平日が辛い人は結局、休日も辛いのかもしれない。「サザエさん症候群」の本当の克服法とは

連休

2019年の10連休の終わりに、あなたは何を思いましたか。

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2019年はゴールデンウィークが異例の長さの、10連休だった。ゴールデンウィークの最終日には「絶望しかない」「明日から仕事が嫌だ」「終わってしまった」など、悲しみの声が多くあがっていた。

一方、連休前には「ゴールデンウィーク10連休、6割が『楽しみじゃない』私もその気持ちはよくわかる」という記事(https://www.businessinsider.jp/post-189120)が多くの共感を呼んでいた。

休みも楽しみじゃない、仕事も楽しみじゃない。

いつ楽しいのだろう。

週5の仕事を楽しめる?日本人の満足度世界最下位

「1週間のうち仕事は5日あるから、楽しい仕事しないともったいないよ!」

新卒採用の現場で、よく人事担当者の人が学生に言う言葉だ。たしかにそうだなぁと思う。ただ、実際にその「週5日楽しめている人」は世の中にどのくらいいるのだろうか。

ちなみに複数の調査を紹介したこちらの記事によると、日本人の仕事満足度は世界最下位らしい。

そもそも、社会人は「週5日(平日)楽しんでいる人」と「週2日(休日)楽しんでいる人」に分かれるのかというと、そうでもないような気がする。むしろ「週7日楽しんでいる人」と「週7日楽しくない人」に分けた方がしっくりくる。

例えば「全力で働き、全力で遊ぶ」という人がいる。一方で「仕事がダルい、休みが暇でつまらない」という人もいる。楽しい日の日数は7日と0日に二極化し、格差は広がっているように思えるのだ。

月曜朝が辛すぎてタクシー8000円

天気予報

日曜日の夜、明日の天気を眺めるころには、月曜日がどんどん迫ってくる辛さ。誰しも一度は、経験があるのでは。

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楽しい日が週0だったときのことを少し話そうと思う。

筆者は、社会人の2〜3年目のころ、会社の寮に住んでいた。そこで同僚と「サザエさん症候群」がいつから迫ってくるかという話をしたことを今でも覚えている。

筆者が「土曜日の夕方からサザエさん症候群の予兆が始まっている」と言うと、友人は「オレは土曜日の朝起きた瞬間から、すでにサザエさん症候群になっている」と言った。

日曜夕方、午後6時30分から放送されるアニメ「サザエさん」の時間辺りになると、週明け月曜日からの仕事を思い、憂鬱なやり切れない気分にどっぷり浸かる、アレである。

生ビール

筆者は「サザエさんワープ」という方法を編み出したのだが……。

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結局2人で話し合って「じゃあ起きなければいいか」という話になった。

解決策は、金曜日から夜通し飲んで、土曜日の夕方目覚め、土曜日もそこから夜通し飲み、日曜の夕方に目覚めることで、「サザエさん症候群に苛まれる時間を最短化」することだった。

いわゆる「サザエさんワープ」だ。

日曜日に映画を観るのが嫌だった。

日曜日の午後3時からビデオで映画を観るとすると、観終わったら午後5時だ。再生前に午後5時のことを想像してしまうのだ。そして観ようか、やめようか迷っているうちに結局午後5時を迎え、気持ちが暗くなってしまうのだった。

月曜日の朝は1週間で一番起きにくかった。

住んでいた兵庫から、通勤先の大阪までタクシーで8000円かけて行くことがあった。その日1日分の給料を通勤片道の交通費ですでに使っているということは、今から考えるとおかしいが、当時は1分でも長く寝ていたかったし、満員電車に耐える気力はなかった。

僕らは生産者を楽しめているか

オフィス街

「楽しい」と「楽しむ」は言葉は似ているが、全く違うものなのだろう。

撮影:今村拓馬

そんな「週7日楽しめなかった人間」の筆者も、今は毎日楽しく仕事をしている。

仕事を楽しむことをしつこくあきらめなかったのもあるが、結局のところ、仕事においての「楽しい」は、自分で取りに行かないといけないのだろう。

仕事をするまでは、いろんなものが「楽しい」をくれる。

ディズニーに行けば楽しいし、ネットフリックスを見ていれば楽しいし、ソーシャルゲームをしていれば楽しい。社会には楽しませてくれるものがたくさんある。消費者は甘やかされ「楽しむ」努力をしなくても「楽しい」を味わえるようになった。

「働く」という役割を与えられた生産者になったとき、僕たちのほとんどは「生産者」として楽しむ方法がわからない。学生の多くがやりたいことがないというのは、「生産者」として楽しむイメージが持てないということに近いのかもしれない。今まで楽しませてくれたミッキーやテラスハウスは会社にはいない。自分の力で楽しまないといけないのだ。

「楽しい」と「楽しむ」は言葉は似ているが、全く違うものなのだろう。

「自分で楽しむ力」というのが、これから重要になってくるのかもしれない。

筆者自身も、仕事を「楽しむ」までに相当な年月を要した。たくさん転職もしたし、うまくいかないことばかりだったが、今こうしてゴールデンウィーク明けに笑顔で仕事ができていることは、この国においてはすごく幸運なことであることを感じている。

一人でも多くの人が、仕事を「楽しむ」方法を見つけ、休み明けの朝を楽しく迎えられるような社会になればいいと切に願っている。

(文・寺口浩大)


寺口 浩大:ワンキャリアの経営企画 / 採用担当。リーマン・ショック直後にメガバンクに入行後、企業再生、M&A関連の業務に従事。デロイトで人材育成支援後、HRスタートアップ、ワンキャリアで経営企画/採用を行う。社外において複数HRに関わるコミュニティのデザイン、プロデュースを手がける。2018年3月よりライターとしても活動を開始。

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