ベンチャーの祭典「START Venture Festival 2019」で対談した初代バチェラー(久保裕丈さん、左)と2代目バチェラー(小柳津林太郎さん、右)。
すべてを兼ね備えた理想の独身男性をめぐって25人の女性がバトルする婚活サバイバル番組『バチェラー・ジャパン』。2017年と2018年に2シリーズが放映され、20代〜30代を中心に一大ブームを巻き起こした。
経歴もピカピカのバチェラー2人が語る「自分らしいキャリアを築くコツ」とは?
※この記事は、5月18日に開催された大学生・社会人を対象としたベンチャーの祭典「START Venture Festival 2019」のセッション取材をもとにしています
久保裕丈(初代バチェラー):1981年生まれ。東京大学工学部、同大学院を修了し、A.T.カーニーを経て起業。現在は家具のレンタルサービス「CLAS(クラス)」を運営している。
小柳津林太郎(2代目バチェラー):1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業、サイバーエージェント入社。同社子会社、アメリカ子会社の立ち上げに関わり、2019年に独立。現在は「ハイブリッドサラリーマン」としてさまざまな活動をしている。
自己紹介は「長所は顔、短所は顔以外」
「長所は顔です」の持ちネタもバチェラーなら許される。
話題はまず、バチェラーの就活体験について。両者とも口を揃えたのは「業界研究などはほとんどしなかった」。
久保さんは、就活時は「ゴールドマンサックスとマッキンゼーが同じことをやってるんだと思ってた」というくらい無頓着だったという。
とある大手広告代理店にインターンしたときの経験を、こう話す。
「自己紹介のときに『爪あとを残さないといけない』と気張ってたんでしょうね……『長所・顔、短所・顔以外です』と言っちゃったんです」
その時は空気が凍ったそうだが(しかし内定は出たという)、インターンの経験はその後のキャリアを考える上で役立った。
(インターン中に)あるビールの銘柄の売り上げをアップするための施策を考える課題が出たとき、久保さんは「そもそも、そのビールを売ることが果たしてベストなんだろうか?と考えてしまった」という。
「自分はもっと全社的で、全体観を持ってクライアントとコミュニケーションできる商売じゃないとハマらないんだな、とわかったので、外資系コンサルという選択肢が浮かんできた」
誘われたら断らない、がバチェラースタイル
大学時代は役者などの表現者を目指していたという2代目バチェラー。
その一方「サラリーマンという職種にあまり憧れを抱いていなかった」というのは2代目バチェラーの小柳津林太郎さん。
役者を目指していた小柳津さんだが、「将来ビジネスマン役をやるにしても、一度をビジネス経験を積んでおいたほうがいい」と就活を始めたという。
当時から、小柳津さんの人生のスタンスは「人との縁を大切にして、誘われたら断らない」。2006年当時「社員が500名くらいだった」というサイバーエージェントへの入社も、演劇仲間からの誘いがきっかけだったという。
入社直後はマーケティング部門に配属された小柳津さん。まず心がけたのは、社内で仕事を受注した人がいると送られてくる「受注おめでとう」メールに必ず返信すること。「人に嫌われなさそうな、いいやつだと(いうイメージがついた)」。
その後、新卒3年目にして藤田晋社長からとある事業の子会社の社長にならないかと声をかけられたときにも、「誘われたら断らない」スタイルを貫いた。
「1週間考えさせてくださいと言ったら(社長が)『明日までに返事しろ、明日までに決められないやつは1週間後も決められないから』と。なので、はい、わかりました!と(笑)」
キャリアプランは考えなくても大丈夫
会場には就活生を中心に、100人以上の観覧者が訪れた。
バチェラー出演の後、レンタル家具のサービス「CLAS(クラス)」を立ち上げた久保さん。
その前はファッション関連で起業、さらにその前は東大工学部出身の外資コンサル。「キャリアの一貫性がない」と自分でも認める。
しかし「あえて一貫性のなさを持ち続けることが、ビジネスマンとしての強みを担保し続けるために必要なことだった」という。
久保さんのキャリア選びの条件も、自分の直感に忠実だ。
誰かに喜んでもらえるような事業であり、さらに、一緒に立ち上げたいと思えるメンバーとの出会いがあったときに「リスクを度外視して飛び込む」をポリシーとしているという。
バチェラーがいま入社したい会社は?
対談は大いに盛り上がった。「初代バチェラーはイケメンなので出演しようか悩んだ」とぶっちゃける2代目バチェラー。
そして、話題は「バチェラーが今就職活動するとしたら」へ。
2代目バチェラーの小柳津さんは、漫画『キングダム』の嬴政(えいせい)のように「中華統一を本気でやろうといっている社長」がいるかどうかと、「その産業が伸びているか」をみて選ぶことをオススメする。
「今でも就活するとしたらサイバーエージェントを受けると思います。でも13年前に受けたときと今とではまったく社員の数が違う。当時は社員が500人くらい、今は5000人くらいなんで(入社後の)競争もめちゃめちゃ激しくなっていると思う」(小柳津さん)
一方で久保さんは、きちんとした志を持っていることを前提としつつ「ある程度ちゃんとしたシステムがある、もしくはシステムを整えるつもりがある会社の方がいい」という。
「ぶっちゃけベンチャーって、無茶をすれば売り上げは簡単に出てしまう。その無茶を繰り返していくと、社員がインプットの時間を得られずに、ただただアウトプットをし続けて会社を伸ばすということになってしまいかねない」(久保さん)
これはベンチャーに限定された話でもない。久保さん自身、新卒で入社した当時を振り返ると「ただ寝ずにアウトプットする」生活をしており、なかなかインプットの時間が取れなかった、とコメントする。
質疑応答では、バチェラーふたりが就活生へアドバイスした。久保さんは、起業して経営した経験がバチェラーにも役立った、と告白する。
「1社目の起業はアパレルだったので、女性社員が多かった。バチェラーでの女性への接し方は、そのときに培ったものがほとんど」
どんな経験でも、いつかは「バチェラー」の役に立つのかも!?