DJI
- CNNによると、アメリカ国土安全保障省は中国製ドローンが収集したデータは中国政府の手に渡る可能性があると懸念している。
- 特定のメーカーを名指ししていないが、中国のドローンメーカー、DJIは北米のドローン市場で80%以上のシェアを占める。
- この警告の1週間前には、トランプ大統領がアメリカでのファーウェイ製通信機器の販売を事実上禁止する大統領令に署名した。
CNNが入手したアメリカ国土安全保障省(DHS)の警告によると、同省は中国製ドローンが収集したデータは中国政府の手に渡る可能性があると懸念している。
この警告は5月20日に出され、中国製ドローンはドローンメーカーのコントロールが及ばないサーバーに情報やデータを送信する能力を持つと記した。
中国製ドローンからのライブ映像データが中国政府に共有される可能性はほとんどない。また音声データは、多くのドローンにはマイクが付いていないため、通常は利用できない。
とはいえ、一部のドローン・ソフトウエアは、ドローンメーカーのサーバーに送信するために映像データや画像データの一部を保存する。飛行データや運用データなどの情報は、どこで、いつ、誰が、なぜドローンを飛ばしたのかを明らかにする可能性もある。
2017年に施行された国家情報法で、中国は国民と企業は国家の情報活動を支援するよう求めた。国土安全保障省の警告は報道によると、中国のドローンメーカーはアメリカを含む世界中のドローンから収集したデータを共有、あるいは共有することを強いられていることを示唆した。
警告は、特定のメーカーを名指ししていないが、CNNの分析によると、中国のドローンメーカー、DJIは北米のドローン市場で80%以上のシェアを占めている。
2017年には米軍が、DJIはアメリカの重要インフラと法執行機関のデータを中国政府に共有したとして同社製ドローンの使用を禁止した。
DJIは、Business Insiderへのコメントの中で、自社サーバーに保存されたデータの取り扱いは完全に制御されており、その技術はアメリカ政府およびアメリカ企業によって検証されていると述べた。また国土安全保障省の推奨に従って、ユーザーはデータ保護に関するオプションを有効にできると付け加えた。
DJI製ドローンの企業もしくは政府機関による使用については、同社は直接またはインターネット経由でDJIにデータを転送しないモデルを提供している。
DJIのコメントの全文は以下の通り。
DJIにおいて、安全はすべての業務の中核をなすもの。我々の技術の安全性はアメリカ政府および主要なアメリカ企業によって独自に検証されている。DJIはこの問題について業界をリードしており、我々の技術プラットフォームは企業と政府機関がドローンのデータを管理するための最善の方法を確立している。
我々はすべてのユーザーにデータの収集、保存、送信について完全なコントロールを提供している。さらなる保証が必要な政府機関や重要インフラのユーザーには、DJIに直接またはインターネット経由でデータを転送しないドローンを提供しており、ユーザーはアメリカ国土安全保障省が推奨するデータ保護の措置を有効にすることができる。
毎日、アメリカ企業、警察や救急・消防、そしてアメリカの政府機関は、国民の命を守り、従業員の安全を向上し、重要な業務をサポートするためにDJIのドローンを信頼して使用している。我々はその責任を非常に重く受け止めている。我々の技術がユーザーのすべての要求に応えることができるよう、ユーザー、企業、政府の関係者と継続的に取り組んでいくことを約束する。
アメリカ国土安全保障省の警告の1週間前には、トランプ大統領がアメリカでのファーウェイ製通信機器の販売を事実上禁止する大統領令に署名した。
(翻訳:Toshihiko Inoue、編集:増田隆幸)