ドワンゴが「就活ハラスメントゼロ」宣言。セカンドレイプ起きない相談サイトと連携した取り組み始まる

あらゆるハラスメントを社会からなくすことを目的に活動する団体#WeTooJapanと、被害者などへのバッシングが起きない仕組みに力を入れる相談プラットフォーム「QCCCA(キュカ)」が共同で、就活ハラスメントの問題に取り組む。

企業に「就活ハラスメントゼロ宣言」への賛同を促し、QCCCAに集まった被害者の体験談をもとに企業や関係省庁に提言などを行っていくという。

ゼロ宣言に最初に手を挙げたのは、ドワンゴの夏野剛社長だ。

学生が声上げられるよう、企業がすべきことは

WeTooJapan

左から小島 慶子さん、白河桃子さん、禹ナリさん、キュカ・プロデューサーの片山玲文さん、夏野剛さん。

撮影:竹下郁子

2019年5月24日、厚生労働省で行われた会見には、#WeTooJapanの小島 慶子さん(エッセイスト・タレント)や企業のハラスメント対策に詳しい白河桃子さん(相模女子大学客員教授・ジャーナリスト)、そして就活ハラスメント宣言代表企業としてドワンゴの夏野社長らが参加した。

プロジェクトのきっかけは、大林組や住友商事の男性社員がOB訪問にきた女子大学生に対して、わいせつ行為や性的暴行をしたとして逮捕されたことなどを受け、「声を上げられる場所をつくった方がいい」と#WeTooJapanメンバーが思ったことだという。

同団体ではこれまでもハラスメントの実態調査や、職場におけるハラスメントをゼロにすることを企業や団体のトップが宣言する「ゼロハラ宣言」などを行ってきた。こちらについては現在、ドワンゴの夏野社長のほかサイボウズの青野慶久社長、ストライプインターナショナルの石川康晴社長など11人が賛同している。

#WeTooJapan

#WeTooJapanの「就活ハラスメントゼロ宣言」。

出典:#WeTooJapanホームページ

新たに設けた「就活ハラスメントゼロ宣言」に初めに賛同したのが、ドワンゴの夏野社長だ。社外取締役としても多くの企業に関わっている。

「ハラスメントに対応するため多くの企業が社内にコンプライアンス窓口を設けていますが、その対応は企業によって異なります。取締役会でもどんな相談があったのか定期的に報告があがってきますが、従業員数に対して数が少ないときは『本当に?』と聞くようにしています。

ハラスメントをゼロにすることは難しいけれど、こうしてメッセージを打ち出すことが抑止効果につながるはずです」(夏野さん)

今後も企業はもちろん、大学にも宣言への賛同を募っていく予定だ。

無力感なくすため、データを元に提言を

就活

深刻な実態が明らかになってきた就活でのハラスメント。次に声を上げるべきは企業だ(写真はイメージです)。

撮影:今村拓馬

プロジェクトを共同で行うハラスメントなどの悩みを投稿する相談サイト「QCCCA(キュカ)」は、新たに就活ハラスメント専用のハッシュタグを設けた。相談内容のほかに非公開で「ハラスメントがどの企業・団体で起きたのか」「被害者(投稿者)の在籍大学」、そして「どんな解決方法を望むか」なども記入できる欄をつくり、データを蓄積、分析していく予定だ。

QCCCAの特徴は「キュカッチ」と呼ばれる、企業や団体でハラスメント対策やダイバーシティ支援に携わっている人が複数在籍すること。悩み相談は本人ではなく担当するキュカッチが代理で投稿するため、誰が投稿したか全く分からない完全匿名になる。コメントもすべてキュカッチが目を通し、セカンドレイプなど2次被害につながりそうなものは理由を相手に説明した上で表示しない仕組みだ。

Business Inisder Japanによるアンケートでは、就活セクハラ被害にあったという回答者のうち、7割が誰にも相談できずにいると答えていた。相手との間で権力関係があることはもちろん、声をあげても何も変わらないという無力感を抱く人も多かった。

キュカ社長の禹ナリ(ウ・ナリ)さんは、自身が管理職だったときに後輩女性からセクハラ被害の相談を受けたものの、本人が納得のいく対応をできずに後悔したことがある。結局、会社を去ったのは被害にあった女性だったのだ。

「ハラスメント被害者が声をあげられない理由として、何も変わらないという状況を知ってしまっているという無力感は大きな問題だと思っています。だから、勇気を出して声をあげれば必ず変わると思ってもらいたいデータが集まって傾向などが見えてきた段階で、厚生労働省や企業などに提言を行う予定です」(禹さん)

QCCCAの登録者数は現在約300人。就活中のハラスメントはセクハラだけではない。「オワハラ」や、性的指向や性自認による「就活SOGIハラ」など問題は多岐にわたる。禹さんは実態を把握してより良い提言につなげていくため、多くの人に利用して欲しいと訴えた。

(文・竹下郁子)

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