ファーウェイが日本向け新型SIMフリースマホ、米政府への異議も表明 ── 国内で残る壁は3キャリアの判断か

ファーウェイ新製品 コンパニオン

ファーウェイ・ジャパンは新型スマートフォンを含む日本向け新製品を発表した。

ファーウェイ・ジャパンは5月21日、グローバルや国内のキャリアが発表済みの製品を含む新製品発表会を開催した。

米中デジタル冷戦最中の発表会であり、その開催自体を危ぶむ声も業界関係者の中からは上がっていたが、壇上にはファーウェイデバイス 日本・韓国リージョンプレジデントの呉波(ゴ・ハ)氏も登場し、日本で展開する新製品の魅力を伝えるのと同時に、アメリカ政府の対応に対しての抗議を行った。

「米政府への異議」「ユーザーへの理解」は一部アドリブ

呉波

ファーウェイデバイスで日本・韓国リージョンプレジデントを務める呉波氏。

ファーウェイ・ジャパンが、今回の発表会で触れたのはスマートフォン3製品「HUAWEI P30 Pro」「HUAWEI P30」「HUAWEI P30 lite」、イヤホン「HUAWEI FreeLace」、スマートウォッチ「HUAWEI WATCH GT(42mm)」の計5製品。

発表会の大部分の時間は、P30 ProとP30最大の魅力であるカメラ性能について割かれていた。その内容は3月に行われたフランスでの発表会と同じものだったが、発表会の最後には呉波氏から、今回の騒動に関するコメントが直接発表された。

ファーウェイは、アメリカのBIS(商務省産業安全保障局)の決定に反対する。

これは誰の利益にもならない。ファーウェイと業務提携をしているアメリカの会社にも巨額の損失が発生し、数万人の雇用やグローバルのサプライチェーンにも被害がおよぶ。

ファーウェイは(今回の件について)積極的に対策を行い、影響を減らしていく」(呉波氏)

アップデート

既存端末へのセキュリティーアップデートなどは引き続き配信していくという(写真はHUAWEI P30の画面)。

また、グーグルはファーウェイの既存端末について今後もストア機能やセキュリティー機能を提供していく旨を公表しているが、呉波氏は日本のユーザーに対し「安心して欲しい」と呼びかけていた。

「AndroidはスマホのOSとして、常にオープンソースのものであり、(ファーウェイはこれまでも)Androidの発展と成長に貢献してきた。

当社はユーザーにとって有益なAndroidのエコシステムを発展させていく。HUAWEIシリーズやhonorシリーズの販売済み、販売中のスマートフォンやタブレットについて、今後のセキュリティアップデートとアフターサービスが影響を受けることはない。

日本のユーザーのみなさんは、安心してご購入いただき、使用して欲しい」(呉波氏)

関係者によると呉波氏のこれらの発言は「ベースは用意していたが、(呉波氏自身の)気持ちをのせていた部分がある」と、一部は呉波氏のアドリブであったことを話している。

同社としては、「ファーウェイは法律を違反してない」という姿勢を明確にしつつも、すでに利用しているユーザー、そして新端末の購入を検討している人に対し、業界に立ちこめる不安を払拭したい狙いがあったのだろう。

SIMフリー版は5月24日発売。キャリアの判断はいかに?

HUAWEI P30

5月24日に発売となる見通しのSIMフリー版「HUAWEI P30」。

今回の発表会で、SIMフリー端末としてP30は7万7800円、P30 liteは3万2880円(それぞれ税抜)で5月24日に発売される旨が発表され、同製品を取り扱う家電量販店やECサイト、格安SIM事業者のリストも公開された。

しかし、ファーウェイが「新シリーズ、無事発売」となるまでに乗り越えるべき壁はまだある。それはキャリアモデルの販売可否だ。

今回の発表会で、筆者にはある違和感があった。それは、キャリアモデルの話が一切なかったという点だ。ファーウェイは、NTTドコモからP30 Pro、auから「HUAWEI P30 lite Premium」、ワイモバイル(ソフトバンク)からはP30 liteを展開予定だ。

P30 Pro

NTTドコモはP20 Proとは異なり、P30 Proを「NTTドコモ独占販売」としていないが、今回のファーウェイの発表会場にあったP30 Proはドコモモデルのみだった。

とくに最上位モデルのP30 Proは、プレゼンテーションでも注目の存在だったが、最後まで登壇者からNTTドコモの社名を聞くことはなかった。発表済みの事柄であるから今回の発表会では触れなかったとしても、小さな違和感はぬぐえない。

これは憶測の範囲も含むが、各キャリアとファーウェイとの間で、「発表はしたものの実際に販売できるかはまだ不透明」という認識があるからではないか。

なお、Business Insider Japanでは5月21日の発表会後、3キャリアに対し、それぞれの2019年夏モデルのファーウェイ製品の発売ステータスを問い合わせ、以下の回答を得た。

NTTドコモ(HUAWEI P30 Pro、夏頃発売予定)

NTTドコモ広報部「状況を確認中」

KDDI(HUAWEI P30 lite Premium、5月下旬発売予定)

KDDI広報部「影響範囲を確認している」

ワイモバイル(HUAWEI P30 lite、5月24日発売予定)

ソフトバンク広報室「事実確認中。予約も受け付けており、現状5月24日発売のステータスに変わりはない

NTTドコモとKDDIについては販売時期を明確にしていないが、これは例年通りの状況で、明確な販売時期が決まり次第、アナウンスを行なう見通しだ。しかし逆に言えば、アナウンスをする時期になるまでは「販売自体を検討、様子見する期間」があるとも言える。

なお、5月24日に発売するとしているワイモバイルのオンラインストアでは、5月21日22時頃にHUAWEI P30 liteの在庫表示が全色「入荷未定」と表示されている。これに対しソフトバンク広報室は「予約数がオンラインストア向けの在庫の数に達したため」と、今回の騒動とは無関係の「通常オペレーションの範囲内」であると答えている。

発表会フォトセッション

米中デジタル冷戦の最中、国内外で厳しい状況が続くファーウェイ。

SIMフリー版とは異なり、キャリア向けのモデルはユーザーサポートやアップデートの配信などはキャリア自身が行う必要がある。ファーウェイ自身はセキュリティーアップデートなどを今後も問題なく配信していくとしているが、キャリア側としても自社ユーザーに対して「ユーザーが不利益を被らないか」を冷静に判断している最中と言えそうだ。

(文、撮影・小林優多郎)

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