという。

ユーセフ氏は、このピーク時間に合わせて1日を戦略的にデザインすることを勧めている。

8. 決断を自動化しよう

スティーブ・ジョブズ

Ben Stanfield/Flickr

バラク・オバマ前大統領からスティーブ・ジョブズ氏まで、多くの成功者が毎日、同じ服を着ている

良い決断をするために人間が持つ意志の力には、残念ながら限りがある。1日の多くの時間を特に意味のない決断に使っていると、重要な決断を下す力がなくなってしまう。そうする代わりに、ユーセフ氏は今日は何を着ようか、朝食に何を食べようかといった一定の決断を自動化することで、仕事に関するより良い決断が下せるようになると言う。

9. 休憩を取ろう

くつろぐ男性

Roman Samborskyi/Shutterstock

多くの大学生やワーカホリックな人々が、徹夜をすることで仕事や勉強が進むと信じているが、睡眠不足は酒に酔うのと同じような影響を及ぼす。ユーセフ氏は、22時間睡眠を取らずにいると、血中アルコール濃度0.08の状態と同じような影響があると言う。

7時間睡眠を取り、仕事の合間に適宜休憩を挟むことで、からだにエネルギーが戻り、集中力が維持できる。ユーセフ氏は、低糖・高タンパクなおやつを食べることも勧めている。

10. 朝のコーヒーをうまく使おう

コーヒー

Shutterstock

ユーセフ氏は、カフェインをうまく使おうとも話している。人間は通常、朝、目覚めたときに十分なエネルギーを持っていて、そこにコーヒーを足してもあまりプラスにはならないが、平均的な概日リズム(体内時計ともいう)の持ち主なら、午前10時と、午後1時もしくは昼食後にカフェインを取るといい。

[原文:10 ways to trick your brain into being more productive, according to a neuroscientist]

(翻訳、編集:山口佳美)

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