「サンフランシスコは終わった」トップVCが次に狙う場所とは

サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジ

Robert Galbraith/Reuters

  • 高騰する企業評価額と人材コストによって、シリコンバレーは輝きを失いつつある。
  • トップクラスのVCはカリフォルニア以外の地域により価値を見出しつつあり、今、ヨーロッパがテック系スタートアップや投資家にとって、ますます魅力的な選択肢となっている。
  • コストが高騰するなか、多くの企業はサンフランシスコ以外のコストが手頃な都市に、重要度が低いスタッフ用の第2オフィスを開設している。

サンフランシスコのオフィスの賃料はドットコムブーム以来の水準に達し、シリコンバレーの大手企業による優秀な人材の引き抜き合戦は日に日に激しさを増している。

ベンチャーキャピタル(VC)はこの状況をよく理解しているので、ベイエリアからの完全撤退を始めているVCもある。

「サンフランシスコは終わった」とスウェーデンのVCファンド、NorthzoneのパートナーであるMartaSöjgren氏はBusiness Insiderに語った。オフィス、人材、そして投資額がますます上昇していることは、優秀な人材を引き止め、引き抜きを防ぐコストが極めて高くなっていることを意味すると彼女は語った。

「優秀な人材は1年以上はいない。人材を定着させることに頭を抱えることになる」

こうした環境によって、テック系スタートアップもサンフランシスコの評価を見直している。サンフランシスコの住宅価格は全米平均の4倍。不動産検索サイトZillowによると、住宅の平均価格は現在130万ドル(約1億4000万円)、5年前の2倍近くになった。ウーバーなどのIPOによって、住宅の販売価格や賃料はさらに高くなり、この街の輝きはさらに小さくなるかもしれない。

「ヨーロッパは資金調達のラウンドの間に付加価値を付けることが可能な場所、時々、同じ金額でアメリカ企業の3倍の価値の企業を手に入れることができる」とSöjgren氏は語った。

投資家たちは今、この流れに乗り始めており、より競争力を増しているヨーロッパに情報に長けた投資家の資金が集まってきている。

「より事情通の投資家がヨーロッパにやってきている。取り引きや人材基盤が活性化しているためだ」

「人々はより良​​い価値を求めている」と法律事務所Lowenstein Sandlerのパートナーで、同社テック・グループの創設者兼代表、エド・ジンバーマン(Ed Zimmerman)氏は語った。

「ヨーロッパやベイエリア以外の場所は非常に魅力的で、この傾向は盛り上がっている」

シカゴに拠点を置く不動産サービス企業Cushman&Wakefieldのレポートによると、ボストンやソルトレイクシティなどの都市はますます魅力的になっている。だがそれは家賃が安いという理由だけではない。 同様に、Söjgren氏によると、企業は重要度の低い、ルーティン業務のスタッフをベイエリア以外に移動させている。またセールスとマーケティングのスタッフはしばしば賃料の安い拠点を置く。

独自の技術的ニーズを持っていないが、それでもサンフランシスコでITスタッフを必要とする企業は、グーグル、フェイスブック、アマゾンなどの大手に購買力にしばしば対抗できない。サンフランシスコ・クロニクルによると、そのコスト圧力は大量の人材の移動を招いている。リフトは今、ダラスに約750人のサポートスタッフを抱え、サンフランシスコの高価なオフィスを縮小している。

ロンドンは今、ヨーロッパのフィンテックの中心地だが、ブレグジットと比較的コストがかかるため、ベルリン、ダブリン、パリ、リスボン、アムステルダムといった他のヨーロッパの都市が選ばれるようにもなってきている。

[原文(BI Prime):This VC says 'San Francisco is over.' Here's why she's tipping Europe for the next big hit.

(翻訳:一柳優心、編集:増田隆幸)

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