中国のロケット、長征4号丙。2008年5月27日、山東省北部にある太原衛星発射センターにて。
Shen Hong/Xinhua via AP
- 中国は5月23日(現地時間)、トップシークレットの軍事衛星の打ち上げを試みた。
- だが中国のソーシャルメディアに投稿された動画や写真によると、長征4号丙の打ち上げは失敗に終わった。
- 国営メディアの新華社通信は15時間後に失敗を伝えた。原因はおそらくは最上部の3段目に問題が起きたため。
- 中国のロケット打ち上げ失敗は2019年に入って2度目。1度目は同国のスタートアップ企業ワンスペースによるもの。
中国は5月23日朝、トップシークレットの軍事衛星の打ち上げたが、大量の残骸をばらまく結果となった。
長征4号丙(Long March 4C)ロケットと衛星の損失は、3月の航空宇宙スタートアップ企業ワンスペース(OneSpace)による中国初の商業打ち上げの失敗に続いて、2019年に入って2度目。
中国は打ち上げに先立ち、空域閉鎖や安全対策に関する通知を行った。だが、周知のことだが、ミッションを公式には発表しなかった。
ロケットは現地時間5月23日朝6時49分頃、山東省北部にある太原衛星発射センターから打ち上げられた。だが数分後に、中国のソーシャルメディアサイトに投稿された動画や写真によると、ロケットは急激に予想外の方向に向きを変えた。
2019年5月23日、中国のソーシャルメディアサイトに投稿された動画より。
Weibo; Business Insider
そしてジグザグの白煙が空に現れ、その後、微博(Weibo)に投稿された動画を見ると ── 拡大版を下に掲載 ── 小さな白い点が急速に落下する様子が映っている。
「中国のソーシャルメディアに投稿された動画と画像などのおかげで、この打ち上げを追跡し、断片情報をまとめることができた」とスペースニュース(SpaceNews)の寄稿者、アンドリュー・ジョーンズ(Andrew Jones)氏は23日、ツイートした。
新華社通信は打ち上げの約15時間後に失敗を伝えた。ウェブサイトへの投稿で新華社通信はロケットの1段目と2段目は順調に作動したが、衛星を軌道に送る最上部の3段目で問題が発生したと記した。
またロケットの残骸が地上に落下する様子が観測されたと伝えた。
23日朝、ツイッターに投稿された未確認の写真には、炭素繊維複合材の破片や金属製パネルなど、ロケットの残骸と思われるものが写っていた。ソーシャルメディアへの投稿によると、打ち上げ失敗の直後に発射センターから離れた町や村に落ちてきた。
中国の長征4号丙は、中国の衛星や探査機などの打ち上げに約20回、成功している。スペースフライト・ナウ(Spaceflight Now)によると、直近の、そして今回以外で唯一の失敗は2016年8月。
今回の打ち上げは、遥感33号( Yaogan-33)を軌道に送るためのものだった。遥感衛星について、新華社通信などはしばしば資源調査と農作物の収量調査が目的と記述している。だが西側諸国の見方は異なる。
「外部のアナリストは、軍事偵察目的の光学・合成開口レーダー衛星と理解している」とジョーンズはスペースニュースに記した。
協力:Alex Ma
(翻訳、編集:増田隆幸)